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ベートーベン:ピアノソナタ第15番「田園」
(P)バックハウス 1953年11月録音をダウンロード
- ベートーベン:ピアノソナタ第15番 ニ長調 Op.28 「田園」 「第1楽章」
- ベートーベン:ピアノソナタ第15番 ニ長調 Op.28 「田園」 「第2楽章」
- ベートーベン:ピアノソナタ第15番 ニ長調 Op.28 「田園」 「第3楽章」
- ベートーベン:ピアノソナタ第15番 ニ長調 Op.28 「田園」 「第4楽章」
二つの性格の使い分け
激しく積極的な性格と、その反対の平穏で客観性にあふれた性格を同時に並行させるのがベートーベンの特長でした。
その一番有名な例は交響曲の運命と田園の関係です。
それと同じ事が、このソナタと、前作の作品27,27との間にも指摘できます。
とりわけ前作の作品27とこの28はほぼ同じような時期に作曲されているのですが、性格は正反対です。前作では「月を見て狂ったのか!」というほどに激しい感情を爆発させているのに、この田園ソナタでは4楽章の古いスタイルに戻るだけでなく、実に穏やかでのびやかな音楽となっています。
ただし、田園という表題は後の時代に出版屋がつけた物で、ベートーベンのあずかり知らない物です。
ピアノソナタ15番「田園」 Op.28 ニ長調
第1楽章
アレグロ ニ長調 4分の3拍子 ソナタ形式
第2楽章
アンダンテ ニ短調 4分の2拍子 三部形式
第3楽章
アレグロ・ヴィヴァーチェ ニ長調 スケルツォ
第4楽章
アレグロ、マ・ノン・トロッポ ニ長調 8分の6拍子 ロンド
バックハウス全盛期の演奏
バックハウスはモノラルの時代とステレオの時代にそれぞれ全集を録音しています。(ただし、29番「ハンマークラヴィーア」のみはステレオでの再録音がされなかったのでモノラル時代の録音が流用されています)
以前は随分と高価なボックスだったように記憶しているのですが、最近はどのような仕掛けがあるのか分かりませんが、イタリア・ユニーバーサルからかなり安価な値段で供給されるようになりました。
ところが、面白いのが、音質的には劣るモノラル録音の方がステレオ録音よりも高く値段が設定されていることです。
この手のものはお店によって価格設定が変わることが多いのですが、私がよく利用しているお店では
モノラル録音が10000円
ステレオ録音が6900円
に設定されています。
こういう古い録音は最終的には需要と供給の関係で決まるようですから、多くの人が音質的には劣ることは分かっているのにモノラル録音を求めることをこの事実は示しています。
理由はいうまでもありません、演奏そのものが圧倒的にモノラル録音の方が優れているからです。
日本では何故かシルバーシート優先で老大家の枯れた演奏を持ち上げる習慣があるのですが、いうまでもなく、その様な「枯れた演奏」よりは脂ののりきった全盛期の演奏の方が優れていることが多いのは自明の理です。とりわけ、この23番のような覇気満々たる作品であるならばそのアドバンテージは絶対的です。
ステレオ録音によるバックハウスしか聞いたことがない人には是非とも一度は聞いてもらいたい演奏です。