アナログ時代の趣味性が復権するPCオーディオ(5)~悩ましいケーブル問題(1)

はじめに

PCオーディオの黎明期に「ケーブルで音が変わる」などと言えばすぐに「オカルトだ!」という矢玉が飛んできました。あの頃は「変わる」と言えば何でもかんでも「オカルトだ!」と言われた時代でした。
しかし、そう言う批判が出てくるのも仕方のない事情がありました。

それは、それぞれのユーザーが使っているPCのハード構成や再生ソフトがバラバラだったからです。比較の基準がバラバラの状態であれこれ論議をしても、はたしてその違いがケーブルに由来するものなのか、PCのハード構成に起因するものなのか、それとも再生ソフトに原因があるのか、わけが分からない話になってしまっていたのです。
酷い話になると、WMPやiTunesでPC付属のピーカーを鳴らしている人が、「俺のシステムではケーブルの違いによる音の差などは聞き分けられない」と主張する人もいたのです。そして、そう言うシステムを使っている人から、「周辺環境の違いによって音質の違いが発生しないシステムこそが最高の再生環境である」という主張まで飛び出す始末でした。

誤解を招くかもしれませんが、PCオーディオは基本的に音が悪いです。ただし、困ったことに(^^;、レガシーオーディオとはどこか雰囲気の違う音を聞かせてくれるので、その雰囲気の違いに可能性を感じ取って多くの人がトライを繰り返してきたのがPCオーディオの歴史でした。
そして、その中で分かってきたのは、今までは入り込めなかったデジタルの世界にユーザーが入り込める事こそがPCオーディオの面白さであって、その入り込みよってあれこれと対策を施していけば、あるポイントを境にしてガラッと音質が向上するという事実でした。
これは非常に重要なポイントなので、いささか嫌みな書き方になってしまう部分もあるので気が引けるですが、それでもとても大切なことなのではっきりと書いておきます。

例えば、「ひと目で分かる!デジタルオーディオの楽しみ方」という記事(2013年11月08日)の中に、「SYSTEM 3:USB DAC+プリメインアンプ これぞ大本命! 音質を追求したい人にお薦め」として以下のようなシステム構成が紹介されています。

pc_s1

この記事の中で「徹底的に原音再生を追求したいのであれば、アンプとスピーカーによるオーディオシステムとパソコンをUSB DACで接続するのが最もお薦めだ」と書いています。
しかし、こんな風にPCと既存のオーディオシステムをUSB-DACでポンとつないだだけでは「ガラッと音質が向上するポイント」には達していないのです。(もう少し気を使って控えめに表現すれば達していないことが多いのです。)ですから、そう言う到達点の人と、すでに「ガラッと音質が向上するポイント」をクリアしている人との間で「ケーブル問題」を論議しても噛み合うはずがないのです。

言うまでもないことですが、WMPやiTunesでPC付属のピーカーを鳴らしているシステムならば、ケーブルを変えたからといって音質が変化することはありません。そして、その事は上でふれたような「徹底的に原音再生を追求した」PCと既存のオーディオシステムをUSB-DACでポンとつないだだけのシステムにおいても同じことが言えてしまうのです。(もう少し気を使って控えめに表現すれば(^^;、達していないことが多いのです。・・・残念ながら。)
ですから、彼らのような人々が「ケーブルで音が変わる」という主張に対して「オカルトだ!」と批判したのは当然のことだったわけです。彼らは嘘を言っていたわけでもなく意地が悪いわけでもなく、己のシステムを前提として当然の批判を展開しただけだったのです。

しかし、そのレベルから様々な悪戦苦闘を繰り返してある閾値を超えるとPCオーディオの音の世界は激変します。そして、その閾値を超えたシステムは様々な条件の変化をシビアに反映するようになります。
当然のことながら、そのようなシステムにおいてケーブルを変更すれば、その変化ははっきりと音の変化として聞き分けることができるようになります。そして、聞き分けることができる世界に住んでいる人たちはどれだけ「オカルト」と批判されようとケーブル問題に取り組まざるを得なくなったわけです。
つまり、彼らがオカルト批判に批判を展開したのもまた、嘘を言っていたわけでもなく意地が悪いわけでもなく、己のシステムを前提として当然の批判を展開しただけだったのです。

