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ブラームス:ドイツ・レクイエム Op. 45
ルドルフ・ケンペ指揮:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 聖ヘトヴィク大聖堂合唱団 (Br)ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ (S)エリーザベト・グリュンマー 1955年録音をダウンロード
- Brahms:Ein deutsches Requiem (A German Requiem), Op. 45 [1.Selig sind, die da Leid tragen]
- Brahms:Ein deutsches Requiem (A German Requiem), Op. 45 [2.Denn alles Fleisch es ist wie Gras]
- Brahms:Ein deutsches Requiem (A German Requiem), Op. 45 [3.Herr, lehre doch mich]
- Brahms:Ein deutsches Requiem (A German Requiem), Op. 45 [4.Wie lieblich sind deine Wohnungen]
- Brahms:Ein deutsches Requiem (A German Requiem), Op. 45 [5.Ihr habt nun Traurigkeit]
- Brahms:Ein deutsches Requiem (A German Requiem), Op. 45 [6.Denn wir haben hie keine bleibende Statt]
- Brahms:Ein deutsches Requiem (A German Requiem), Op. 45 [7.Selig sind die Toten]
「人間の死」という問題を正面からとらえた作品
この作品が構想されたのは早くて、1857年頃から執筆されたと言われています。もちろん、そのきっかけとなったのは彼の師であり、世に出すために尽力してくれたシューマンの死がきっかけでした。
しかし、筆はなかなか進まなかったようで、それはいわゆる教会の典礼用の音楽としてではなく、完全に演奏会用の音楽として構想したことがその原因となったようです。
テキストはいわゆるレクイエムで用いられる典型的なラテン語による祈祷文ではなく、ルターによってドイツ語に翻訳されたテキストが用いられています。またその選択もブラームス自身が行い、彼自身も「キリストの復活に関わる部分は注意深く除いた」と語っています。そのため、ある種の約束事の枠の中にはめ込まれる一般的なレクイエムと比べると、その内容が似通ったものであったとしても、人間の死を悼む痛切な感情がより深くにじみ出すような音楽となっています。
「幸いなるかな、悲しみを抱くものは、かれらは慰められんゆえに。」という歌い出しを聞くたびに、若き日にあれやこれやと悩み苦しんでいたユング君は深く癒され勇気づけられたものです。
なお、この作品がブラームスの老母の死によって一気に完成に向かったという話は、半分は真実であり、半分はそれほど正確な話とは言い難いようです。確かに、追いたる母の死はブラームスにこのレクイエムの完成を急がせたことは事実ですが、構想は10年にわたって練り上げられており、決してこの作品に母の死が色濃く反映しているような作品にはなっていないからです。
この作品はそのような個人的なきっかけよりは、明らかに「人間の問題」を正面に据えたロマン派の音楽の中にあって、「人間の死」という問題を正面からとらえた作品と見るべきでしょう。
音楽の力
2011年3月11日に起こった巨大な地震を前にして呆然と立ちつくしてしまいました。
そして、そう言うときに、脳天気に新しい音源を追加しているような場合ではないと思いました。
しかし、それは、とんでもない考え違いだったようです。
被災地の方から「今夜はこのサイトで音楽を聴いて過ごそうと思います。 」という書き込みを頂いて、音楽の力を思い出させてくれました。
おそらく、遠く河内の国に住まう管理人が直接被災地に出向いてボランティアに参加することはかなり難しかろうと思います。しかし、このサイトを通じて、音楽の力で少しでも勇気づけられる方がいるなら、そのような音楽の力を信じてネット上に音楽を提供していくことだけが今の私にできることです。
このケンプのドイツレクイエムは、クランペラーのような完璧な巨大さはありません。しかし、これほど素朴にしみじみと人の心に入り込んでくる演奏はそうあるものではありません。
録音の冒頭がいささか音質が悪いのですが、少しすると安定してきます。全体としてみるならば、かなり優秀な部類に入るモノラル録音です。