桜巡礼(1)~若樫(大阪 和泉市)の百滝桜

大阪和泉市の山奥に若樫という集落があるのですが、そこに「百滝桜」とよばれる見事な枝垂れ桜があります。
この桜は旧国道170号線沿いに咲いているので、かつてはかなり有名な桜だったようです。国道170号線は別名「外環状線」とよばれる幹線道路なのですから、その道沿いに咲いているとなれば話題になるのは当然です。ですから、かつては満開の時期になると道路は大渋滞を起こし結構な騒ぎとなったようです。

旧国道沿いに咲く「百滝桜」

ところが今は、この桜の存在を知る人は大阪南部でもそれほど多くはなく、「知る人ぞ知る」桜になってしまっています。
理由は簡単で、1994年に関西空港が開港し、国際空港へのアクセスに相応しくこの「外環状線」が新しく整備されることになったからです。何しろ、かつての旧国道は「外環状線」とはよばれても、大阪南部の山沿いの集落の間を縫うように走る狭い道路でした。
それでは、とてもじゃないが国際空港へのアクセス道路にならないと言うことで、大阪南部の外縁部をまっすぐ突っ切るように全く新しい道路が造られることになったのです。

関西空港の開港に間に合うようにかなりの突貫工事で完成された道路なのですが、その後も整備が続けられて、今では旧国道を通る人は殆どいなくなってしまいました。その結果として、この百滝桜を目にする機会も激減し、いつの間にか「知る人ぞのみ知る」桜となってしまいました。

樹勢盛んな枝垂れ桜

しかし、結果としてはそれで良かったのだと思います。
大阪の南の端にひっそりと咲くこの桜は、その見事さには不似合いなほどの静けさの中で尋ねる人を迎えてくれます。

外環状線は私の通勤の道なのですが、この桜の存在を知ったのは、毎日の通勤に倦んできたある日、何気なく旧国道を走って帰ろうと思い立った時でした。
始めて見たときは自分の目を疑いました。
春の夕暮れの中に咲き誇る一本の巨大なしだれ桜を見たときは、何かの幻を見たのかと思いました。

そして、この桜の存在を知ってからは、春になると家を出る時間を少し早めにして旧国道を走るようになり、その開花を待ちわびるようになりました。
地元の人に話を聞くと樹齢は約100年ほどという事なのですが、まさに樹勢は盛んにして、その花のつきかたは優美の限りです。とりわけ、斜面の下に向かって滝のようになだれ落ちる花の繊細な美しさは「百滝桜」の名に恥じない見事さです。

滝のごとく雪崩咲く百滝桜

また、その花の色は薄墨色で、もしかしたらあの有名な「薄墨桜」と同じ種類の桜なのかも知れません。
私の知る限り、これほど繊細にして優美な桜はそれほど存在するものではないと思います。


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