ですから、ある時期において、このケーブルの問題をめぐって不毛な論議、もしくは場合によっては罵り合いがおこったことは不幸なことでした。しかし、そう言うしんどい論議の結果として、今日では「ケーブルで音が変わる」ことは当然の事実として受け止められるようになりました。

そして、そのような落着を見る上で大きな役割を果たしたのが、2011年に登場した「Voyage MPD Starter Kit」の登場だったと私は考えています。
何故ならば、「Voyage MPD Starter Kit」こそはPCオーディオにおける数限りないトライの結果もたらされた様々な有効な対策が結晶化されたシステムだったからです。ですから、これを最低限のラインとして設定すれば、あれこれの不毛な論議の温床となったシステムの違いを排除できたのです。もっと有り体に言えば、「Voyage MPD Starter Kit」のレベルにまで達していないシステムを前提とした主張は事実上無視できるようになったのです。
その意味では、今もって「Voyage MPD Starter Kit」はPCオーディオにおける「メートル原器」の役割を果たしていると言えます。

何が悩ましいのか

PCオーディオといえどもUSBケーブルやLANケーブルで音が変わることは現在では自明のこととして受け止められています。にもかかわらず「悩ましいケーブル問題」とタイトルをつけました。
そうなのです、変わることは変わるのですが、何故変わるのか?が必ずしも自明ではないのです。そして、自明でないがゆえに困った問題が引き起こされてしまったのです。

PCオーディオが破竹の勢いで認知度を押し上げている反対側で、レガシーオーディオの世界はハイエンドの隘路に落ち込んで断末魔のあがきを繰り返していました。
オーディオのデジタル化で趣味性を失ったレガシーオーディオの世界は、その趣味性を「アップグレード」という買い換えでしか主張できない事態に陥っていたのです。もちろん、それだけが原因ではないのですが、それでも次から次へとアップグレードを繰り替えずユーザーだけが飯の種になれば必然的に全ての機器は高額化していかざるを得ません。
しかし、その高額化には限界があることは誰でも容易に察しがつきます。何百万円もするようアンプやスピーカーを次から次へと買い換えることができるのはごく一部の人たちしかいないのです。そして、その買い換えにもいつかは限界がありますし、何よりも買い換えているユーザーの側に懐疑の念がおこってこなければ嘘です。

そのようなハイエンド路線の隘路の中で次の飯の種として浮上したのがオーディオアクセサリでした。
果てのないアップグレードに懐疑の念を抱き始めたユーザーに対して、オーディオアクセサリを使いこなすことで新しい世界が広がるとたきつけたわけです。この戦術の変更はある程度の成功を収めたようで、特に貧乏オーディオマニアの財布から少なくない金子をかすめ取っていきました。もちろん、金持ちのオーディオマニアに対しては一本何百万円もするようなスピーカーケーブルやラインケーブルを売り出すことで、気がつけばこちらもハイエンド化を突き進むことになります。
結果として、せっかくの新しい飯の種もハイエンド化の隘路にはまりこもうとしたときに、突如登場したのが、「PCオーディオといえどもUSBケーブルやLANケーブルで音が変わる」というアナウンスだったのです。

