気がつけばこのサイトを立ち上げてからもうすぐ10年の時間が経過しようとしています。
はじめたきっかけは、私の人生をいろいろな場面で支えてくれたクラシック音楽への恩返しのつもりでした。数ある音楽ジャンルの中で冷遇されることの多いクラシック音楽の世界に一人でも多くの人が興味持ってくれるとうれしい・・・という実にささやかな、(しかし、実はとんでもなく大それた思いだったことが、ジワジワと分かってくる)思いをもってサイトをスタートさせました。
最初は当然ながら「文字情報」だけのサイトでした。その頃は、ホームページを自力で立ち上げる人も少なくて、そんなサイトでもそこそこ反応があって、今から思えば牧歌的な時代でした。しかし、やがて気がつくと、サイトに反応してくれるのはすでにかなりコアなクラシック音楽ファンだけであることに気づきました。
そうです、落ち着いて考えてみれば、そんな文字情報だけのサイトにアクセスしてクラシック音楽に興味を持つなどと言うことはあり得ないのです。
そんな時に私の友人がポツリともらした一言がこのサイトの運命を変えました。
「ユング君のサイトは文字ばっかりで読む気もしない。せめて頭の部分だけでもいいから実際の音楽は聴けないの?」
まだ20世紀だった頃の話です。
「そんなこと、簡単にやれるはずないだろう!」と憮然として返事を返したものの、落ち着いて考えれば、彼の言はこの上もなく真っ当なものであることを認めざるを得ませんでした。
ここから、サイト上で音楽が聴けるようにするにはどうすればよいのかという、命題と向き合う日々が始まったのです。そして、「クラシック音楽の世界に一人でも多くの人が興味持ってくれるとうれしい」という思いが、実はささやかどころか、とんでもなく大それた思いだったことを思い知らされながら10年の時が過ぎてしまったと言うことになるのです。
さて、この10年で、このサイトがどれほどの人にクラシック音楽の魅力を伝えることが出来たのかは分かりませんが、当初の目的とした「1000曲アップ」というのはもう一息のところまできました。もちろん、今後もアップしたい録音は山ほどありますから、1000を超えてもアップは続けていく予定です。
しかし、それでも1000というのは一つの区切りです。
そこで、長年手をつけようと思いながらも、「今は1000を目指すとき!!」と言うことで「封印」してきた企画にぼちぼち手をつけようかと思っています。
それが、 「初心者のためのクラシック音楽入門」です。
クラシック音楽に興味などなかった人に振り向いてほしいというのがこのサイトの何よりの目的です。ですから、少しでも興味が向いた人の「手引き」になるようなコーナーがほしいとずっと考えていました。
今のところ、以下のような設計図を思い描いています。
まずは、 「交響曲」「協奏曲」「ピアノ」「室内楽」「オペラ」の各カテゴリから10作品を厳選して紹介していきます。
取りあえず、交響曲に関しては熟考の末に以下の10作品を選びました。それぞれの解説は原稿用紙3?4枚程度に収めて、簡単に読めるようにしたいと思っています。もちろん、音楽も実際に聴くことができます。
ベートーベン:交響曲第5番 「運命」
ハイドン:交響曲第104番 「ロンドン」
モーツァルト:交響曲第35番 「ハフナー」
ブラームス:交響曲第4番
ドヴォルザーク:交響曲第8番 「イギリス」
マーラー:交響曲第3番
シベリウス:交響曲第7番
フランク:交響曲ニ短調
ブルックナー:交響曲第8番
チャイコフスキー:交響曲第5番
何ともへんてこりんなノミネートですが、この10作品で交響曲の世界を概観できるようにしようという目論見です。もちろん、下手な音楽史みたいなページにするつもりはありません。
まずは、手始めに「運命」のページを書いてみました。
http://flac.aki.gs/nyumon/php/Beethoven_sym5.php
交響曲のコーナーが完成すればサイトの方にアップしたいと思っています。
<宣言して自分に縛りをかけるのがサイト運営長続きのコツです>