“マーラー生誕150周年を記念した18枚組ボックス。交響曲全曲はもちろん、歌曲・室内楽や『花の章』『葬礼』から『3人のピント』間奏曲までカバーした作品集で、ドイツ・グラモフォンとデッカ、フィリップスなどの制作になる定評ある名演を中心にした豪華な内容となっています。”
DG マーラー・コンプリート・エディション(18CD)
EMIが「何の統一感もポリシーも感じられないごった煮のボックス」をリリースしたと思ったら、DGもそれに負けじと同様のボックスをリリースしました。
ちなみに、DGのラインナップは以下の通り。
CD 1 交響曲第1番 クーベリック (DG)
CD 2 交響曲第2番 メータ (DECCA)
CD 3 交響曲第3番 ハイティンク (PHILIPS)
CD 4 交響曲第3番 ハイティンク (PHILIPS)
CD 5 交響曲第4番 ブーレーズ (DG)
CD 6 交響曲第5番 バーンスタイン (DG)
CD 7 交響曲第6番 アバド (DG)
CD 8 交響曲第7番 シノーポリ (DG)
CD 9 交響曲第7番 シノーポリ (DG)
CD10 交響曲第8番 ショルティ (DECCA)
CD11 交響曲第9番 カラヤン (DG)
CD12 交響曲第9番 カラヤン (DG)
CD13 交響曲第10番 シャイー (DECCA)
CD14 大地の歌 ジュリーニ (DG)
CD15 子供の魔法の角笛 アバド (DG)
CD16 さすらう若人の歌 バーンスタイン (DG)
CD17 嘆きの歌 シャイー (DECCA)
CD18 若き日の歌 ほか (DG・TELDEC)
EMIにも負けないほどの統一感の無さです。
ちなみに価格設定の方は、EMIは16CDで3962円に対して、DGは18CDで4550円!!一枚あたりの単価はEMIの方が数円安い!
まさにバナナの叩き売り状態です。
ただし、この責任は企画に当たる末端ではなくて、経営者の側にあることは明らか。
クラシック音楽もポップスと同じように単年度での利益が求められるようになり、長いスパンでの腰を据えた企画を立てることが不可能になっていると聞きます。
過去を振り返れば分かるように、クラシック音楽の音源というものは、短期間で爆発的に売れると言うことはあり得ません。しかし、長いスパンで見れば地道に売れ続けて、最終的にはドル箱になるような音源も少なくありません。(もちろん、最初も売れず、その後も売れる事なく消えていくものも数多くありますが、それはポップスも同じです)
ポップスの世界は、莫大な宣伝費をつぎ込んで特定の人間を売り出し、それを徹底的に消費つくして利益を上げるというのが基本的な構造です。結果として、多くの人間が消費されつくして消えていく中で、ごく限られた人間だけが生き残る世界です。
しかし、同じ構造がクラシック音楽の世界に通用するとは思えません。なぜなら、短期といえども「爆発的に売れる」と言うことが絶対にないからです。
もともとが単年度で利益を生むような世界ではないのです。だとするならば、どうしても長期のスパンで人を育て、長期のスパンで利益を云々しないと成りたたない世界なのです。
おどらく、このEMIの企画は、単年度での利益を迫られてひねり出したものでしょう。DGの企画は、EMIの企画への対抗としても意味しか持たないものでしょう。
結局は過去の遺産を食いつぶしか生き残る道は残っていないのでしょうか。
管理人さん、こんにちは
DGも出すんですね。EMIのときは気にしなかったのですが、どちらも輸入盤なのですね。
とすると、日本で購入するのは限られた「分かった層」になるのかもしれませんね。
前回投稿してから思い返してみて、解説書が充実していればこういう企画もありかな、とは考えていたのですが、解説なし(外国語)では普通の人は買いづらいでしょうから。
私が思うにあちらの盤は解説がしっかりついているものが多いですね。(特に一枚もの、逆にあっさり曲目しかないものもありますが・・・)その辺に企画者の意気込みの違いが出ているのかもしれません。クラシックを難しい音楽とはとらえて欲しくはないですが、ある程度背景などが分かって本当の面白さが分かるジャンルとも感じています。その辺を日本の発売元はどう考えているのでしょうね。
>単年度での利益が求められるようになり、長いスパンでの腰を据えた企画を立てることが不可能になっていると聞きます。
企業体としてはその辺がややこしいところですよね。リスナーが少ないということは、開拓する余地はかなりあるとも捉えられます。
私的には、こういう企画も行いつつ、もっと一般に啓蒙するような方法を模索して欲しいと思います。
「のだめ」みたいなものも良いですが、もっと生活に浸透するようなものという意味で・・・
結局、普通の人に認知されるようにならないと浸透したとは言い難いですから。
かなり昔のサントリーのコマーシャルなどは、クラシックなんか興味がなかった自分にはかなりインパクトがありましたね。なんか凄そうな、こんな雰囲気の曲があるんだって画面と曲が結びついて強く印象に残っています。
ここまでお金をかけたプロモーションでなくとも、アピールする手段はたくさんありそうですよね。
良いものは良いのですから、ガンバレ企業人