現金なもので、今まではレガシーオーディオの側に身をおきPCオーディオなどは不倶戴天の敵と見なしていたのが、手のひらを返したように高音質をうたったUSBケーブルやLANケーブルを発売し始めたのです。もちろん、その事は基本的には歓迎すべき事であって、PCオーディオを突き詰めていく上では得難い援軍ではあったのですが、その反面、レガシーオーディオにおける「アクセサリ地獄」と同じような事態をまねきかねない懸念もおこってきたのです。
真面目に開発に取り組んでいる方々には申し訳ないのですが、「何故変わるのかが必ずしも自明ではない」ので、随分と怪しげな製品が跋扈し始めたのです。その意味で、今度は違う側面から「オカルトだ!」という批判を展開しなければならい事態になってしまっているのです。
かつては、「ケーブルで音が変わるなってオカルトだ!」という批判にたしいて批判していた陣営が、今度は「そんなケーブルで音質改善を主張するなんてオカルトだ!」と批判しなければいけない羽目に陥ってしまったのです。
それ故に、タイトルを「悩ましいケーブル問題」としなければいけなかったのです。

と言うことで、次回は少なくともケーブル問題を考える上で抑えておくべきポイントを整理していきたいと思います。


21 comments for “アナログ時代の趣味性が復権するPCオーディオ(5)~悩ましいケーブル問題(1)

  1. Fuji
    2013年11月19日 at 9:34 AM

    ユングさんお世話になっております.。
    遅ればせながら今般、Cuboxを入手し、ユングさんの“初心者のための「CuBox」導入“を参考に、梅雨入りバージョンで音を出す事に成功致しました。噂にたがわず実に素晴らしい音で鳴ってくれています。Cuboxに割振られた I Pアドレスを探すのに若干手こずりましたが、その後の設定はスムーズに行きました。こつを覚えてしまうと、ずいぶん楽にmpdを構築出来ますね、思い切ってCuboxにチャレンジして良かったと思っております。
    さて私の場合は、ご存知の通りユングさんが構築されたVine mpdで3年近く聴いてまいりましたので、当然の事ながらCuboxとの音質の比較をした訳ですが、率直に申し上げて現在の所CuboxをMAINに据える事に躊躇しております。理由はVine mpdの方が音が良いと感じたからです。もちろん僅差ですが、若干高音域に関してうるさく感じる時があります。その他は充実した低音域、厚みのある中音域、綺麗に伸びた高音域と、どれを取ってもVine mpdと同等の音質で鳴っております。この小さい箱からこんな音が出るとは信じられないですね。又、Cuboxの音源はNAS経由、10Wのスイッチング電源、一方、Vine mpdはCPUにCore2Duo E8800 3.3GHz、音源はSATA接続の増設HDD、400Wのスイッチング電源を載せたタワー型PCで運用しております。CuboxとVine mpdの条件が全く違いますので、この条件で音質の比較をするのは如何なものかとは思いますが、少なくとも理屈からすれば、圧倒的にCuboxの方が有利だと思うのですが、出てきた音が全てと言う事であればVine mpdに軍配を上げざるを得ません。Vine mpdの生みの親であるユングさんに、このあたりの事に付いてどう考えれば良いのか、よろしければご見解を戴けると幸いです。

    • old boy
      2013年11月20日 at 3:56 PM

      このサイトをいつも見ていますが、皆さまのレベルからはかなり遅れているものの感想です。
      私は古いPIIIのデスクトップPCと、CeleronのノートPCにVortexBox1.1をインストールしてDDC+DAC経由で聴いていますが、やはりPIIIの方がはるかに音質が良いと感じています。同じLinuxソフトでもやはりCPUの性能は影響するものでしょうか。

