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プッチーニ:アリア集
S:マリア・カラス セラフィム指揮 フィルハーモニア管弦楽団をダウンロード
- Puccini:歌劇「ジャンニ・スキッキ」より「私のいとしいお父さん」
- Puccini:歌劇「ボエーム」より「喜んでもとのところへ」
- Puccini:歌劇「ボエーム」より「私の名はミミ」
- Puccini:歌劇「蝶々夫人」より「誇りを保って生きれぬ者は」
- Puccini:歌劇「蝶々夫人」より「ある晴れた日に」
- Puccini:歌劇「マノン・レスコー」より「この柔らかなレースニ包まれても」
- Puccini:歌劇「マノン・レスコー」より「捨てられて、ひとり寂しく」
- Puccini:歌劇「修道女アンジェリカ」より「母さんもなしに坊やは死んだのね」
- Puccini:歌劇「トゥーランドット」より「この宮殿の中で」
- Puccini:歌劇「トゥーランドット」より「お聞き下さい王子さま」
- Puccini:歌劇「トゥーランドット」より「氷のような姫君の心も」
プッチーニのアリア集
<収録作品>
- 歌劇「マノン・レスコー」より「この柔らかなレースニ包まれても」
- 歌劇「マノン・レスコー」より「捨てられて、ひとり寂しく」
妖艶な美女マノンと、彼女に魅せられて転落の人生を歩む若き騎士デ・グリューの物語。プッチーニの出世作でもあります。
「この柔らかなレースニ包まれても」は第2幕で歌われるアリアですが、マノン最初の聞かせどころでもあります。ポイントは真実の愛を求める真摯で純粋な女性の姿が描き出せるか否かです。
「捨てられて、ひとり寂しく」はデ・グリューの「ご覧ください、私は狂っているのです」と並んで最も悲痛なアリアであり、このオペラ最大の聞かせどころです。本来は若く可憐な女性というイメージのマノンなのでリッリクな声が求められるのですが、実際の舞台ではかなり強靱なソプラノが受け持つことが多いのはこのアリアがあるからです。
死を前にして己の運命を振り返り、悲しみと絶望を歌い上げます。
- 歌劇「蝶々夫人]より「ある晴れた日に」
- 歌劇「蝶々夫人」より「誇りを保って生きれぬ者は」
「泣けるオペラ」というジャンルがあれば間違いなくトップ3には入るでしょう。行きずりの恋を求めたアメリカ軍人ピンカートンと、それを真実の愛と信じて待ち続けたお蝶さんの悲劇の物語です。
「ある晴れた日に」は今さら何の説明も必要ないほどの有名なアリアです。ピンカートンが帰ってくることを待ちわびる幻想が次第に現実味を帯びて、それをうっとりと歌い上げる場面は涙なしには聞けません。
「誇りを保って生きれぬ者は」取り出した担当に刻まれた銘文を読み上げるシーンから始まります。「Con onor muore chi non puo serbar vita con onore (誇りを保って生きれぬ者は名誉のために死すべし)」そして、短刀を振り上げようとしたときに駆け込んできた子どもをかき抱き、涙ながらに別れを告げるアリアが歌われます。
一部では、これを国辱的オペラとか、人種差別主義的オペラと非難する向きもあるようですが、きっとそんなことを言う人は実際の音楽は聞いたことがないのかもしれません。(^^;
- 歌劇「ボエーム」より「私の名はミミ」
- 歌劇「ボエーム」より「あなたの愛の呼ぶ声に」
パリに住む若きボヘミヤンたちの悲しくも切ない純愛物語です。
「私の名はミミ」は第1幕の最後に耳が自己紹介代わりに歌うアリアです。続く「あなたの愛の呼ぶ声に」は自分事を思うがゆえに別れを切り出した恋人への返歌です。
- 歌劇「修道女アンジェリカ」より「母さんもなしに坊やは死んだのね」
親の許さぬ結婚で子どもを身ごもってしまったために修道院におくられたアンジェリカの物語。
「母さんもなしに坊やは死んだのね」はその子どもが既に亡くなったことを知らされたアンジェリカが絶望の中で歌うアリア。
- 歌劇「ジャンニ・スキッキ」より「私のいとしいお父さん」
大富豪の遺産を巡る親戚間の騒動と、若い男女の恋を絡ませた一幕の喜劇です。
「私のいとしいお父さん」は今さら何の説明も必要としないほどに有名なアリアです。「私のいとしいお父様 あの方がとても好きなの これからポルタロッサへ指輪を買いに行くわ」というアホウみたいな歌詞ですが音楽は夢見るように美しい!!
- 歌劇「トゥーランドット」より「お聞き下さい王子さま」
- 歌劇「トゥーランドット」より「この宮殿の中で」
- 歌劇「トゥーランドット」より「氷のような姫君の心も」
荒川静香がこれで金メダルを取ったのですっかり有名になったオペラです。絶世の美女でありながら氷のように冷たく残忍な姫君と、そんな彼女に命がけで求婚する異国の王子の一大スペクタクルお伽噺です。
「お聞き下さい王子さま」は王子に使える可憐な女奴隷リュウのアリアです。リュウの可憐な性格と王子への恋心があふれ出す清冽なアリアであり、おそらくはプッチーニが書いた最も美しいメロディの一つでだと言い切れます。
「この宮殿の中で」はいよいよ姿を現したトゥーランドット姫の最初のアリア。超高難度のアリアとして有名です。
「氷のような姫君の心も」は死を覚悟したリュウの最後のアリアです。王子カフカのために死を選ぶ自己犠牲の悲劇が聞くものの涙を誘います。
こうしてみると、プッチーニって儚くもか弱い女性の悲恋の物語を書き続けた一生だったんですね。
マリア・カラス 全盛期の記録
プッチーニのアリア集などと言うものはそれこそ掃いて捨てるほど、言葉をかえれば「星の屑」ほどこの世に存在します。もちろん、屑ではないアリア集もたくさん存在するのですが、そんな数多あるアリア集の全てはこの録音の前にひれ伏します。
カラスの声はいわゆる「美声」とはほど遠いものです。「美声」と言えば、同じ時代にスカラ座の人気を二分したテバルディこそが典型です。
しかし、歌にこもる情念と言うことで言えば、まさにカラスの前にカラスなし、カラスの後にカラスなしという、絶対的な高みに達しています。その凄味の中味はと言えば、何と言っても一つ一つの言葉に込められたニュアンスの絶妙さでしょうか。おそらく、カラスという歌手の出現によって、オペラは初めて「歌合戦」から「演劇」へと変身したように思います。
ですから、歌われる場面がドラマティックであればあるほどに彼女の能力はフルに発揮されます。そして、もう一つ付けくわえておけば、「私の名はミミ」や「私のいとしいお父さん」を可愛らしく歌ったと思えば、氷のようなトゥーランドットも平気でこなせるのです。
それともう一つ凄いのはしわがれて重たい声で(一般的には悪声と言われながら)苦もなく高音域へと駆け上がっていくことです。それは、ほんの数年しかなかったと言われるカラスの全盛期を特徴づけるものですが、それこまさに「奇跡」としか言いようのないものです。
そして、そのような声の威力を持っていた絶頂期のカラスの凄さがここには刻印されているのです。
それともう一つ、セラフィムのバックは見事としか言いようがありません。このサポートがあってこそ、カラスは己の能力をフルに発揮できていることがよく分かります。