ベートーヴェン:交響曲全集(6CD) シェルヘン&ルガーノ放送管弦楽団

ヘルマン・シェルヘン指揮 ベートーヴェン:交響曲全集+「運命」リハーサル

史上に名高い「トンでも演奏」のベトベン全集ですが、久しぶりに「全集」として入手できるようになりました。
はてさて、この演奏をどのように評価するのかは難しいところですが、それでもこの録音をもってシェルヘンは「爆裂型指揮者」というレッテルを貼られることになりました。しかし、彼の録音を時代を追って聴いたことがある人ならば、そう言うレッテルは全くもって謂われのないものであることは容易に納得できるはずです。

たとえば、彼は50年代にウェストミンスターレーベルでベートーベンの交響曲全集を作っています。それを聴けば、きわめて真っ当で正統派のベートーベンが展開していることは誰だって容易に分かるはずです。

さらに言えば、ハイドンのザロモンセットなんかも、ハイドンがこれらの作品に仕掛けた様々な「技」が手に取るように分かります。

へんてこりんの極みとも言うべきマーラーの7番「夜の歌」なんかでも、その面白さを初めて分からせてくれたのはシェルヘンでした。

ですから、このルーガノでのライブは、そう言う律儀な男が人生の最後の最後で「ぶち切れた」演奏だったのです。
では、何故に彼はぶち切れたのか?

それは、おそらくは彼の能力を恐れた同業者による謂われなき誹謗中傷と、その結果としての徹底した排斥運動に対する憤りが爆発したのではないかと思います。
もちろん、真相は今となっては藪の中ですから、真実は誰にも分かりません。

シェルヘン自身もこのライブ録音の翌年にこの世を去ってしまいますから、これはある意味では遺言みたいな演奏になってしまいました。

しかし、この「トンでも演奏」の最右翼のように言われるこの演奏からは、そう言うやり場のない「怒り」のようなものを感じざるを得ません。
ただし、これをもってシェルヘンの代表盤のように言われるのは不本意なことではあったでしょう。

【収録情報】
ベートーヴェン:
● 交響曲第1番ハ長調 op.21
● 交響曲第2番ニ長調 op.36
● 交響曲第3番変ホ長調 op.55『英雄』
● 交響曲第4番変ロ長調 op.60
● 交響曲第5番ハ短調 op.67『運命』
● 交響曲第6番ヘ長調 op.68『田園』
● 交響曲第7番イ長調 op.92
● 交響曲第8番ヘ長調 op.93
● 交響曲第9番ニ短調 op.125『合唱』
● 交響曲第5番『運命』のリハーサル

マグダ・ラースロ(ソプラノ)
リュシエンヌ・デヴァリエ(アルト)
ペトル・ムンテアヌ(テノール)
ラファエル・アリエ(バス)
ルガーノ放送合唱団(スイス・イタリア語放送合唱団)
ルガーノ放送管弦楽団(スイス・イタリア語放送管弦楽団)
ヘルマン・シェルヘン(指揮)

録音時期:1965年1~4月
録音場所:ルガーノ放送局スタジオ
録音方式:ステレオ(ライヴ)

1件のコメント

  1. シェルヘンはスタジオ録音だと比較的普通の演奏をしていたようですね。ところがライブのマーラーもカットの多い不思議な演奏なので、実演では何か変わったことをしようと言う意図があったのかも知れません。それ故にこのベートーヴェンのライブはオケが非力なので、余計に爆演に聴こえますね。

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