  2. Fuji
    2013年11月21日 at 9:27 AM

    old boyさん
    今回の投稿で、Cuboxよりタワー型PCで運用しているVine mpdの方が音が良いとは書きましたが、まず間違いなくVine mpdで聴いている人は日本中でおそらく私以外にはいないでしょうから、Cuboxより音が良いと言われても信じて貰えないでしょう。ただ当時ユングさんが書かれた(Vine5でMPDを動かすby yung • 2010年11月13日)を参考に、私なりに徹底的に軽量化したからこそ出来た事だと思っております。しかし音質の評価に付いては私の環境での話ですから汎用性は保障出来ませんが。又ユングさん、いくら生みの親とはいえ現在Vine mpdから離れている方にあの様な質問を致しました事、大変申し訳なく思っております。old boyさん話は変わりますが、そろそろCuboxにトライされたら如何でしょうか。私も今回ユングさんの”初心者のための「CuBox」導入”を参考に、Cuboxにトライしましたが実にあっけなく音出しに成功いたしました。ポイントはCuboxのIPアドレスを把握しておく事だと思います。NASやラン環境は整っておられるでしょうから、後は問題無いと思います。又、hiFace EVOも活かせると思いますし(本当に認識するかは実際に運用されている方からお聞きするのが良いのではと思います)、仮に音出しに失敗したとしてもCuboxの価格を考えれば諦めが付きますしいつでも再トライ出来ますから、私はだめもとで購入致しました。ソリッドランに直接注文出来ますが私は何か英語が嫌だったので、購入元はこちらの秋葉原ラジオ会館オンラインにしました。

    http://online.radiokaikan.jp/shop/goods/searchdetails.aspx

    価格は若干高めですがそれでもCuboxが1,65万円、Cubox proが2万円程で納期は1週間程度でした。Cuboxから出て来た音を聴かれれば、どの音楽ソフトより音が良いと実感されるはずです。

    • 2013年11月21日 at 8:44 PM

      >又ユングさん、いくら生みの親とはいえ現在Vine mpdから離れている方にあの様な質問を致しました事、大変申し訳なく思っております。

      いえいえ、そんなことは一切気にしないでください。それよりも、Cuboxよりも軽量化したデスクトップPCの方が音が良いんじゃないの?と言う問いかけは結構面白くて、最近あれこれ考えている事とも結びつく内容ですので、一度機会を捉えてまとめてみたいとは思っています。

      一般的にはハード構成はシンプルな方がいいと言うことはまず間違いはないと思うのですが、メモリやCPUのパワーに関してはそれほど話は簡単ではないような気がしてきているのです。
      確かに、電磁波ノイズに関しては低スペックの方が有利なことは間違いないのですが、有り余るPCパワーが音質に与えるメリットとバーター関係にあるような気もするのです。その意味では、2Gbのメモリと4コアのCOUを積んだ新しいCuboxがどんな音がするのかは是非確かめてみたいとは思っています。

      • Fuji
        2013年11月22日 at 9:16 AM

        ご返事いただき感謝申し上げます。

        Cuboxより音が良いなどと書いてしまいましたので戸惑われたことと思います。Vine mpdの方が音が良いとは感じましたが、あくまでも私の環境での話であり、私以外にどなたもVine mpdで聴かれている方はおられませんので、今後投稿する際はこの辺りにも充分配慮したいと考えております。それにしましてもCuboxは実に安価で簡単に高音質のmpdが構築出来ますね、Vine mpdとは大違いです。
        何れに致しましても、今後とも宜しくお願い致します。

      • nino
        2013年11月23日 at 6:52 PM

        >メモリやCPUのパワーに関してはそれほど話は簡単ではないような気がしてきているのです。

        音質には処理のスピードも関係していて、エラー訂正などの処理が遅れると音質に影響が出るようです。この点では高速なCPUほど有利です。また、電源も強力なもののほうが安定性が高いため、電源の揺れが小さくなり有利なようです。

        よくバッテリー電源がノイズがなくていいといわれますが、実際にやってみると多くの場合躍動感に欠けるつまらない音になります。デジタルの場合は負荷変動に対する電源の瞬間的追従能力がアナログ以上に重要となりますが、内部抵抗の大きいバッテリーはこれが最悪で、安定性に欠けます。そして最も安定性の高い電源とは、実はオーディオマニアが嫌うスイッチング電源です。

        メモリについては、メモリは電荷のあるなしで0と1を識別するため、メモリの使用率が高くなると、メモリモジュールの電荷の総量が大きくなりノイズが増えて音質が劣化します。したがって、搭載容量を大きくして使用率を低く抑えたほうが音質が向上します。

