バーンスタイン ハイドン交響曲選集(12CD)

“バーンスタインによるSONYでのハイドン録音を集大成。『ロンドン交響曲集』と『パリ交響曲集』、『天地創造』、そして4曲のミサ曲をCD12枚に収めた大ヴォリュームのセットです。”

ロンドン交響曲集、パリ交響曲集、『天地創造』、ミサ曲集 バーンスタイン&ニューヨーク・フィル、他(12CD)
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12CDのセットで2228円とは、これまたかなりのお買い得セットですが、それ以上に、バーンスタインがこれほどもまとまったハイドンの録音を残していたとは!!
晩年の超スローテンポと情念をたたきつけるような濃厚な表情付けからは、ちょっとハイドンのイメージは湧いてきません。そんなバーンスタインが若い頃にこんなにもたくさんのハイドン作品を録音していたとはちょっとした驚きでした。
もっとも、若い頃のレニーは晩年とは全く別人のストレートで外連味のない音楽作りをしていましたから、それを思い浮かべればそれほど不思議はないのかもしれません。
と、ここまで書いてきて、確かバーンスタインのハイドンがどこかに一枚あったのではないかと思い当たり、探してみると奥の方から出てきました。94番「驚愕」と101番「時計」という有名作をカップリングしたものです。
早速聞いてみると、かなり響きがファットです。低声部を強調したドッシリとした音作りで、おそらくオケの編成は通常の二管編成からそれほど刈り込んでいないように聞こえます。
そして、音楽の方は予想したとおり、直線的でストレートな造形で、いらぬ表情付けや何か小粋なことをやってやろうという助平心とは無縁です。ただし、オケの編成が大きいためか、セル&クリーブランドのような鬼のアンサンブルに欠けるためか、全体的はいささかもっさりして聞こえることも事実です。
もっとも、わずか2曲聞いただけでCD12枚の全体を判断することは早計に過ぎます。しかし、この価格とこのクオリティなら、若き日のバーンスタインに興味のある方には充分値打ちのあるセットだと言っても、それほど外れてはいないと思います。
ただ、怪しからんのは、この古いCDでは、楽章と楽章の間で、ホールに残響音が広がりそれが減衰して消え去っていくのを待たずに途中でブツリと切ってしまっていることです。
このセットではそう言う馬鹿げた編集は改善されていることを祈ります。


【収録情報】
CD1
・交響曲第82番ハ長調『熊』(録音:1962年)
・交響曲第83番ト短調『牝鶏』(録音:1962年)
・交響曲第84番変ホ長調(録音:1966年)
CD2
・交響曲第85番変ロ長調『王妃』(録音:1966年)
・交響曲第86番ニ長調(録音:1967年)
・交響曲第87番イ長調(録音:1967年)
CD3
・交響曲第93番ニ長調(録音:1971年)
・交響曲第94番ト長調『驚愕』(録音:1971年)
・交響曲第95番ハ短調(録音:1973年)
CD4
・交響曲第96番ニ長調『奇蹟』(録音:1973年)
・交響曲第97番ハ長調(録音:1975年)
CD5
・交響曲第98番変ロ長調(録音:1975年)
・交響曲第99番変ホ長調(録音:1970年)
CD6
・交響曲第100番ト長調『軍隊』(録音:1970年)
・交響曲第102番変ロ長調(録音:1962年)
・交響曲第104番ニ長調『ロンドン』(録音:1958年)
CD7
・交響曲第101番ニ長調『時計』(録音:1970年)
・交響曲第103番変ホ長調『太鼓連打』(録音:1970年)
CD8
・ミサ曲第9番ハ長調『戦時のミサ』(録音:1973年)
CD9
・ミサ曲第11番ニ短調『ネルソン・ミサ』(録音:1976年)
・交響曲第88番ト長調『V字』(録音:1963年)
CD10-11
・オラトリオ『天地創造』全曲(録音:1966年)
・ミサ曲第14番変ロ長調『ハルモニー・ミサ』(録音:1973年)
CD12
・ミサ曲第12番変ロ長調『テレジア・ミサ』(録音:1979年)
 ジュディス・ブレゲン(ソプラノ)
 ジュディス・ラスキン(ソプラノ)
 ケネス・リーゲル(テノール)
 アレクサンダー・ヤング(テノール)
 ジョン・リアドン(バリトン)
 サイモン・エステス(バス)、他
 カメラータ・シンガーズ
 ウェストミンスター合唱団、他
 ニューヨーク・フィルハーモニック
 ロンドン交響楽団&合唱団(テレジア・ミサ)
 レナード・バーンスタイン(指揮)

1 comment for “バーンスタイン ハイドン交響曲選集(12CD)

  1. 2009年5月9日 at 9:03 AM

    FMで聴いた音などが元ネタですので、とても精度の低い比較なんですが、NYとの驚愕など、LPでは、とくにコントラバスなど、いかにもライヴ風にガチガチ言わせながら弾いていたはずなのに、それが例のCD一枚ものになった途端、優雅で退屈な録音に一変したのを思い出します。
    そんなわけでNYバーンスタイン(失礼、CBS)のCDは敬遠していたのですが、(チャールズ水彩画コレクションの)バーンスタインシリーズを中古店などで見かける度に、ロンドン、パリ、ミサとほとんど購入しました。
    その時は、あまり音に不満を感じなかったはずですので、今回も初期CDのようなことにはなっていないのでは。ともかく初期CDは、デジタル録音を含めてですが、ノイズを殺菌するために栄養の貧しいものが多々でした。

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