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ビゼー:子供の遊び(管弦楽版小組曲)
エドドゥアルド・リンデンベルグ指揮 パリ音楽院管弦楽団 1953年6月12日~25日録音をダウンロード
- Bizet:Jeux d'enfants [1.Trompette et Tambour (Marche)]
- Bizet:Jeux d'enfants [2.La Poupee (Berceuse)]
- Bizet:Jeux d'enfants [3.La Toupie (Impromptu)]
- Bizet:Jeux d'enfants [4.Petit mari, petite femme! (Duo)]
- Bizet:Jeux d'enfants [5.Le Bal (Galop)]
今では管弦楽版の方が有名なようです。
このような「子供の・・・」というタイトルと方向性をもった作品というのは、西洋音楽の中において一つのジャンルとして存在するのでしょうか。
おそらく一番有名なのはシューマンの「子供の情景」でしょう。
言うまでもなく、こういう作品は「子供のための3つのピアノソナタ」みたいな子供の学習用としてではなく、子供をテーマにした大人のための音楽であることは言うまでもありません。有名な「子供情景」も、クララがシューマンに宛てた手紙の中で「時々あなたは子供に思えます」と書いたことが一つのきっかけとして生まれた音楽です。
クララからそんなことを言われて有頂天になったシューマンが、その「言葉の余韻の中で作曲したのです。」
それからもう一つ有名なものとしてドビュッシーの「子供の領分 」があります。
この作品には「父親の優しい言いわけ」という献辞がついているのですが、この「言い訳」が分かるのは大人だけです。
どろどろの不倫劇の果てに全ての友人を失い、その果てに生まれた娘への溺愛の産物なのですから、そんな男の言い訳が子供に分かるはずはないのです。
そう言う作品に較べると、ビゼーの「子どの遊び」は知名度という点では見劣りがします。そして、これはもしかしたら子供用の連弾曲として構想されたものかもしれません。
ただし、聞いてみると、これが意外なほどに素晴らしい音楽であり、口の悪い人に言わせれば「ビゼーの最高傑作」なんて事も言われたりします。(そりゃ、いくら何でも・・・)
ただし、作品の出来にはビゼー自身も自信があったのでしょう。
12曲のピアノ用連弾曲として作曲されたものを、そこから5曲選び出して管弦楽曲として編曲しているのです。そして、この管弦楽版は連弾曲と区別するために、一般的に小組曲「子どもの遊び」 と呼ばれます。
子供の遊び (ピアノ連弾曲)
- ぶらんこ(夢想) L'Escarpoletto (Reverie)
- こま(即興曲) La Toupie (Impromptu)
- お人形(子守歌) La Poupee (Berceuse)
- 回転木馬(スケルツォ) Les Chevaux de Bois (Scherzo)
- 羽根つき(幻想曲) Le Volant (Fantaisie)
- ラッパと太鼓(行進曲) Trompette et Tambour (Marche)
- シャボン玉(ロンディーノ) Les Bulles de Savon (Rondino)
- 陣取り鬼ごっこ(スケッチ) Les quatre Coins (Esquisse)
- 目かくし鬼ごっこ(夜想曲) Colin-maillard (Nocturne)
- 馬とび(奇想曲) Saute-Mouton (Caprice)
- 小さな旦那様、小さな奥様(二重奏) Petit mari,petite femme! (Duo)
- 舞踏会(ギャロップ) Le Bal (Galop)
小組曲「子どもの遊び」(管弦楽版)
- ラッパと太鼓(行進曲) Trompette et Tambour (Marche)
- お人形(子守歌) La Poupee (Berceuse)
- こま(即興曲) La Toupie (Impromptu)
- 小さな旦那様、小さな奥様(二重奏) Petit mari,petite femme! (Duo)
- 舞踏会(ギャロップ) Le Bal (Galop)
今日では、ビゼーの「子供の遊び」と言えばこちらの管弦楽版の方が有名なようです。
聞くところによると、連弾曲は譜面ヅラは易しそうなのに、二人できちんとあわせるとなると結構厄介な代物らしいです。
暖かくて気持ちが落ちつくような音楽
はてさて、今の時代に「エドゥアルド・リンデンバーグ」という名前を聞いて何か具体的なイメージを描ける人ってどれくらいいるのでしょうか。私の場合は、完璧に「Who are You?」でした。そして、こういうサイトを長くやっていて「有り難い」のは、聞いて終わりであれば「Who are You?」ですむのですが、何かを書かなければいけないという「枷」をはめられていますから、何とかして調べてみると言うことになります。
おかげで、得たものも大きかったんだなあ・・・と、遠くを見つめる私であります・・・。(^^;
と言うことで、調べて分かったことは以下の通りです。
エドゥアルド・リンデンバーグは1908に今のルーマニアで生まれ1973にフランスのパリでなくなっています。
指揮の基本はヘルマン・シェルヘンに師事したようで、その後、指揮活動と同時に教育活動も行い、あの爆裂指揮者と誤解されることの多いコンスタンティン・シルヴェストリとは教師仲間だったようです。
そして、戦後は活動の拠点をパリに移し、モノラル期にはパリ音楽院管弦楽団やフランス放送国立管弦楽団、コンセール・パドルー管弦楽団を指揮していたようです。
さらに、このパリでも教育活動は続けていたようで、小澤征爾もこのリンデンバーグに学んでいたようです。
芸風は、実際に聞いてもらえば分かると思うのですが、この時代の流れに沿った明晰な表現を基本としているのですが、どこかほっこりとした雰囲気もあって、この時代のヨーロッパの地方都市にいそうな鷹揚な指揮者の一人という感じです。
つまりは、灰汁は強くはないけれども、暖かくて気持ちが落ちつくような音楽を安心して聞かせてくれる指揮者と言えるのでしょう。
そして、最近感じるのは、あまりにも多くの「オレが、オレが」という強い自己主張と、それを正当化するためのあれこれの言い訳に満ちた演奏を聞かされ続けてきたというか、自分でもそれがいいと思って聞き続けてきたと言うべきか、つまりはそう言う演奏に埋もれてきた後で60歳も超えてくると、なんだかこういう演奏に安心感を感じる自分に気づくのです。
さらに有り難いのは、彼の録音はステレオ初期にエラートの廉価盤としてそこそこでまわっていたようなので、300円均一の中古レコードのコーナーでそこそこ発見できることです。
まあ、活力溢れる若い人には物足りなさを感じるかもしれませんが、こんな世の中ですからこういうほっこりとした演奏もたまにはいいのではないでしょうか。