日記代わりの一日一句

最近のテレビは下らない内容のものが多い・・・というのは聞き飽きた愚痴ですが、時々あっとどろくようなすぐれものがあることも事実です。
少し前に驚かされたのが、テレビ朝日の「関ジャニの仕分け∞」。

この番組の中でプロの歌手に子どもや芸人さんがカラオケで挑戦するというコーナーがあるのですが、この番組のおかげで「スコアに忠実な演奏」という概念の大切さを改めて教えられました。
これについては別のところで、すでに一度触れたことがあります。

今日触れたいのはこの仕分けではなくて、毎日放送の「プレバト」。特に、夏井先生の「俳句の才能査定ランキング」は必flac.aki.gsn日本語の持つ繊細さと豊かさを、これほどまでに面白く、そしてわかりやすく示してくれる番組はありません。
日本語というのは助詞一つをかえるだけで風景が一変します。そんな素晴らしさを鮮やかに示してくれるたびに、日本語って凄いな・・・と、心底感心させられます。

「関ジャニの仕分け∞」のカラオケコーナーはいささかマンネリになってきているので、最近の必録画(必ず録画するという勝手な造語)は夏井先生のコーナーになっています。

そんなわけで、いつも感化されやすい私は、最近になって歳時記なんぞを買い込んで、「一日一句」などと言っては下手な句作などをはじめてしまいました。
そして、この下手な句作をはじめて見ると、これが意外なほどに鮮やかな日記代わりになることに気づきました。

たとえばこんな感じです。

9月29日(月)

土曜出勤の振り替え休日。終日秋晴れ。妻とかつらぎ町の八風の湯に行く。
家を出る前に、庭の花にシジミ蝶が集まってきていた。

シジミ蝶二つもつれて花たばこ

八風の湯につかりながら。

せわしさに読点、濁り湯秋彼岸

彼岸じゃないけどね(^^;

9月30日(火)

おそらくだんじり小屋で若い連中が祭り囃子の練習をしているのだろう。すでに暮れきった闇の中から笛の音や太鼓の音が聞こえてくる。
仕事を終え家路をたどる車中だが、その音を聞くとふと自分があの世とこの世のあわいにいるかのような錯覚に陥る。

六地蔵闇にとけゆく祭り笛

帰ってから歳時記で調べると、なんと「祭り笛」は夏の季語。だとすると、ここでの「闇」は湿気を含んでじっとりとした夏の闇になります。
この句を詠んだ雰囲気とは全く違うものになるのですが、まあ、それはそれで雰囲気があっていいかと思います。

10月1日(水)

春先にやってきたツバメは数羽だったが、今では20羽近くに増えて力一杯に飛び回っていた。9月も終わりに近づき、ぼちぼち南帰する頃かと思っていたが、休み明けに出勤すると一羽のツバメも姿が見えない。
まさに、突然の南帰行である。

粛として帰燕の無事を空祈る

10月の声を聞くも、山の中では未だにあちこちでツクツボウシの声が聞こえる。

生きてなほ悔いあるごとく秋の蝉

10月2日(木)

毎日の通勤で使う道で、小さな祠があることに気づいた。今まで気づかなかった自分に驚く。

慎ましく紫苑と祠分かれ道

こんな感じです・・・お恥ずかしながら。
しかし、こうやって「一日一句」をやっていると、その下手な句を通して、その時の風景や感情などが鮮やかによみがえってきます。上手下手にはこだわらず、その時々の感情を切り取って行くには「俳句」という形式はぴったりです。

1 comment for “日記代わりの一日一句

  1. たかもり
    2014年11月3日 at 7:05 PM

    今更壁掛けテレビなんていう人もいませんが、日本の多くの居間に鎮座していたコンソール型のカラーテレビは、液晶に代わっても相変わらず大きなテレビ台の上に置かれています。せっかく薄くなったのですから、「壁掛け」にすればスペースユーティリティ向上間違いなしなのですが。
    テレビついでに出てきたのですが、台風や地震のニュースでいつも思うのは、テレビカメラマンがHDTVに対応していないんじゃないか、というのは、直ぐに揺れる対象をズームアップするのです。強い風が吹いていると樹木の先端をアップし、地震で揺れていると電柱をアップします。それもワンカットでわざわざズーミングします。野球中継やゴルフ中継でもボールをアップするのでボールがどういう軌跡を描いて飛んでいったのか判りません。カメラマンは小さなファインダーでアップしたほうが見やすいのかどうかわかりませんが、4~50型のテレビで大きく揺れる画像を近くで見ていたら酔いそうです。せっかくHDTVなのですから、逆にズームアウトして動かない建物等を画面に入れて樹木の揺れを強調するとか、広い画角であらゆる物が揺れている状況を動かず捉えるとか、少し考えてほしいと思います。
    HDTVになるとサッカー中継などは、サッカー場全体を俯瞰して写してもボールが良くわかるのでラインの押し上げやオフサイド等が良く解りますと言っていたのに、未だに以前の中継スタイルのままです。
    HDTVの鮮明画像をテレビ局自体が活用しきれていないし、逆にプレイヤーのアップ画像を増やして、プレイヤーの心理や人柄を見せようとしていますが、ドラマじゃないんですから、そんなことでスポーツ中継を人情モノの尺度にしてほしくありません。まさか買ったばかりのレンズでズームを使いたくてしょうがないなんてレベルじゃないと思いますが。
    この事は、オーディオのアナログとデジタルの関係とも似ているように思います。まあ、器が変わっても中身は? という話かもしれませんが、 せっかく小さな物もアップにしなくても家庭の受信機で綺麗に見えるようになったのに、相も変わらずのカメラワーク、それでもNHKの場合、地方局のカメラマンより全国放送のカメラマンのほうがHDTVの能力を活用しているかな、と思います。

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