ゴバーマンのハイドン録音の紹介を終えて

漸くにしてマックス・ゴバーマンによるハイドンの交響曲の紹介を終える事が出来て、なんだか肩の荷が下りたような気がしています。
正直に言いますと、この一連の録音を紹介することにはあまり乗り気ではありませんでした。その理由の中で一番大きかったのは、サイトにアップする以上は簡単なものであっても一つずつの作品の概要について紹介しなければいけないからです。しかし、パリ交響曲以降の晩年の作品ならばそれなりに馴染みはありますし、作品紹介のための資料も豊富に存在します。

Max Goberman

しかし、それが初期・中期の作品となると一気に馴染みがうすくなり、さらには紹介のために使える資料も「探す」必要があるほどに乏しくなります。
とは言え、こういうサイトをやっている以上はハイドンの交響曲を無視するわけにはいきませんし、これだけ膨大な初期・中期の作品でパブリックドメインになっているのはゴバーマンの録音だけです。そうなると、少しくらいはしんどくても取り上げざるを得ません。

つまりは、音楽を何処か「お勉強モード」で向き合うという、どう考えても楽しくない作業が容易に想像できたわけです。
そこで、サイトで取り上げる前の決意を固める前に(^^;、取りあえずはゴバーマンが残した録音を一通り聞いてみました。その時に有り難かったのは、ハイドンの交響曲のナンバリングが必ずしも創作順にはなっていないという事実に気づいたことです。
そこで、諸説ある中でランドンの説に従って、ハイドンの交響曲の歩みをゴバーマンの演奏で聞き通してみました。

最初はいささかウンザリする「修行」だなと思ったのですが、聞き始めるとすぐにそう言う気持ちは吹っ飛んでしまいました。それは、ゴバーマンの演奏が極めて優れていると言うことも大きく寄与していたのですが、ハイドンが「交響曲」というジャンルでどのように工夫を重ねチャレンジしていったのかが手に取るように見えてきたからです。
そして、さらに驚いたのは、そう言う「退屈」と言われることの多い初期・中期の作品は、退屈どころかどれを聞いても実に楽しく美しい音楽なのです。ですから、最初は「修行」を思った作業がいつの間にかこの上もない「楽しい時間」に変わりました。

そうして、彼が残した45曲の録音を全て聞き終えたときには、このゴバーマンの録音を通してハイドンが挑んだ交響曲の道を紹介することと、さらには初期・中期の作品が持つ魅力を一人でも多くの人に知ってもらいたいという思いに変わりました。
ですから、こういうコメントをいただいたときは本当に嬉しかったです。

ハイドン、お勉強モードの退屈な作曲家という
イメージで、あまり感動したことがなかったですが、ゴバーマンで見る目変わりました。
こんなに生き生きとした音楽だったのですね。

Franz Joseph Haydn

残念ながら、アクセス解析を見る限りではゴバーマンによるハイドン録音は至って不人気でした。(--;)
しかし、それでも、この録音を通してハイドンという音楽家の姿をもう一回り大きくとらえてくれる人があらわれれば嬉しい限りです。

実は、この次に計画しているのはハイドンの弦楽四重奏曲の紹介です。
おそらく、これもまた音楽史を振り返る上では絶対に看過できない分野なのですが、おそらく交響曲以上に不人気になることは容易に想像はつきます。

しかし、紹介を予定している録音を全て聞き通してみた率直な気持ちは交響曲の時と同じした。
それらもまた決して「お勉強モード」で接する音楽ではなく、ある意味では交響曲以上に大変だったかもしれない弦楽四重奏曲の道を教えてくれると同時に、音楽としてもこの上もなく魅力的な作品群なのです。

どちらにして、こういう仕事はいつかは誰かがやらないといけないことなんですよね。
弦楽四重奏曲に関してはいつからスタートするかは今は沈思黙考注なのですが、はじめた以上はいかに不人気であってもやり抜く決意ではおりますので、そのあたりは是非ともご辛抱いただければ幸いです。

4 comments for “ゴバーマンのハイドン録音の紹介を終えて

  1. 2020年7月7日 at 5:59 PM

    貴重なハイドンの録音をご紹介くださりありがとうございます。私はハイドンの(交響曲の)大ファンです。全曲CDだけでも3つ持っていますが、それ以外にも完成していない全集も多々あります。私は有名な後期の作品より、初期中期のものが大好きで単発でもいろいろ集めていましたが、ゴバーマンは初耳でした。初期中期というと編成の小さなオケによる室内楽的な演奏が多かったのですが、このようにどっしりした演奏は新鮮です。何回も繰り返して聴いてみたいです。

  2. 2020年7月30日 at 3:25 PM

    yung様 はじめまして。ハンドルネームはDESUと申します。

    今更ながらのPCオーデキオ二年目の初心者で、PCオーディオについてご教授願いたいことがあるのですが可能でしょうか。

  3. 煩翁
    2020年8月8日 at 11:53 PM

    ハイドンの音源、ありがとうございます。ハイドンのファンです。yungさんが「お勉強モード」だったとは知りませんでしたw でも「そんな気持ちは吹き飛んだ」とのこと、うれしいお言葉です。
    弦楽四重奏も期待しています。がんばって下さい。

  4. 南陽ハルカ
    2020年8月11日 at 8:21 AM

    ハイドンの弦楽四重奏のアップロード大変楽しみにしております!
    私は大学時代ドイツ文学を専攻していたこともあり、ドイツ国歌の元となったハイドンの弦楽四重奏には思い入れがありますのでなおさらワクワクします。
    ハイドンのフレッシュさを教えてくれたユングさんとゴバーマン氏には大大感謝しているので、人気の有無など気にせずにアップしていただきたいです。
    ユングさんをきっかけにハイドンの魅力に気が付く人が徐々に、少しでも増えていけば素晴らしいことだと思います。応援しています!!

東丈 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です