アルド・チッコリーニ/EMI録音完全全集1950-1991(56CD)

“1950年、1949年のマルグリット・ロン・コンペティションで優勝した25歳のチッコリーニは彼にとって初の78回転録音を行いました。スカルラッティ作品で、後年には名録音を再度残しています。続いて、アンドレ・クリュイタンスの指揮によりチャイコフスキーの協奏曲第1番を収録、その後、今なおチッコリーニのライヴでの代表的レパートリーのモーツァルト・ソナタのアンソロジーが録音されました。EMIフランスを代表するピアニストとしてフランス作品の大半を収録、チッコリーニの代表的録音が残されました。  本ボックスには初CD化(モーツァルトのソナタやバッハのインヴェンションは日本のみで発売、またドビュッシーの最初の録音/1969年)作品や1976年収録の『展覧会の絵』など初めて発売される作品も含まれ、価値感を一層高めています。  日本の聴衆を愛するチッコリーニの2010年3月の来日公演(『展覧会の絵』も予定)ともども、大きな話題となるボックス・アルバムです。”

チッコリーニ/EMI録音56枚組

最近の人はどうかは分かりませんが、私のような世代にとってクラシック音楽はまずはドイツ・オーストリア系が一番でした。ですから、フランス系はどうしても二の次になり、疎遠になってしまいます。
ピアニストにおいても同様で、このチッコリーニもフランス系のピアニストとしては大御所の部類にはいるのですが、サティの録音などを除けばあまりおつきあいのある方ではありませんでした。
それだけに、ドバッと56CDがマルチバイ特価で1万円ちょっとというのはかなり魅力ですね。(何しろ、ダブリがほとんどない!!)
この人は、若いときにロン=ティボーで優勝して世に出たのですが、最近はコンクールの乱立に苦言を呈しています。
「私がロン=ティボーで優勝した頃、『国際』と銘打ったコンクールは世界で四つしかなかった。
ところが現在は同じ顔ぶれの審査員が並ぶコンクールが何百とある。これでは個性的な演奏が出てくる余地はない」
そして、
「面白いと思ったら少々の傷には目をつぶって受け入れてみる。そんな聴き手が増えることを期待しています」
とも述べています。
彼は戦後の混乱期に、生きるためにピアノ・バーで演奏をしていたそうです。誰もピアノなんか聴こうともしない中で演奏をするというのは過酷な経験だったが、後から振り返ればそれこそが最高の学校だったと彼は語り、今の若い人も、そうした経験を積んだほうがいいと思う瞬間がある・・・とも述べています。
来年の3月に久々に来日しての公演があると言うこともこのボックスに結実したのでしょうか?
有り難い話です。

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