        以上のように、ロースペック低ノイズであれば高音質という単純な話にはなりません。ロースペック神話が生まれた背景には、数年前までPCに接続可能なオーディオ用DACやDDCが存在せず、もっぱらDTM用のオーディオインターフェースを流用するしかなかったという事情があるように思います。

        では、高速CPUと強力電源を組み合わせたハイパワーマシンで音質を追求するとなると、PCと他の機器(特にDAC)を遮断してノイズが伝播しないようにすることがポイントになろうかと思います。遮断してもアナログと違ってデジタルデータ(縦軸)は完璧に維持されますから、処理の最後のところでノイズの影響を受けない高品質の時間軸を与えてやるという発想ですね。

        個人的には、最近ハイパワーマシンによる再生のほうに可能性を感じています。VoyageMPDのような方向性を否定するつもりはありませんが、すでに飽和点に達していてこの先の発展はあまり望めないように思います。絶対的な音質を追求すれば、LINNに代表されるような本格的なオーディオ機器の音質を、汎用PCで超えることはおそらく無理でしょう。

        それよりもBug Headのように補間処理で簡単に好みの方向に音質を変えたり、かつてのFrieve Audioのようなイコライジングのような付加機能こそ、レガシーオーディオにないPCオーディオならではの魅力ではないかと考えたりしています。そしてその場合のプラットフォームは、当然ハイパワーマシンということになります。

        いずれにしても、PCオーディオの場合はシステム全体の構成次第で最終的な音質は大きく変わりますから、AがいいとかBがいいとかいう単純な比較ではなく、それぞれのメリットを活かすようなシステム構築力が大切で、そこが趣味性の高さといってもいいでしょうね。

        >2Gbのメモリと4コアのCOUを積んだ新しいCuboxがどんな音がするのかは是非確かめてみたいとは思っています。

        私も興味がありますね。そして4コアのCuboxのほうが音がいいということであれば、ハイパワーのデスクトップマシンにVoyageMPDをインストールしてみたらどうなのか、という話にもなりますね。これは自分でも試してみようと思っています。

        • ぽこぴー
          2013年11月24日 at 1:17 AM

          いつもninoさんのコメントを楽しく読ませていただいています。
          自分にはオーディオ、PCどちらも知識が足りずほとんど理解が出来ておりませんが……。
          なにぶん知識がありませんので、馬鹿な質問になってしまうかもしれないのですが、

          >PCと他の機器(特にDAC)を遮断する

          とはどの様にすればよろしいのでしょうか?

          今自分も新しいオーディオ用のPCを買おうと思っているのですが、リッピング用、再生用の両方を買うのは金銭的に苦しく、購入するのは軽量なCuboxでは無く、それなりの性能のあるWinになってしまいます。ですので「遮断する」にはどうすればよいのか、ぜひ教えていただきたいと思っています。

          • nino
            2013年11月24日 at 9:13 PM

            遮断するというのは、本来電気的な絶縁によるノイズの遮断を意味する「アイソレーション」を意図しているのですが、広い意味でアシンクロナス転送によるPCのクロックの遮断も含めたかったので、こういう表現にしました。

            Windowsを使用するのであれば、アシンクロナス転送対応のDACで、専用のドライバをインストールして使用することが一番重要です。通常のUSB接続では、DACはPCのクロックに同期しますから、PCのノイズや動作が音質にもろに影響します。アシンクロナス転送であれば、DACはPCのノイズまみれのクロックに同期するのではなく、DACに搭載のオーディオグレードのクロックで動作しますから、大きく音質が向上するはずです。これだけでも、ノイズの大きいPCを使用することのデメリットはかなり解消されるはずです。また、アシンクロナス転送が使えないVoyageMPDなどに対するWindowsのメリットでもあります。

            さらに、USBケーブルを伝わるノイズについては、こちらにあるようなUSBアイソレーターを試してみるのもいいかもしれません。ただし、最近のDACには、同様のアイソレーション機能を内蔵している場合もありますから、よく調べてみる必要があります。

