コンヴィチュニーの芸術(13CD)

すべてゲヴァントハウス管弦楽団とのステレオ録音
往年のドイツの名指揮者フランツ・コンヴィチュニー[1901-1962]が、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団を指揮してステレオで遺したセッション・レコーディングをCD13枚分集めたボックス・セット。

コンヴィチュニーの芸術(13CD)
icon
Konwitschny

コンヴィチュニーの録音はかなりアップしてあるのですが、パッケージという形で手元に置きたいという人には願ってもないボックス盤です。(13枚セットで3500円前後!!)
コンヴィチュニーと言う指揮者の特徴をざっとあげてみろと言われれば、私は以下の3点に集約できるかと思います。

  1. ふくよかで暖かみのあるオケの響きの素晴らしさ
  2. ドイツの力こぶ!
  3. 隅々まで指示が行き届いた音楽

昨今のオケと比べれば機能的とは言えないのでしょうが、それでもこの生成りのザラッとしたような響きは魅力的です。そして、馬鹿ウマではないけれども、内部の見通しも良く透明感も失っていません。
次に、ドンと構えていて、ここぞというところではぐっと力こぶが入る演奏というのは、聞けそうでいて、現実にはなかなか聞けない音楽です。
そして最後に、一つ一つのフレーズや響きには(おそらくは劇場的な継承として伝統的に引き継がれてきたであろう)微妙なニュアンスが込められていて、この録音に向けてさぞや何度も練習を積み重ねただろうなと思わせられます。

次から次へと「お仕事と」として数をこなすことが「キャリア」に結びつく時代には絶対に聞くことのできない音楽です。
収録されている録音は既に何度も発売されたことのあるものですが、ベートーヴェンの大フーガ(弦楽合奏版)のように久しぶりに復刻された音源も含まれているようです。かといって、そのためだけにゲットするのかと言われればいささか躊躇いは生じますが、手元にコンヴィチュニーの録音があまりないという人には狙い目のボックズ盤かと思います。

【収録情報】
Disc1
・シューマン:交響曲第1番変ロ長調 Op.38『春』
・シューマン:交響曲第2番ハ長調 Op.61
 録音:1960~1961年

Disc2
・シューマン:交響曲第3番変ホ長調 Op.97『ライン』
・シューマン:交響曲第4番ニ短調 Op.120
 録音:1960~1961年

Disc3
・シューマン:序曲、スケルツォとフィナーレ ホ長調 Op.52
・シューマン:歌劇『ゲノヴェーヴァ』序曲 Op.81
・シューマン:コンツェルトシュテュック へ長調 Op.86
・シューマン:劇音楽『マンフレッド』序曲 Op.115
 ペーター・ダム、ヘルマン・メルケル、ヴェルナー・ピルツ、ゲオルク・ベーナー(ホルン)
 録音:1960~1961年

Disc4
・ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調 Op.21
・ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調 Op.36
・ベートーヴェン:バレエ音楽『プロメテウスの創造物』序曲 Op.43
 録音:1959~1960年

Disc5
・ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 Op.55『英雄』
・ベートーヴェン:『レオノーレ』序曲第1番 Op.138
・ベートーヴェン:レオノーレ序曲第2番 Op.72a
 録音:1960~1961年

Disc6
・ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調 Op.60
・ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 Op.67
 録音:1960~1961年

Disc7
・ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調 Op.68『田園』
・ベートーヴェン:『レオノーレ』序曲第3番 Op.72b
・ベートーヴェン:序曲『フィデリオ』 Op.72c
・ベートーヴェン:序曲『コリオラン』 Op.62
 録音:1959~1960年

Disc8
・ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 Op.92
・ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調 Op.93
 録音:1959、1961年

Disc9
・ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調 Op.125『合唱』
 インゲボルク・ヴェングロル(ソプラノ)
 ウルズラ・ゾレンコップ(アルト)
 ハンス=ヨアヒム・ロッチェ(テノール)
 テオ・アダム(バス)
 ライプツィヒ放送合唱団
 録音:1959、1961年

