藤井聡太がAIを超えた・・・?

最近、「藤井聡太がAIを超えた!」と言うニュースをネット上で見かけました。
藤井聡太の凄さはあらためて再認識しているところなのですが、さすがに「AIを超えた!」はないだろうと思いながら、話題のネタ元になっている竜王戦の対石田5段戦の棋譜をチェックしました。

しかしながら、棋譜を並べてみれば「さすがにAIを超えた!」はないだろう等という思いは吹っ飛んでしまいました。
自分で棋譜を並べることが出来て、それを少しは理解できる人間ならば誰もが開いた口がふさがらなかったはずです。
いったい、この凄さをどのように説明すればいいのでしょうか。
「開いた口がふさがらない」という書き方をしたのですが、もう少し正確に言えば「戦慄」にもにた怖さすら感じてしまうのです。その指し手を追っているうちになんだかとても恐いものを見たような気分にさせられるほどの凄みがあったのです。

問題はこの局面から始まります。

普通はこの歩は取れない

普通はこの歩をとってはいけません。そんな事は将棋というものを習い始めたレベルの人でも分かるはずです。
ところが、藤井聡太はそのやってはいけないことをやってしますのです。

では、何故この歩を取ってはいけないのか?
それは、このように銀を打ち込まれると飛車と金の両取りになってしまうからです。

ほら、銀の割り打ちを食っちゃった

この銀は「割り打ち」と言って、絶対に喰らってはいけない一着なのです。
ですから、AIの評価値もこの手を境に一気に先手の石田5段有利の方にふれてしまうのです。

しかし、指しているのは藤井聡太なのですから、何か目算があるのかと指し手をすすめていくと、飛車を走って、さらには76の銀を取るのですが、そこで77歩と対応されてしまうと、依然として飛車と金の両取りは残っています。

依然として飛車金両取りは残る・・・どうするのよ!!

さらに言えば、飛車を逃げれば63銀成りと金を取った手が見事なまでの左右挟撃体制になっています。
「AI」の評価値もますます先手有利の方にふれていきます。

ところがここで驚愕の一手がでるのです。

77飛車成り!!

ウギャギャギャーーーッ!!

おそらくこの局面で「次の一手」として出題してもこの手を言い当てられる人は殆どいないでしょう。
それほどの驚天動地の一手です。
そして、驚くのは、藤井聡太は63の歩を同金と取って割り打ちを喰らった時点でこの手が見えていたと言うことです。

では、どうしてこの飛車捨てが凄いのかというと、同金と飛車を取った手に対して85桂と跳ね出されてみるとあっという間に先手が「詰み筋」に入ってしまっているのです。
そして、藤井は63の歩を同金と取りきった時点でこの詰み形がイメージとして浮かんでいたことは間違いないのです。

恐るべし、これであっという間に詰み筋

もちろん、それを後から解き明かしてもらえば「なるほど」と納得はするのですが、あの局面において最後の詰み形をイメージできるというのはもはや人間のレベルをこえています。
そして、その局面での評価を「AI」ですらも誤ったと言うことで「藤井聡太がAIを超えた!」と言うニュースがネット上を駆けめぐったのです。

どうやら藤井聡太という存在は「凄い」と感心されるレベルから、多くのプロ棋士から恐れられる存在へと変身したようです。
そして、こんな将棋を指されてしまうと、もはや彼に勝てる相手はいないのではないかとすら思ってしまうのです。

もちろん、藤井聡太も人間ですから、常にこのレベルを維持し続けられるわけではないので、何かの拍子で「緩んだ」時にはチャンスはあるかも知れません。しかし、今の充実ぶりを見ていると、このまま竜王戦の本戦トーナメントも勝ち進んで羽生とタイトル戦と言うことも現実味を帯びてきたように思われます。

なお、棋譜はこちらから参照できます。興味のある方はぜひとも眺めてみてください。

石田直裕 五段 vs. 藤井聡太 七段 第31期竜王戦5組ランキング戦


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