            さらに、PCの電源ラインから放出されるノイズはかなり強烈ですから、電源ラインにアイソレーショントランスを入れて遮断し、DACなどにノイズが回り込まないようにするのが効果的だと思います。アイソレーショントランスを使わなくても、電源タップなどを使ってPC系とオーディオ系の電源ラインを分けたり、またノイズは距離の2乗に反比例しますから、PCの電源ケーブルにあえて長いものを使用するなどの工夫をしてみると効果があるでしょう。

            PCが動作することによるノイズや電源の揺れなどの影響を、できるだけDACが受けないようにすることがポイントで、その意味で遮断するという言葉を使ったのですが、もちろん完璧な遮断は不可能です。多少の影響は必ずあります。

          • ぽこぴー
            2013年11月25日 at 7:05 PM

            ninoさん、丁寧な解説有難うございました。
            大変勉強になりました。
            PC、頑張ってみます。

        • old boy
          2013年11月26日 at 9:09 AM

          オーディオよりもPCからDACまでをいろいろいじって遊んでいる私には、このninoさんのお話は今後の方向として大いに参考になりました。ありがとうございます。

  3. old boy
    2013年11月21日 at 4:20 PM

    Fujiさん

    いつもいろいろ教えて頂きありがとうございます。
    実際私は昔からオーディオマニアでなく、いわゆるファンの類です。
    それで身近にあるもの、安直に手に入るもので音が良くなることで満足し、
    最高レベルを極めたいとは思っていないのです。
    その点PCオーディオは手軽で、VortexBoxで遊んでいるPCを再利用できるのが嬉しいというレベルです。
    Cuboxの使用も考え、まずLinuxをマスターしようと、Raspberrryを始めましたが、
    画面がでたという時点で終わっています。
    昔のDOSコマンドを考えればそんなに難しそうではないのですが、やはりWindowsになれて、年を取ったせいか面倒になってしまいました。
    そのうちもっと簡単になるだろうと思って、当分手近なところで遊んで待っています。

  4. Fuji
    2013年11月21日 at 5:30 PM

    old boy さん
    >VortexBoxで遊んでいるPCを再利用できるのが嬉しいというレベルです。

    VortexBoxより手間はかからないと思いますし、VortexBoxを操れる方であればユングさんの”初心者のための「CuBox」導入”を参考にされれば、実によく解説されていますので迷うことは無いと思います。とはいえ、趣味の世界ですし、人により楽しみ方もそれぞれですから、ご自身が目指す方向に進まれるのが一番良い事だと思います。ところで話は変りますが、本日あるバイオリンコンサートのチケットを購入致しました。生演奏に勝る音はありませんし、あの音や雰囲気は私のシステムでは絶対に再現出来ませんが、定期的に生の音に接し,自分のシステムの方向性を間違えない様にしているつもりです。もちろん、コンサートを聴きに行くこと自体も楽しみですが。

    • old boy
      2013年11月21日 at 7:03 PM

      Fujiさん

      PCオーディオになっていろいろやることができるようになり、オーディオがまたおもしろくなりました。
      特にyungさんのサイトを見ていれば、flacデータもあるし、オーディオ実験室のトピックスを選んで楽しむことができます。
      またPCを組み立てたりするのも趣味で、古いデスクトップを分解して静音化して、VortexBoxをインストールし、Mpodで操作して好きな音楽を高音質で聴けるのはなによりです。私の仕事はPCによる翻訳で、バックグラウンド音楽があるので毎日が楽しく過ごせます。
      私は現在滋賀県に住んでいて、あまり音楽会に行くこともなく、年に一度のジルベスタコンサートぐらいです。実演はやはりオーディオとは違いますが、オーディオは自分の好きな音を自分で細工して聞けるのがいいですね。

