エリカ・モリーニの芸術(11CD)

オーストリア出身のヴァイオリン奏者として、わずか14歳で、オーケストラと共演するなど、早くからその天賦の才能を発揮した彼女は、1938年にアメリカに移住、その後は、1976年に引退するまで、演奏活動を続けました。
必ずしも録音は多いとは言えませんが、本盤の“ウエストミンスター&アメリカ・デッカ・レコーディングス”では、モリーニならではのエレガントで正統的なスタイルによる素晴らしい演奏を堪能することができます。

エリカ・モリーニの芸術(11CD)
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morini

デ・ヴィートほどのビッグネームではないだけに、こういうまとまった形でボックス盤がリリースされるのは有り難いことです。
本当に、最近の韓国系のレーベルは元気ですね。

モリーニというヴァイオリニストと初めてであったのは、セルとの協演盤においてでした。確か、セルが初めてザルツブルグ音楽祭に参加したときに彼女を連れて行ってモーツァルトのコンチェルトを演奏していた時のCDです。ただし、演奏に関してはほとんど(全く^^;)記憶に残っていないことを考えると、それほど感心はしなかったと言うことなのでしょう。
ただし、今回調べてみて分かったことは、あの録音をなしたときは既に50代も半ばを超えた頃で、全盛期からは少しばかり下り坂に入った頃だったこと、さらに言えば、モーツァルトというのは必ずしも彼女にとっては得意とするレパートリーではなかったと言うことも差し引かなければいけなかったようです。

デ・ヴィートにしてもそうですが、(ヨハンナ・マルティなども同様)50年代の初め頃に全盛期を迎えた人というのは、何とも言えない味わいを持ったヴァイオリニストが多いようです。特に、モリーニはレパートリーの極めて狭いヴァイオリニストだったようで、とりわけブラームスへの偏愛を隠さない人でした。
そして、ブラームスに深く傾倒すると言うことから想像がつくように、彼女の演奏は官能性の勝ったデ・ヴィートとは対照的に極めて折り目正しいものでした。

ただし、どの国においても、女流ヴァイオリニストには折り目正しさよりはある種の官能性を求める人が多いですから、どうしても彼女のような存在は日々影が薄くなって言ってしまいがちです。
ただ不思議なのは、二人の写真を見る限り、外見からは全く正反対に見えることです。まあ、女性を見た目で判断するのは無礼であることは承知していますが、何とも言えず不思議な思いにとらわれます。

すでに、在庫は少なくなっているようなので、これもまた値崩れはしそうにありません。興味のある人は早めに注文した方が良さそうです。

収録内容

CD 1
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 OP.35
1. Allegro moderato [17:28]
2. Canzonetta, Andante [6:28]
3. Allegro vivacissimo [8:14]

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 OP. 77
4. Allegro non troppo [20:50]
5. Adagio [9:17]
6. Allegro giocoso ma non troppo vivace [7:58]

エリカ・モリーニ(ヴァイオリン)
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
アルトゥール・ロジンスキー(指揮)

CD 2
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調 OP.100
1. Allegro amabile [7:38]
2. Andante tranquillo – Vivace [6:24]
3. Allegretto grazioso [5:01]

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調 OP.108
4. Allegro [8:04]
5. Adagio [4:24]
6. Un poco presto e con sentimento [2:51]
7. Presto agitato [5:41]

エリカ・モリーニ(ヴァイオリン)
レオン・ポマーズ(ピアノ)

CD 3
タルティーニ:ヴァイオリン・ソナタ ト短調 “悪魔のトリル”
1. Larghetto affetuoso [2:51]
2. Allegro [2:57]
3. Grave – Allegro assai [8:23]

4. VARIATIONS ON A THEME OF CORELLI [3:01]

タルティーニ:ヴァイオリン・ソナタ ト短調”捨てられたディド”
5. Adagio [5:15]
6. Non troppo presto [2:49]
7. Largo ~Allegro commodo [5:38]

CD 4
1. シューベルト(ウィルヘルミ編):アヴェ・マリア [5:30]
2. クライスラー:ウィーン奇想曲 [4:00]
3. クライスラー:美しきロスマリン [1:32]
4. ホイベルガー(クライスラー編):真夜中の鐘 [3:28]
5. チャイコフスキー(ブルメスタ編):ナポリの歌 OP.39, NO.18 [2:04]
6. グリュック(クライスラー編):メロディ(精霊の踊り) [3:02]
7. グノー(サラサーテ編):歌劇「ファウスト:~ワルツ [2:33]
8. パラディス(ドゥシュキン編):シチリア舞曲 [3:06]
9. チャイコフスキー(スウェット編):無言歌OP.2, NO.3 [2:28]
10. ゴダール:ヴァイオリン協奏曲「ロマンティック」~カンツォネッタOP.35 [3:12]
11. クライスラー:愛の悲しみ [3:17]
12. シャミナード(クライスラー編):スペインのセレナード [1:55]
13. モーツァルト(ブルメスター編):メヌエットNO.1 [3:47]

