“これは凄い。バッハの宗教的大作をこの価格とBCJの演奏で! BISの看板シリーズ、BCJのバッハ・カンタータ全集録音が40巻(全体の3分の2)まで進んだことを記念して、彼らによるバッハの宗教的大作を6篇集め、CD10枚組にしました。これが何と3枚価格というありえない驚異的廉価でのご提供となります。”
6大宗教曲ボックス 鈴木雅明&バッハ・コレギウム・ジャパン(10CD)
それこそ、あちこちで、親の仇を見つけた・・・とでもばかりに古楽器による演奏を貶してきました。
しかし、自分たち(ピリオド演奏)のアプローチこそが正しくて、それ以外のスタイルの演奏は全て「誤り」だというような傲慢で思い上がった物言いは殆ど見かけなくなってきました。また、適用範囲をバロックから古典派、さらにはロマン派にまで広げていき、その結果として、まるでチンドン屋のブンチャカを思わせるような聞くに耐えない不細工な演奏も姿を消していきました。
どうやら、古楽器を用いた演奏という主張は激烈なムーブメントとしての時期を終えて、作品に対する一つのアプローチというあるべき当然の姿におさまってきたように思えます。
そして、そう言う当然のポジションのもとからこういうバッハ演奏を提案されると、それは十分に聞くに値するものだと言うことは否定できません。
結局は、あのムーブメントはしっかりとした音楽的実力もない連中が、主張の目新しさだけで飯が食おうとしたのが本音だったのではないでしょうか。そして、そう言う連中は一時は注目を浴びることはあってもあっという間に淘汰されていきました。結局最後に残るのはしっかりとした実力に裏打ちされた本物だけと言うことですから、あの混乱期はそう言う淘汰のために必要な時間だったのかもしれません。
そして、ここで紹介している鈴木雅明&BCJは、そう言う淘汰に耐えて残った数少ない本物の一つであることは疑いありません。
これだけの録音がこの価格で入手できるのですから、今までは古楽器による演奏を意識的に遠ざけてきたような人にとってはいい機会かもしれません。
<収録作品>
・マタイ受難曲 BWV244(1999年デジタル録音)
・ヨハネ受難曲 BWV245?1749年版(1998年デジタル録音)
・ミサ曲ロ短調 BWV232(2006年デジタル録音)
・クリスマス・オラトリオ BWV248(1997年デジタル録音)
・復活祭オラトリオ BWV249(2004年デジタル録音)
・昇天祭オラトリオ BWV11(2004年デジタル録音)
以上、神戸松蔭女子学院大学チャペルにおけるセッション録音
レイチェル・ニコルズ(ソプラノ)
キャロリン・サンプソン(ソプラノ)
モニカ・フリムマー(ソプラノ)
野々下由香里(ソプラノ)
緋田芳江(ソプラノ)
イングリット・シュミットヒューゼン(ソプラノ)
ナンシー・アージェンタ(ソプラノ)
ロビン・ブレイズ(カウンターテノール)
米良美一(カウンターテノール)
パトリック・ファン・フートヘム(カウンターテノール)
ゲルト・テュルク(テノール)
ヤン・コボウ(テノール)
櫻田亮(テノール)
ペーター・コーイ(バス)
浦野智行(バス)
バッハ・コレギウム・ジャパン
鈴木雅明(指揮)