“日本のプロ・オーケストラの有力スポンサーとして、温かい支援を続けるアフィニス文化財団。設立20周年を記念し、日本のオーケストラによるベートーヴェン:交響曲全集を発表します。CD6には1998年の朝比奈隆&アフィニス夏の音楽祭祝祭管による記念碑的コンサートを収録。元来が非売品として製作されるものですが、特別に一般発売されます。(東武トレーディング)”
『日本のオーケストラ2008』 ベートーヴェン交響曲全集
「アフィニス文化財団」は日本たばこ産業(JT)が主催している団体で、今の日本では珍しいぐらいにクラシック音楽界に対して太っ腹の援助を行っています。それも景気が悪くなるとさっさと撤退してしまうような一部の大企業とは違って、財団発足の1985年以来コンスタントにその事業を継続していると言うことで、ひねくれ者のユング君のひそかに拍手をおくっています。
もちろん、うがった見方をすれば、ますます片隅に追いやられつつある喫煙派への側面からの援助という見方もあるのでしょうが、それでも、有り難いことは確かです。
しかし、そんなユング君でも、流石に今回の企画には「首をひねる」を通り越して「ダメ出し」をせざるを得ません。
だいたいが、23の日本のプロオケでベートーベンの交響曲全集を作成したというので、頭の回りに「?」が29個ぐらいは舞い飛んだのですが、中味を見て唖然としました。
例えば、ユング君がベト全を購入したときに真っ先にチェックする「エロイカ」はこんな事になっています。
・交響曲第3番『英雄』
第1楽章:大阪センチュリー交響楽団、小泉和裕指揮(2006年5月25日)
第2楽章、第3楽章:東京フィルハーモニー交響楽団、チョン・ミョンフン指揮(2005年5月1日)
第4楽章:NHK交響楽団、アラン・ギルバート指揮(2007年12月1日)
録音時期も違えば、何よりも作品に対するアプローチも全く異なるであろう録音を3つ持ち寄って一つの作品に仕上げているのです。ハイライト盤でも許せないと思うユング君にとってこれは信じがたいほどの愚挙・暴挙と思わざるをえません。
それにしてもです・・・、こんな形で自分たちの演奏がリリースされることをオケや指揮者は認めたのでしょうか。
お金を出してくれる人には逆らえなかったとすれば「悲しい話」ですし、何の疑問も感じずにOKを出していたとすれば、今後これらのオケのコンサートには足を運びたくないですね。(キット前者でしょう・・・、キット財団がごり押ししたんだ・・・、キットキットそうに違いない・・・、そうに違い・・・ない・・・と信じたいなぁ・・・。)
何だかいろんな意味で悲しくなってきました。
<見よ、このラインナップ!!絶句!!>
・交響曲第7番
第1楽章:東京都交響楽団、ベルンハルト・クレー指揮(2007年6月22日)
第2楽章:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、岩村力指揮(2007年4月22日)
第3楽章:関西フィルハーモニー管弦楽団、飯守泰次郎指揮(2007年6月20日)
第4楽章:日本フィルハーモニー交響楽団、広上淳一指揮(1992年6月7日)
・交響曲第6番『田園』
第1楽章:九州交響楽団、ゲルハルト・ボッセ指揮(2007年7月20日)
第2楽章:神奈川フィルハーモニー管弦楽団、ハンス=マルティン・シュナイト指揮(2005年3月29日)
第3楽章?第5楽章:新日本フィルハーモニー交響楽団、クリスティアン・アルミンク指揮(2007年9月8日)
・交響曲第8番:オーケストラ・アンサンブル金沢、ドミトリー・キタエンコ指揮(2006年5月17日)
・交響曲第9番『合唱』
第1楽章:大阪シンフォニカー交響楽団、寺岡清高指揮(2007年12月26日)
第2楽章:名古屋フィルハーモニー交響楽団、小林研一郎指揮(2007年12月23日)
第3楽章:札幌交響楽団、尾高忠明指揮(2006年12月25日)
第4楽章:京都市交響楽団、大友直人指揮(2006年12月25日)
バラバラ事件だー!!