パッケージメディアの将来

“スコットランドの大手オーディオメーカーLINNがCDプレーヤーの生産を終了するということを、発表しました。 ご存知の方も多いと思いますが、私は正直愕然としました。(-_-;)”

LINNがCDを否定?(-_-;) – オーディオスペースコア
最近あちこちで、CDは終わったのか?みたいな論議が活発になっています。そして、大手メジャーレーベルはCDのようなパッケージメディアには見切りをつけて音楽配信ビジネスを本格化させようとしている、と言うこともまことしやかに囁かれています。
LINNと言えばハイエンドオーディオマニア御用達のブランドです。私などは全く縁がありませんが、そこがCDプレーヤーの生産を終了するようです。
LINNは今後DSに事業を特化していくようです。DSと言っても、もちろんゲーム機じゃないですよ。
「リッピングしたCDデータをNASからストリーミングして、最高級CDプレーヤーを超えるクオリティーで再生するだけでなく、インターネットからダウンロードしNASに格納したデータを最高音質で再生する新しいミュージック・ボックス。」
これをLINNはDS(デジタルストリ?ムプレイヤー )と称しているらしいのですが、つまりはPCオーディオのことです。
ただ、今までのPCオーディオならパソコンやインターフェイスなどの機器がゴチャゴチャと接続されていたのが、一つの機器にすっきりまとめて提供しようというのが、DS(デジタルストリ?ムプレイヤー )という提案のようです。
それにしても、ハイエンドが294万円、ローエンドで29万4千円とは驚きの価格です。
ただし、小売価格がメーカー出荷額の4?5倍が常識だとすると、実質的にはハイエンドで60万円、ローエンドで6万程度と言うことになります。ハイエンド機は箱がアルミの削りだしらしいので、おそらくそれだけで原価は30万円程度はかかるでしょうから、中味は30万円程度になります。ある程度本腰を入れてPCオーディオに取り組みはじめたレベルのクオリティでしょう。
ローエンド機の6万円程度という計算ですから、いわゆるPCオーディオの入門クラスのクオリティではないかと思われます。
もちろん、実物を聞いたわけではないので断言はできませんが、いつも言うように部品が全て24金でもないかぎりあの価格をまともに受け取ることはできません。
少し、話がそれました。別に、LINNの悪口を書くつもりではなかったのです。本題はパッケージメディアの将来についてでした。
LINNは、間違いなく、ハイエンドオーディオの世界で成功している数少ないメーカーの一つです。そこが、CDプレーヤーに見切りをつけてPCオーディオの世界に舵を切り替えたというのは、オーディオの世界に大きな影響を与えるだろうと思います。
しかし、これをもって、CDのようなパッケージメディアが終焉するとみるのは早計でしょう。
なぜなら、LINN自身も「最高音質CDプレーヤーとして、リッピングされた何千タイトルものCDを楽しむのもよし。インターネットからダウンロードされる48?192kHz/24bitの音源で夢のような世界を旅するもよし。」と書いているのです。
つまり、LINNは、CDのようなパッケージソフトが終わるというのではなくて、CDプレーヤーという形態が終わると言っているのです。
ですから、LINNはCDを否定していませんし、ましてや「↓皆さんのお家にあるCDソフトって何枚ありますか?これって将来ゴミになっちゃうんでしょうか?(T_T)」というのは、全くの誤解にしかすぎません。
私は5?6千枚程度のCDを所有していますが、それをCDプレーヤーで再生することはほとんどありません。つまりは、私にとってCDプレーヤーは「ない」も同然なのですが、決して5?6千枚のCDはゴミにはなっていません。
おそらく、パッケージメディアが急激に音楽配信に切り替わることはないと思います。
何故なら、音楽業界は音楽をパッケージとして卸から小売りをとおして販売することによって成りたってきました。そのシステムを突然リストラすることは不可能だと思われます。
また、手元に大切に置いておきたい音楽は、ファイルのような目に見えないものではなく、しっかりとした形のあるもととしておいておきたいという心理も消えることはないと思われます。実際、リッピングして中味はハードディスクに全て取り込んでしまったCDを場所ふさぎだからと言って処分したという話は聞いたことがありません。
おそらくは、音楽配信とパッケージメディアは長い間共存するのではないでしょうか。そして、本当に価値のある「音楽」はいつまでもパッケージとして残るのではないかと思います。いろんな音楽をネットをとおして気軽に聞いてみて、その中から本当に気に入ったものだけをパッケージとして購入するという形ができあがるのではないでしょうか。
もしかしたら、音楽配信をとおして気に入った音楽を自分なりにチョイスして、自分だけのCDを作ってもらう、なんて言うサービスができるかもしれませんね。私個人の予測としては意外とパッケージメディアは「しぶとい」のではないかと思われます。
ただ、音楽産業としては、どこかで、軸足を音楽配信に移さないと経営が成りたたなくなるときが来ることは間違いないでしょう。その中で、現行の流通システムはリストラされていくでしょうし、そのリストラと歩調を合わせてパッケージメディアは少しずつ姿を消していくのではないでしょうか。
それでも、きっと、いろんな形でパッケージメディアは残るだろうと思います。
はてさて、10年後にこの予測はどこまで当たっているでしょうか?

1 comment for “パッケージメディアの将来

  1. gkrsnama
    2010年1月8日 at 12:14 AM

    リンみたいな超高級メーカーはべつとして今の時点の一般の音楽配信の特徴は
    1)非可逆圧縮による低質化
    2)高額化(激安盤と輸入盤があふれている中で、音楽配信では正規盤のの金額をとれる)
    3)店=>CD=>PC=>携帯プレイヤ から ネット=>携帯プレイヤへとステップを変化させることで、時間と手間を節約できる。
    これが起こったのは、言うまでもなくiPODが音楽受容手段の中心になったからです。結果音楽は環境に追いやられ、日常に聞くBGMとして単なる消費対象になり下がりました。もちろんiPODについているイヤホンは劣悪な品質のものです。このため、低質な圧縮音源のでも十分なのです。(ぼくのER-4sなら320kbpsのmp3を見破るなんていわれています。こんなのは特別です。)
    繰り返しますが、今の音楽配信は、悪貨は良貨を駆逐する方式で進んでいます。同じことは音質だけじゃなくて音楽の内容についても言えるのですが、これはまた別の話し。

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