      • Fuji
        2013年11月22日 at 1:59 PM

        old boy さん

        >flacデータもあるし、オーディオ実験室のトピックスを選んで楽しむことができます。

        全くその通りだと思います。ユングさんお一人でよくこれだけの規模のホームページを維持管理されていると思います、誠に頭の下がる思いです。

        >オーディオは自分の好きな音を自分で細工して聞けるのがいいですね。

        全くその通りだと思います。コンサートはその場所に行く必要が有りますが、その点オーディオは自分の好きな時に音楽が聴けますし、自分の意思でコントロール出来ますから。

  5. old boy
    2013年11月26日 at 8:32 PM

    今、yungさんのflacデータ、ジョージ・セル指揮ベートーベン交響曲第6番(クリーブランド管弦楽団 1962年1月20日&21日録音)をダウンロードして聴いています。
    「Bug head+hiface evo+DAC」で交響曲がすっきりとやわらかく聴けるようになりました。
    また、yungさんの曲の解説になるほどと思って交響曲をたんのうできるようになり,
    ありがとうございます。

  6. BBWA
    2013年11月29日 at 6:33 PM

    Yung様
    はじめまして。

    良く拝見させて頂いてます。
    少し前のエントリー関連の話題で恐縮ですが、本日バッファローのメタル筐体スイッチングハブ(BSL-WS-G2108M/Aではありません)からPlanexのFX-05miniに変更しました。電源は外付けバッテリー電源から5Vを取っています。

    その結果は、スイッチングハブでここまで変わるとは!という感想です。
    電源の効果も絶大でした。

    色々なHPを見ていると、かなりの方がバッテリー電源には否定的な見解をお持ちですが、その理由も今回のハブで理解したような気がしました。
    バッテリー電源にすると一聴して解像度がかなり上がります。以前がノイズっぽかったんだとさえ思います。そして背景がとても静かになっています。各音源がハッキリとし立体感が増します。ですが、その代わり高域の伸びが無くなったと感じます。高域成分が大人しく感じてしまいます。これを力感が無くなると表現されているのだと感じます。

    確かに高域が物足りないと感じますが、私はこのノイズ低減効果を軽視することはできそうにありません。
    このままPCオーディオ関係すべての機器にバッテリー電源を付けてみたらどうなるだろう?という興味を持っています。ノイズをほとんど取り払った先には何が見えるのか?面白そうではないかと思っています。
    また、他のバッテリー電源を使用してCuboxにも供給してみたところ、これも激変でした。これらの電源の変更だけでどれだけボリュームを上げてもうるさく無くなりました。後はNASとHIfaceEvoだけです。電圧が5Vではないので汎用バッテリー電源で試してみたいと思っています。

    最後に質問させてください。
    以前のエントリーでリッピングする時の環境も音に影響があると書かれておりますが、それはリッピングPCの電源や電磁波、OSチューニングなどの対策したもののほうがやはり良いということでしょうか?

    • 2013年11月30日 at 10:31 AM

      >他のバッテリー電源を使用してCuboxにも供給してみたところ、これも激変でした。
      気をつけてくださいね、「Cubox」は定格5ボルトで±10%の範囲でしか動作しませんので、ヘタをすると簡単に電源部が死んでしまいます。
      自作の電源をあてがうことで屍が累々と言う報告が多数寄せられています。(実は私もこれで一台お釈迦になりました)

      >以前のエントリーでリッピングする時の環境も音に影響があると書かれておりますが、それはリッピングPCの電源や電磁波、OSチューニングなどの対策したもののほうがやはり良いということでしょうか?

      これについては諸説あります。そのあたりの事情は件のページに寄せられた多数のコメントを読んでもらえればご理解いただけるかと思います。
      個人的には、この部分で劣化を引きこすかもしれない要因に無頓着なリッピングは「精神衛生」上我慢できないので、できる限り配慮はしたいと思っています。

      個人的な経験からいって影響が大きいのは、「リッピングするドライブ」と「リッピングするソフト」だと思っています。
      あとは、ドライブとPCを接続するケーブルも少しは気になりますし、ドライブの電源部も改善できるのであればベストだろうし、電磁波対策と言うことで外付けのドライブを選択できればそれに越したことはないと思います。

