コルト&ワルシャワ・フィル

“ベートーヴェン:交響曲全集
「エグモント」序曲、「レオノーレ」序曲第3番 カジミエシュ・コルト指揮、
ワルシャワ・フィル
イザべラ・クウォシンスカ(S)、
クリスティナ・ショステク=ラドコヴァ(MS)、
イェルジ・クネーティヒ(T)、
ピオトル・ノヴァツキ(BR)”

第37号単発セール(3)
数年前にすったもんだの末リリースされて一部マニアの間で話題となったベートーベンの交響曲全集です。しかし、すぐに売り切れてその後は入手不可能の状態が続いていたようですが、最近になって何セットか入荷した模様です。
この録音については、ユング君がお世話になっている「アリアCD」の店主も
「昨今の古楽器演奏やクリティカル・エディション云々の風潮にまったく迎合しない、あたかも芸術文化の孤島のような演奏。創立100周年を迎えた伝統あるオーケストラが、それまでの道程をそのまま音楽にしたかのような実直・堅実な演奏。それでいてちっとも退屈しない。すべてに気迫が充満しているから。・・・聴いた後に「ううむ・・・すごい」と感心して充実感に浸ること間違いなし。」
と賛辞を送っています。
さて、これを聞いたユング君の率直な感想ですが、「おそらくこれが30年前の録音なら、『ヨーロッパの田舎オケによるよくあるベートーベン演奏だね、でも、まあまあ頑張ってるね』というあたりで落ち着くレベルのもんだろう。」という感じです。
確かに、7番なんかは過去の名演に肩を並べる素晴らしさは感じるのですが、それ以外となると、歴史的名演に耳がなじんだ人にとっては「何故にそこまで持ち上げるんだ?」と「?」が何個もつくことでしょう。
つまりは、聞く人の度肝を抜くような仕掛けなどは全くない、ごく普通の伝統的な(この「伝統的」という言葉は結構くせ者ではあるのですが)演奏です。ただ、その様な「普通の音楽」が「古きよきドイツ音楽の伝統が、こんな東欧のオーケストラに残っていたというのは奇跡的な喜びである。」と言わざるを得ないところに、クラシック音楽が抱えている「今」という時代の不幸があります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です