“「ローマの休日」など53年に公開された映画の格安DVDをめぐり、米国の映画会社が販売差し止めを求めた仮処分申請で、東京地裁(高部眞規子裁判長)は11日、申請を却下する決定をした。映画の著作権保護期間を50年から70年に延長した改正著作権法(04年1月1日施行)が、ヒット作が多い53年公開作品に適用されるかどうかについての初の司法判断で、申請者が根拠とした文化庁著作権課の見解も否定された。”
asahi.com:格安DVD販売認める 「著作権消滅」と東京地裁-ビジネス
きわめて明確な判決であり、さらに、著作権ビジネスの番犬の役目を常に果たしてきた「文化庁」の見解に対しても明確に「誤り」であると断罪しました。
これで判決が確定したわけではありませんが、論旨がきわめて明確なだけに常識で考えれば覆ることはないでしょう。
さて、この判決が我がサイトにどういう影響を与えるのかというと、小さい影響が一つ、そして大きな影響が一つあります。
まずは小さな影響から・・・。
2003年の著作権法の改悪で、隣接権の起算点が録音から発売に変更されました。今までは文化庁の見解にしたがって、1952年以降の録音にこの改悪が適用されるとなっていたのですが、東京地裁の判決に従えば、この法改悪が適用されるのは1953年以降の録音と言うことになります。
つまり、1952年の録音までは発売年の如何に関わらずすべてパブリックドメインとなります。
次に大きな影響・・・になればいいなと言うこと。
それはこの数十年にわたって著作権関連の保護期間は引き延ばされ続けてきました。しかし、著作権法がその目的としている「文化の発展」に寄与するためには、はたしてそのように長期化することが望ましいのかどうか、初めて一石を投じたという意味で重要な意味を持っています。
願わくば、これを一つの契機として、著作権法のあり方が根本的に議論されればいいなと心から願っています。