Disc10
・ベートーヴェン:合唱幻想曲ハ短調 Op.80
・ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
 ギュンター・コーツ(ピアノ/合唱幻想曲)
 ライプツィヒ放送合唱団(合唱幻想曲)
 録音:1960、62年

Disc11
・ブルックナー 交響曲第5番変ロ長調 WAB 105 (第1・2楽章)
 録音:1961年

Disc12
・ブルックナー交響曲第5番変ロ長調:WAB 105 (第3・4楽章)
 録音:1961年

Disc13
・メンデルスゾーン:交響曲第3番イ短調 Op.56 『スコットランド』
・モーツァルト:アダージョとフーガ ハ短調 K.546
・ベートーヴェン:大フーガ:変ロ長調 Op.133
 録音:1962年

 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
 フランツ・コンヴィチュニー(指揮)

5 comments for “コンヴィチュニーの芸術(13CD)

  1. 金李朴
    2013年8月17日 at 3:21 PM

     ユングさんのページに出会うまでは、コンヴィチュニーという指揮者のことを知りませんでした。しかし、彼の指揮によるベートーヴェンの交響曲をダウンロードしてみて、びっくりしました。奇を衒ったり、深刻ぶったりすることのない、非常に爽やかな演奏で、即座にコンヴィチュニーファンになりました。
     大変にずうずうしいお願いですが、もし機会があれば、彼のブルックナー5番もアップしていただけないでしょうか。名盤との評判が高いので、是非とも聴いてみたいと思います。まあ、自費でCDを買えば、済む話ではありますが。

  2. yung
    2013年8月17日 at 9:06 PM

    >もし機会があれば、彼のブルックナー5番もアップしていただけないでしょうか。

    音源はありますので、様子を見てアップしたいと思います。
    でも、こういう音楽は全く聞くことができなくなりましよね。クラシック音楽というのは、今活躍している連中だけでなく、とっくの昔にオッ死んじまった爺さんや婆さんたちとも競わないといけないで、本当に大変な世界だともいます。
    おまけに、その爺さんや婆さんがとんでもない強敵とくるんですから、ホントに困ったモンです。
    <追記>
    ブルックナーの5番は録音は古いのですが初出が70年代みたいです。未だにパブリックドメインにはなっていないようです。

  3. Dr335
    2013年8月18日 at 6:29 PM

    いつもいろいろな音源をお聴かせいただき有り難うございます.私も古い音源が好きなのですが,買おうと思っているうちに廃盤になったり,所々抜けてしまったりしても,こちらのサイトで聴けるので,本当にありがたいです.こういう古い音源をまとめたボックスセットが大流行ですが,問題は音質ですね.最近のものは,どれもきれいにリマスタリングされて,ヒスノイズも少なく,美しい残響がついて聴きやすいのですが,yung様がオーディオのほうで時々述べられている「生成り感」が無くなっている,と思います.むしろ80~90年代の素朴なストレートな復刻のほうが好ましい場合もあり,新しく買い直してがっかりすることがあります.自分で古いエアチェックテープをデジタル化する時に,やはり少しノイズを取ったりしているので,よけいに気になります.ノイズリダクション前後で結構音質が変わるので,自分でやる場合は,オリジナルのデータを必ず残しているのですが...

  4. 金李朴
    2013年8月21日 at 9:01 PM

    ユング様

    追記をありがとうございます。
    この際、コンヴィチュニーのボックスを購入することと致します。

  5. benetianfish
    2013年11月28日 at 11:18 PM

    はじめまして、
    先日はユーザー登録を承認していただきありがとうございます。yung様のおかげで、コンヴィチュニーのようなすばらしい指揮者の演奏に出会えて、大変うれしい限りです。この度、コンヴィチュニーの芸術ボックスセットをわざわざ両親に日本から取り寄せてもらい(私はイギリス在住なもので・・・)、早速聞いてみました。ベートーベンだけならず、シューマンの演奏にも大変びっくり、そして感動しました。私はサヴァリッシュの全集を持っているのですが、正直ここまでシューマンの交響曲に感動を覚えるとは思っていませんでした(笑)。

    近々モノラル録音の7枚セットも出るそうで、楽しみですね。

金李朴 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です