エリカ・モリーニ(ヴァイオリン)
レオン・ポマーズ(ピアノ)

CD 5
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第4番ハ短調 OP.18, NO.4
1. Allegro ma non tanto [9:17]
2. Scherzo: Andante scherzoso quasi allegretto [5:25]
3. Menuetto: Allegretto [4:04]
4. Allegro [4:02]

モーツァルト:弦楽四重奏曲第23番へ長調 K. 590

5. Allegro moderato [8:50]
6. Andante [5:43]
7. Menuetto: Allegretto [4:05]
8. Allegro [4:30]
モーツァルト:弦楽四重奏曲第23番へ長調 K. 590 (ステレオ録音版)
9. Allegro moderato [8:46]
10. Andante [5:41]
11. Menuetto: Allegretto [4:04]
12. Allegro [4:31]

エリカ・モリーニ(ヴァイオリン)
フェリックス・ガリミール(ヴァイオリン)
ワルター・トランプラー(ヴィオラ)
ラザロ・ヴァルガ(チェロ)

CD 6
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタハ長調 K.296
1. Allegro vivace [6:28]
2. Andante sostenuto [4:59]
3. Rondo: Allegro [4:18]

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第3番変ホ長調 OP.12, NO.3
4. Allegro con spirito [5:56]
5. Adagio con molt’ espressione [6:02]
6. Rondo: Allegro molto [4:24]

,ヴィヴァルディ:ヴァイオリン・ソナタニ長調
7. A Fantasia~ Allegro [4:29]
8. Adagio~ Allegro [3:50]

タルティーニ:ヴァイオリン・ソナタト短調”捨てられしディドーネ”
9. Adagio [4:48]
10. Non troppo, presto [1:59]
11. Largo ~ Allegro commodo [4:25]

エリカ・モリーニ(ヴァイオリン)
ルドルフ・フィルクスニー(ピアノ)
レオン・ポマーズ(ピアノ)

CD 7
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第8番ト長調 OP.30, NO.3
1. Allegro assai [4:51]
2. Tempo di Minuetto, ma molto moderato e grazioso [7:51]
3. Allegro vivace [3:37]

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番二短調 OP.108
4. Allegro [7:58]
5. Adagio [4:18]
6. Un poco presto e con sentimento [2:56]
7. Presto agitato [5:43]

8. ペルゴレージ:ヴァイオリン・ソナタト長調 ~アンダンテ [3:29]

ナルディーニ:ヴァイオリン・ソナタニ長調
9. Adagio [2:48]
10. Allegro con fuoco [7:17]
11. Larghetto [2:38]
12. Allegretto grazioso [4:38]

エリカ・モリーニ(ヴァイオリン)
ルドルフ・フィルクスニー(ピアノ)
レオン・ポマーズ(ピアノ)

CD 8
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調OP.24 “春”
1. Allegro [9:22]
2. Adagio molto espressivo [5:48]
3. Scherzo: Allegro molto [1:13]
4. Allegro ma non troppo [6:25]

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第7番ハ短調 OP.30, NO.2
5. Allegro con brio [7:27]
6. Adagio cantabile [8:54]
7. Scherzo: Allegro [3:26]
8. Finale: Allegro [5:24]

エリカ・モリーニ(ヴァイオリン)
ルドルフ・フィルクスニー(ピアノ)

CD 9
フランク:ヴァイオリン・ソナタイ長調
1. Allegretto ben moderato [5:26]
2. Allegro [8:15]
3. Recitativo – Fantasia: ben moderato [6:19]
4. Allegro poco mosso [5:55]

モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ変ホ長調 K.481
5. Molto allegro [7:21]
6. Adagio [8:43]
7. Allegretto – Allegro [7:09]

エリカ・モリーニ(ヴァイオリン)
ルドルフ・フィルクスニー(ピアノ)

CD 10
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調 K.218
1. Allegro [10:08]
2. Andante cantabile [7:57]
3. Rondo: Andante grazioso – Allegro ma non troppo [7:28]
バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調BWV. 1041
4. Allegro [3:53]
5. Andante [5:50]
6. Allegro assai [3:51]

エリカ・モリーニ(ヴァイオリン)
プリンストン室内管弦楽団
イーゴリ・キプニス(ハープシコード) (4-6)

CD 11
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調 K.219 “トルコ風”
1. Allegro aperto [10:46]
2. Adagio [11:31]
3. Rondo: Tempo di Menuetto [9:53]

バッハ:ヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調 BWV.1042
4. Allegro [8:50]
5. Adagio [7:23]
6. Allegro assai [2:59]

エリカ・モリーニ(ヴァイオリン)
ムジカ・エテルナ室内管弦楽団
アルバート・フラー(ハープシコード) (4-6)
フレデリック・ヴァルトマン(指揮)

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