グッテンベルク&クランク・フェアヴァルトゥング管弦楽団

“その豊かな響きから「黄金のホール」と呼ばれるウィーンのムジークフェラインザール。この音楽の殿堂において、手兵クラング・フェアヴァルトゥング管が結成10周年をむかえた2007年の4月、グッテンベルクは2日間にわたりブルックナーの『ロマンティック』を演奏しています。
 その模様を収めた当アルバム。使用楽譜に近年再評価のきざしがみられるレーヴェ改訂版を採用している点とならんで、特徴的なのがヴァイオリンを舞台上両翼に、また管楽器群の背後に6本のコントラバスを一列に並べるという楽器配置。弦楽と金管、木管のバランスも絶妙で、響きはけっして重くなりすぎず、みずみずしさと透明感を保持しているのがなによりの魅力となっています。”

交響曲第4番『ロマンティック』 グッテンベルク&クランク・フェアヴァルトゥング管弦楽団
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「レーヴェ改訂版」というのは、師のブルックナーの作品がこのままでは「売れない」と判断した弟子が、勝手にワーグナー風に書き換えたものと言われ続けてきました。しかし、出版されたのはこの改訂版だったために、長くブルックナーの4番はこの「レーヴェ改訂版」で演奏されてきました。
 しかし、これではいかん!!と思ったブルックナー信徒たちが、「ブルックナー本来」の響きと様式を取り戻そうとして、様々な改訂版が出版されます。有名なのが、「ハース版」と「ノヴァーク版」です。
 ハース版は20世紀の初頭に出版され、それへの批判的研究を経て50年代以降に出版されたのが「ノヴァーク版」だと言うことになっているので、前者を「第2次批判全集版」、後者を「第2次批判全集版」なんて言ったりします。
 さて、そう言う歴史的背景を知った上で、レーヴェ改訂版を使って記念すべき節目のコンサートをするというのは実に興味深い「壮挙」と言わねばなりません。
実は、「近年再評価のきざしがみられるレーヴェ改訂版」というのは全くもって未聞だったので、少しばかり調べてみました。
すると、「Wikipedia」を初めとして、この問題について言及してるのに気づきました。
「2004年に、国際ブルックナー協会からコースヴェット校訂による第3稿が出版されたことを機に、この版の再評価が始まっている。最近では、ブルックナーが正当性を与えた稿との認識が強まっている。」
なるほどね。
面白くてなんぼの「劇場主義」と、学者の「潔癖主義」のせめぎ合いは、どうやら「劇場主義」が再び盛り返してきたようでうれしい限りです。
それでも、こういう事を思い切ってやれるのがグッテンベルクのえらいところであり、凄いところなのでしょう。
早速予約をしなくっちゃ。

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