      しかしながら、「そんなら根拠を示せ!」と凄まれても困るわけで(^^;、あくまでも個人的な精神衛生上の問題です。

      ただし、個人的な経験からいっても無頓着にリッピングしたファイルとそれなりに配慮した状態でリッピングしたファイルでは明らかに音質上の違いはあると感じています。
      問題はその配慮をどこまで行うかです。そして一番困っているのは、そう言う個々の配慮がどういう理屈で音質に影響を及ぼしているのかが理論的に解明されていないことです。
      あくまでも経験則です。

      ですから、どこまでやるかはそれぞれの「熱意」と「こだわり」によって決まってくるとしか言いようがありません。
      いつの時代も、理屈は現実を追いかけるしかありません。

      • BBWA
        2013年12月1日 at 12:56 AM

        Yung様

        返信ありがとうございます。
        CuBoxの電源の件は存じておりますw
        おっかなびっくりでしたが、問題なく動いているようです。テスターで電圧を測定したところちょうど5Vでした。

        個人的な経験からいっても無頓着にリッピングしたファイルとそれなりに配慮した状態でリッピングしたファイルでは明らかに音質上の違いはあると感じています。>
        なるほど。私も色々試してベストを見つけてみようと思います。

        いつの時代も、理屈は現実を追いかけるしかありません。>
        これはその通りだと思います。大学時代に理論が構築できてないことの多さにビックりしました。まだまだ知られていない理論が沢山あるのだと思っています。自然現象はそんなに単純じゃないということでしょうね。

  7. nino
    2013年11月30日 at 12:31 PM

    >色々なHPを見ていると、かなりの方がバッテリー電源には否定的な見解をお持ちですが、

    バッテリー電源については、ノイズ面で有利なこととループを作らないというメリットもあるのですが、オーディオ用電源としてみた場合、簡単にふらついてしまうという欠点も持っています。何と比較するかというところがポイントで、付属のACアダプターと比較すると、バッテリーのほうがいい結果が得られると思いますが、良質のアナログ電源と比較すると、アナログ電源のほうが上回るというのが、個人的な経験に基づく感想です。専門家の意見も概して同じであるように思います。

    デジタル機器の場合、通常は電源ラインなどからの外来ノイズよりも、機器が動作することによって発生するノイズのほうがはるかに大きくてやっかいです。いずれにしても、すべての機器でACアダプターは排除するべきだと思います。

    良質なアナログ電源とは、具体的には出川式電源やFIDELIXの低ノイズ電源などのことです。私は使ったことがありませんが、エルサウンドの電源もいいようですね。

    リッピングについては、熱意があるならこだわるに越したことはないでしょう。ファイルを一度インターネット上のディスクに飛ばしてから戻すことで、リッピングファイルの癖を消すというやり方もありますが、これもやってみるとなかなかいいです。音がすっきりするような気がします。

    • BBWA
      2013年12月1日 at 1:09 AM

      nino様

      返信ありがとうございます。

      電源でここまで変化するというのは面白いものです。
      電源は限りなく良質なものの方が良いというのは間違いなさそうですね。
      他のHPでHubのクロックを交換した方が居ましたが、それも効果大だそうです。
      時間も電源も理想に近づけば近づくほど良くなるものなのかもしれません。

      ファイルを一度インターネット上のディスクに飛ばしてから戻すことで、リッピングファイルの癖を消すというやり方もありますが、これもやってみるとなかなかいいです。音がすっきりするような気がします>
      面白い結果ですね。不思議なことのように感じます。再構築されるのでしょうか?

      • 2013年12月1日 at 10:31 AM

        >他のHPでHubのクロックを交換した方が居ましたが、それも効果大だそうです。

        こちらですね!!とことんやってますね。(^^;

        http://blog.goo.ne.jp/spider_veloce/e/f9cc9fca193b235d604c0e1f25e72ee9

        こう言うのを見るとホントに嬉しくなってきます。
        趣味というのは投下されたお金ではなく、手間と熱意によってこそ評価されるという、ごく真っ当なことがよみがえってきそうな気がします。

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