今週の一枚(9) メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 「イタリア」 作品90

旅に出るのは良いものです。しかし、いろいろな旅があります。

若き時代の一人旅。
妻と二人でスイスを旅したときに、マッターホルンの麓の町ツェルマットで一人旅の若い日本人女性と出会いました。聞いてみると、もう1ヶ月以上もヨーロッパを回っていると言います。
「そんなに休むと職場の机がなくなってるかもしれませんね。」と冗談を言うと「出かける前に机は捨ててきました。」と返されました。
そして、彼女はいろいろな美術品や建物を見てきたけれどこのアルプスの山々の前では全て取るに足りないものだと何度も繰り返していました。

何があったのかは礼儀として尋ねませんでしたが、何かをリセットする旅というのは確かにあります。

学生時代の仲のよい友人たちとのグループ旅行。
これは文句なく楽しいのですが、時には微妙な空気が流れるときがあります。とりわけ好きな子の好きな子が分かったりすると、一転して傷心旅行になります。しかし、友人たちの手前最後まで明るくふるまわないといけないので、それはそれでなかなかの人生修行だったりします。

会社の親睦旅行。
今では少なくなっているようですが、私のところでは毎年きっちりと実施しています。
「半分仕事ですよ!」なんて云いながら、結構本気で楽しんでいるおじさんやおばさんたちがいます。私もその一人です。
若い子も若い子たちで結構ワイワイ楽しくやっています。
みんなで毎年親睦旅行に行ける職場は、それだけでいい職場だと言い切れると思います。

それから妻との二人旅。
夫と二人で旅行に行くなんて「ゾッとする」という女性が多いようです。
幸いにして、私は自分の身の回りのことは妻の世話にならなくても何でもできるように修行を積み重ねてきたので(・・、)ヾ(^^)、今も二人旅ができています。
もうすぐ定年をむかえるのですが、そうなれば最後は妻と二人の暮らしが基本となりますから、「ゾッとされない」ようにさらに修行を積み重ねていかなければとの思いを新たにするのが妻との二人旅です。

昔のえらい人たちもよく旅行をしています。そして、旅先から書いた手紙が文学作品として残ったり、旅先の地で霊感を得て偉大な音楽作品が生み出されたりします。
しかし、残念ながら、私のような凡人はそのような旅から霊感を得て、何かの芸術作品を生み出すというようなことは全くありません。俳句の一つでもひねってみようかと思うのですが時間の無駄です。

トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1954年2月26~28日

陰鬱なドイツの気候から見れば、イタリアの陽光はこの上もなく魅力的なものだったのでしょう。
そんなイタリア的な魅力にあふれた録音と言えば真っ先に思い浮かぶのがトスカニーニ最晩年のこの演奏です。
メンデルスゾーンの「イタリア」とレスピーギの「ローマの松」の録音だけあれば、それ以外の全ての業績が消えて無くなったとしてもトスカニーニの名前は歴史に刻み込まれる事でしょう。

  1. メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 「イタリア」 「第1楽章」
  2. メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 「イタリア」 「第2楽章」
  3. メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 「イタリア」 「第3楽章」
  4. メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 「イタリア」 「第4楽章」


3件のコメント

  1. あらま、15分前に目が覚めて
    マゼール指揮クリーヴランド管弦楽団のローマの祭を聴いているところでした。
    イタリアは通貨がユーロになる前のリラの時代は物価が安くて天国でした。
    円安の今だと、とても欧州に行く気はしません。香港&澳門が関の山です。

  2. イタリア人の血が騒ぐ感じで徹底してオケを訓練したのでしょうね~一糸乱れぬアンサンブルの凄さを感じます。さすがトスカニーニです。カラヤンを凌ぐ鬼の様な存在だったようです。また、メンデルスゾーンは作曲家としては珍しく裕福な生活の仲で優秀な姉と共に音楽に没頭した才人!旋律の美しさは絶品です。人によっては奥行きが無いとか、精神的な深まり云々・・・を言いますが、文句を言うなら「自分で作曲してみろ!」と言いたくなりますよ!天真爛漫で明るいメロディーは最高ですね。

  3. そう言えば「ベルリン・フィルと第三帝国」というナチス政権下のベルリン・フィルを、当時の団員の証言で再現したドキュメンタリーで、ナチス政権下で旧ベルリンフィルハーモニー(空爆で破壊)にあったメンデルスゾーンの肖像が撤去されたとありました。彼はユダヤ人だったんですね。ピアノ曲の厳格な変奏曲 Op. 54の仄暗い感じが好きです。

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