写真は5月17日に撮影したものです。
「花の文化園」のバラについてふれたときにこの泉南市のローズガーデンにも言及したので、こちらも紹介しておかないと不公平な感じがしますから取材してきました。
このバラ園はオープン(確か2012年)した数年後に一度だけ訪れたことがあるのですが、それ以後はご無沙汰していました。記憶に間違いがなければ3年ほどご無沙汰しているように思うので、その間にどれくらい雰囲気が変わっているのかも楽しみでした。
まず、このローズガーデンの立ち位置は「実物カタログ」です。
バラの愛好家というのは熱心な人が多いようで、「紙のカタログ」だけでは満足できずに、自分の目で実物を確かめないと気が済まないという人も多いようなのです。そして、そのためならば飛行機に乗って外国からでもやってくる人もいるようです。
カタログ片手にじっくりと品定めをしている人多かったです。
サイトのアクセス紹介のページには「飛行機の場合: 最寄りの空港は関西国際空港です (花咲きファームまでタクシーで20分)。 」なんて記述もあるほどです。
バラの品種にはイギリス王室と関係しているものが多いですね
つまりはこの会社にすれば、国際空港に近い好立地の場にガーデンが確保でき、ガーデンの場所を提供している泉南市も地域おこしの起爆剤になると言うことでこのローズガーデン開設が決まったようです。泉南市にしてみれば、誰も足を運ばなかった(失礼!m(_ _)m)「花咲ファーム」が賑わうだけでも場所を提供した値打ちがあったというものです。
有名人がらみの品種名も多いようですね
ただし、そのためかと思われるのですが、これだけのローズガーデンなのに、ここにはバラ以外何もありません。
いや、ローズガーデンに来てバラさえあれば文句ないだろうと言われるかもしれませんが、本当にバラ以外何もないのです。
この辺りは人気のある有名品種のようです。
あるのはローズガーデンに咲いているバラとプランツセンターで販売しているバラの苗以外には、飲み物の自動販売機が一台あるだけです。レストランもなければカフェもなく、そろそろ暑くなってきているのにソフトクリームすら売っていないという徹底ぶりなのです。
つまりはバラだけ見てください、と言う潔いまでのスタンスを貫いているのです。
ですから、これだけのバラ園なのに入場料は無料、駐車場も無料なのです。
この日もバラを見ながら園内を歩いていると、「これだけのバラを見せてもらって駐車場代くらい払わしてもらわないと申し訳ない」という声があちこちから聞こえてきました。
でも、ここがそう言うスタンスを取るのは、これが「実物カタログ」だからです。
このローズガーデンを運営している「デビッド・オースチン・ロージズ」にしてみれば、わざわざ「カタログ」を見るために足を運んでくれたお客様から「入場料」をとるなどという発想は出てくるはずもないのです。
この数年の間でまず変わったなと思ったのは、プランツセンターで苗を買って帰る人が格段に増えたような気がしたことです。
ご存知の方も多いかと思うのですが、「バラの苗」はお安くありません。一番安いものでも2000円から3000円くらいしますし、ある程度大きく育ったものならば全て1万円を超えています。その様な大きな苗を嬉しそうに買って帰る人を僅かな時間だったにもかかわらず何人も拝見しました。
この辺りもかなり人気の高い品種らいいです。
直接買って帰る人は車に積んで持って帰れる近場の人がほとんどのはずです。大部分の人はここで実際に咲いているバラをじっくりと見定めて、後はネットで注文するはずです。
それでも、「飛ぶように」とまでは行かなくても、多くの人が熱心に「バラの苗」を吟味しては次々に買い込んでいました。
なるほど、同じ園芸の世界でもバラはちょっと格が違うなと思いました。私なんかは園芸センターに行って、200円を超えるポット苗になると「どうしたものか」と思案を巡らせるのですから、世界が違うと言わざるを得ません。
バラ用の土なんかも売っているのですが、小さな一袋で2000円から3000円近い値が付いています。やはり、世界が違うと言わざるを得ません。(^^;
しかし、それ故かもしれませんが、ここのローズガーデンは見事なことは間違いないのですが、やはりある程度見ていると飽きてしまいます。
これは負け惜しみでもなく率直な感想です。
訪れる人の数は「花の文化園」などと較べると段違いに多くて、平日でも広い駐車場はすぐに満杯になります。しかし、レストランもなければカフェもなく、ただただバラを見るだけなので長居をする人はあまりいないのですぐに駐車場の空きは出ます。
午前中に出かけると駐車場はほぼいっぱいだったのですが、お昼になるとお弁当を持ってきている人以外はみんな帰ってしまうので逆に空きが出るようです。
それとこのガーデンがすぐに飽きてしまう理由として、いわゆる「イングリッシュ・ガーデン」の特徴である自然な風合いよりは、フランス式庭園のような人工的な佇まいで作られているからだと思われます。
生け垣できとんとした図形を描き、その中に行儀よくバラが植えられています。きっと「実物カタログ」として、自分が育ててみたいバラの素性を見極める上ではその方が相応しいのでしょう。
その意味では、見る人の心を楽しませてくれる「イングリッシュ・ガーデン」とは雰囲気が全く異なります。
しかし、そう書いたからと言って、これだけ見事なローズ・ガーデンはそうあるものではありません。
それはもしかしたら、どこかオーディオの世界と似ているのかもしれません。
オーディオの世界にも「実物カタログ」としての「オーディオショー」なるものが開催されます。そこは新しいオーディオ機器を買う気満々の人にとっては楽しいイベントでも、そこで音楽を楽しもうと思うと、いかに立派な音で音楽が流れていても心から音楽が楽しめる類のものではありません。
ただし、オーディオショーで鳴っている音が立派であるのと同じように、ここで咲いているバラはどれもこれも見事なものばかりです。なんだか随分と悪口を書いたような結果になっているのですが、それだけは事実です。
繰り返しますが、これほど見事なバラを見ることができる場はそうあるものではありません。
デビッド・オースチンのイングリッシュローズガーデン
公共交通機関を使ったアクセスは基本的にはないので、車を使って訪れると言うことになります。近畿自動車道の泉南インターで下りればすぐの場所ですし、案内板も出ていますので迷うことはないでしょう。
上でも述べたようにかなり広い駐車場が用意されていて駐車料金も無料です。
しかし、平日でもその広い駐車場は満杯になることがありますし、土日ならば確実にいっぱいになると覚悟した方がいいでしょう。しかし、それほど長居する人は多くないので、少し待てば確実に空きはできて車は止められるはずです。
なお、「春のローズフェスティバル」が行われている5月の土日は「南海樽井駅」と「JR砂川駅」からシャトルバスが運行しています。料金は大人が100円で子供が50円です。