吉田秀和コレクション (ちくま文庫):名曲三〇〇選

“グレゴリウス聖歌やルネサンスの音楽から、ブーレーズ、シュトックハウゼンらの現代音楽まで―音楽史の流れをたどりながら、きくものに忘れがたい感動をあたえる傑作300曲を選び、著者ならではの文化や芸術への深い洞察に満ちた解説を加える。音楽の限りない魅力と喜びにあふれる「名曲の歴史」。”

名曲三〇〇選―吉田秀和コレクション (ちくま文庫)
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このシリーズ、出版のテンポが遅いので、頓挫したのか懸念していたのですが、気がつくと「名曲300選」と「モーツァルトをきく」が出版されていました。
特に、この「名曲300選」のお世話にならなかったクラシック音楽ファンはほとんどいなかったのではないでしょうか。私にとっても、クラシック音楽を聞き始めた頃はまさに「バイブル」とも呼ぶべき一書でした。繰り返し繰り返しページを繰ったために、最初に買った新潮文庫(たぶん・・・)はバラバラに解体してしまいました。
しかし、クラシック音楽を聞き始めたときに、この書と出会えた事は大きな幸せでした。
初めてブルックナーと出会ったときに、居眠りをして再び目覚めてのまだ単調なスケルツォが続いていて恐れ入った話や、今度ベートーベンの交響曲全集をそろえるならセル&クリーブランドのコンビを選ぶという話などなど・・・色んな想い出がつまった本です。
それから、これが凡百の入門書と異なるのは、バッハ以前にかなりのページを割いている点です。そのおかげで、音楽史の入門書としても学ぶべき点の多い本です。昨今でまわっている名曲名盤案内の愚書とは全く次元の違う入門書です。そして、これを上回る「入門書」はもうでないのではないかと思えるほどです。
もちろん、「モーツァルトをきく」の方も素敵な本です。
モーツァルトをきく―吉田秀和コレクション (ちくま文庫)
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