ワンダ・ランドフスカ・プレイズ・RCA・バッハ録音集

“懐かしのRCAレッド・シールからの復刻で、RCAに残したバッハ録音のほとんどを収録した内容です。
 主にプレイエル社製の大型近代チェンバロを使用し、現在の古楽系(レオンハルトなど)とは全く違った音色と解釈が懐かしく、また左手の充実や音色変化が興味深く感じられます。”

ワンダ・ランドフスカ・プレイズ・RCA・バッハ録音集
icon

20071229-042.jpg

以前に「United Archives」よりリリースされた8枚組とはだぶる部分がないので、これは注目でしょう、・・・と言うか、こちらの方が先にリリースされているので、それを意識して「United Archives」の方がだぶらないようにしたというのが正しい言い方かもしれません。
チェンバロという楽器はピアノと比べれば表現能力に劣ることは否めません。とりわけその音量の小ささと音色変化の乏しさはいかんともしがたいものがあります。しかし、ポリフォニックに入り組んだ音楽でその内部構造をクリアに浮かび上がらせようとするとその「欠点」が大きな「長所」となります。
ところが、ランドフスカはその様なやり方で「欠点」を「長所」に転化させようとするのではなく、チェンバロそのものを改良してピアノに負けないほどの音量と音色をもったモダンチェンバロを作り上げて「欠点」を克服しました。この「改良」を請け負ったのがプレイエル社でした。
ですから、ランドフスカのチェンバロ演奏を昨今のピリオド演奏のイメージで聴くとひっくり返ってしまいます。そして、それ故にランドフスカの作り上げた特注チェンバロは現在のピリオド演奏家たちからは蛇蝎のごとく嫌われています。
実に楽しい話です。
おそらくはランドフスカの芸はこの後も長く世に伝わるでしょうが、星の数(屑?)ほど生み出されたピリオド演奏の大部分は世紀末に現れた徒花として消え去っていくのでしょう。
時間は常に最も公正で厳格なジャッジです。


<収録作品>
・[平均律クラヴィーア曲集第1&2巻BWV846-893]
(第1巻:1949?1951年RCAニューヨークスタジオ、第2巻:1951?1954年録音*)
・[ゴルトベルク変奏曲 BWV988](1945年ニューヨークでの録音),
・[幻想曲とフーガBWV906]&[パルティータ第2番BWV826](1957年録音*)
・[ヴィヴァルディ原曲によるチェンバロ協奏曲BWV972] &[前奏曲とフーガと
アレグロBWV998] &[幻想曲BWV919](1946年ニューヨーク・ロータスクラブでの録音)
・[2声のインヴェンションと3声のシンフォニア BWV772?801]
(2声:1954-1955年録音*、3声1958-1959年録音*)、
・[カプリッチョ『最愛の兄の旅立ちに寄せて』BWV992](1957年録音*)
(*印は、コネティカット州レイクヴィル、ライドフスカ宅での録音)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です