1956年から1972年にかけてジュリーニがロンドンのオーケストラを指揮してEMIにおこなった録音から集めた16枚組ボックス。
ジュリーニ/ロンドン・イヤーズ~ブラームス:交響曲全集、ドヴォルザーク:交響曲第7~9、フランク:交響曲、ドビュッシー:海、ベートーヴェン:田園、他(17CD)
ジュリーニはロサンジェルス・フィルの監督を辞めた後からはテンポが非常に遅くなり、しかも、どこかねちっこい演奏をするようになりました。ここからは、矢玉が飛んでくることを承知で書きますが、・・・そう言う演奏はあまり好きではありません。
ただし、そう言うオソーいテンポが好きな人が多いことも事実で、晩年のクレンペラー、晩年のチェリビダッケ、そして晩年のジュリーニなどは人気がありますね。もう一人忘れていた、晩年のベームなんかもそうですね。でも、何故かベームの人気はよみがえらない雰囲気ですね。「ベームは二度死んだ。」という吉田大明神の御託宣が効き過ぎたのでしょうか。
まあ、私ももう少し年を重ねればそう言う演奏も好きになる日が来るのかもしれませんが、「セルみたいな指揮者を持ち上げているお前みたいなやつは、いつまでたってもクラシック音楽の神髄はわかりっこない」と言われそうでもあります。
そんなわけで、未だに直線的な音楽の推進力が漲っていた若き時代のジュリーニの音楽を楽しみたいと思います。ただし、ジュリーニの演奏は前につんのめるのではなくて歌うべきところは実にしっかりと歌っているところが魅力でもあります。バラでは探すのが難しい録音もまとめて入っていますから、多少のダブりがあってもこれは絶対に入手しておきたいボックス盤ですね。
【収録情報】
・ハイドン:交響曲第94番ト長調『驚愕』
・ボッケリーニ:交響曲ハ短調 Op.41
・ボッケリーニ:序曲ニ長調 Op.43
フィルハーモニア管弦楽団
1956年ステレオ録音
・シューベルト:交響曲第8番ロ短調 D.759『未完成』
フィルハーモニア管弦楽団
1961年ステレオ録音
・ベートーヴェン:『エグモント』 Op.84~序曲
・ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調 Op.68『田園』
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
1968年ステレオ録音
・ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調 Op.93
・ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調 Op.125『合唱』
シーラ・アームストロング(ソプラノ)
アンナ・レイノルズ(アルト)
ロバート・ティアー(テノール)
ジョン・シャーリー=カーク(バス)
ロンドン交響楽団&合唱団
1972年ステレオ録音
・ロッシーニ:序曲集
『絹のはしご』
『ブルスキーノ氏』
『タンクレディ』
『アルジェのイタリア女』
『セヴィリャの理髪師』
『チェネレントラ』
『どろぼうかささぎ
『セミラーミデ』
『ウィリアム・テル』
フィルハーモニア管弦楽団
1956~1964年ステレオ録音
・シューマン:交響曲第3番変ホ長調 Op.97『ライン』
・シューマン:『マンフレッド』 Op.115~序曲
・ヴェルディ:歌劇『椿姫』~第1幕への前奏曲
・ヴェルディ:歌劇『椿姫』~第3幕への前奏曲
・ヴェルディ:歌劇『運命の力』~序曲
・ヴェルディ:歌劇『シチリア島の夕べの祈り』~序曲
フィルハーモニア管弦楽団
1958年録音
・フランク:交響曲ニ短調
・フランク:プシュケ
フィルハーモニア管弦楽団
1957年、1958年ステレオ録音
・ビゼー:小組曲『子供の遊び』
・ムソルグスキー/リムスキー=コルサコフ編:交響詩『禿山の一夜』
フィルハーモニア管弦楽団
1956年録音
・ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
・ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73
・ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 Op.90
・ブラームス:悲劇的序曲 Op.81
・ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 Op.56a
フィルハーモニア管弦楽団
1961~1962年ステレオ録音
・ブラームス:交響曲第4番ホ短調 Op.98
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
1968年ステレオ録音
・チャイコフスキー:交響曲第2番ハ短調 Op.17『小ロシア』
・チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調 Op.74『「悲愴』
・チャイコフスキー:幻想序曲『フランチェスカ・ダ・リミニ』
・チャイコフスキー:幻想序曲『ロメオとジュリエット』
フィルハーモニア管弦楽団
1959年、1962年ステレオ録音
・ドヴォルザーク:交響曲第7番ニ短調 Op.70
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
1976年ステレオ録音
・ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調 Op.88
・ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調 Op.95『新世界より』
・ドヴォルザーク:序曲『謝肉祭』 Op.92
・ドヴォルザーク:スケルツォ・カプリチオーソ Op.66
フィルハーモニア管弦楽団
1961~1962年ステレオ録音
・ドビュッシー:交響詩『海』
・ドビュッシー:夜想曲
フィルハーモニア管弦楽団&女声合唱団
1962年ステレオ録音
・ラヴェル:道化師の朝の歌
・ラヴェル:『ダフニスとクロエ』第2組曲
・ラヴェル:組曲『マ・メール・ロワ』
・ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
・ラヴェル:スペイン狂詩曲
フィルハーモニア管弦楽団
1956年、1959年、1966年ステレオ録音
・ファリャ:バレエ音楽『恋は魔術師』
ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス(ソプラノ)
フィルハーモニア管弦楽団
1961年、1964年ステレオ録音
・ファリャ:バレエ音楽『三角帽子』より
フィルハーモニア管弦楽団
1957年ステレオ録音
・ストラヴィンスキー:『火の鳥』組曲
フィルハーモニア管弦楽団
1956年ステレオ録音
・ブリテン:4つの海の間奏曲 Op.33a
・ブリテン:青少年のための管弦楽入門 Op.34
フィルハーモニア管弦楽団
1962年ステレオ録音
カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮)
遅いテンポの演奏の評価は難しいですね。ユング君さんのような、セルの好きの方には、推進力の乏しいダレた演奏に聞こえてしまうのでしょうか。個人的には同意したい部分もあります。逆に昔フルトヴェングラーの手記を読んでいたら、彼は速すぎるテンポに批判的で、そういう設定をすること自体が悪いというようなことを言っていました。この辺の基本的な考えの相違があるので、たとえばユング君さんにはフルトヴェングラーがいまいちで、セルが最高となるのだと思います。
結局は個人の趣向の問題に帰着するのでしょうね。