PCでオーディオをやる意義

どうも最近は興味をひくディスクもあまりなくて、こちらのコーナーも開店休業になってなってしまっています。ただし、個人的には50年代のモノラル録音から60年代のステレオ録音初期ぐらいまでに興味が集中しているという変わり者ですから、それも原因しているのでしょうね。
最新の録音に興味を持って、それを追いかけている人だとずいぶん景色も変わって見えるのかもしれません。
と言うわけで、今回は「一押し」したいディスクもないので、PCオーディオについて、最近考えていることをいくつか書いておこうかと思います。
まず一つめは、「黎明期」と言うことについてです。
古い人に聞いてみると、オーディオの黎明期は基本は「自作」だったようです。スピーカーもアンプも基本的には自分で組み立てて音楽を聞いていたそうです。
やがて、そう言うオーディオへの興味が一般に広がっていく中で、オーディオメーカーなるものがあらわれて、そう言う自作のノウハウを取り込んで民生用のオーディオ機器が誕生したそうな・・・。
そう言う意味で言えば、今のPCオーディオは、突っ込んでいけばいくほど「自作」の雰囲気が強くなっていくように感じています。
ただ、昔と違うのは半田ごてのかわりにキーボードを使って、いろんなコマンドやプログラムを駆使して追い込んでいくことです。そして、かつての「自作」には回路設計に関するノウハウが必要だったように、昨今のPCオーディオも突き進んでいけばいくほどパソコンに関するノウハウが必要になってきて、全くの素人にはおいそれと手が出さないような領域になってきています。
掲示板の方でgkrsnamaさんより
「あえてPCでオーディオをやる意義は何なのでしょうか。」というストレートな疑問が呈されています。
「コンピュータは表面的にはユーザフレンドリーな顔つきをしていますが、一旦中に入ると多くの顔をもつ果てしのない迷路です。・・・そのような面倒なものに敢えて手を出すのは、余ほどのメリットがあるからなのでしょう。(か)」
全くその通りで、PCオーディオも最初はPCの「表面的にはユーザフレンドリーな顔つき」に甘えて簡単に取り組んでいたのですが、音質の追求が始まるとその「果てしのない迷路」の中をさまよい歩くことになります。
たとえば、PCオーディオにおける最新のトレンドは「Voyage MPD」ですが、その「Voyage MPD」を巡る最近の一番の課題はプロセスの優先度の設定をどうするか?・・・です。
これは、yanさんのお手柄で、MPDが音楽を再生するために4つのスレッドから成り立っていることをソースコードから解き明かしてくれて、さらにはその4つのスレッドの優先度を設定できるパッチを開発してくれたことがきっかけでした。
こうなると、MPDを支えている周辺の音楽再生に関係するプロセスも含めて、PCが最もストレスなく音楽再生に専念できる優先度の設定どうすればいいのか・・・が最大の課題となってきます。
ただし、音楽再生に関連するであろうプロセスというのは、音楽ファイルを受け取る部分と送り出す部分、そしてこれらの同期を取るタイマーに関係する部分が考えらえるのですが、これらもそれぞれ単一のプロセスでできているわけではありません。ですから、これらの組み合わせの最適値を求めるのはまさに「迷路」そのものです。
導入するだけでもかなり壁が高い「Voyage MPD」を、さらに複雑なコマンドを使って追い込もうというのですから、これは実に持って大変なことです。
正直言って、もうこのあたりに来ると、自作オーディオならば雑誌「ラジオ技術」の領域と肩を並べるくらいディープな世界に突入しています。(「ラジオ技術」って言う雑誌、ご存知ですか?今年から書店には並ばなくなってしまいましたが・・・)
WindowsでPCの負荷を減らすためのチューニングなんてやっていた時代が懐かしいです。ただ、そこから見えていた課題を解決するために「CMP2」から「Voyage MPD」へと流れ着いたことは全く理の当然でしたし、その見返りとして、踏み込めば踏み込むほど一般の人がおいそれとは手が出せない領域へと世界が広がっていったことも事実です。
おそらくこのような「矛盾」は黎明期が内包している「矛盾」であって、これを解決するのはかつての自作オーディオがオーディオメーカーの民生機に内包されていったように、PCオーディオもまた民生機の中に組み込まれていくことで解決されるのではないかと思います。
ただ、現状は、とりわけ国内においてはその動きが鈍いです。
欧米では、たとえばLINNが早々とCDプレーヤーの生産・開発を停止してPCオーディオのノウハウを取り込んだ(彼らはネットワークオーディオと呼んでいますね)機器の販売を始めたように、その動きは機敏でした。国内でも、オンキョーやヤマハなどがようやくにしてネットワークオーディオに関連するシステム提案を始めていますが、その中味をのぞくと、PCオーディオに熱心に取り組んでいる一般ユーザーの後塵を拝するものに留まっています。残念ながら、これでは上述したような「矛盾」は解決しません。
しかし、この「矛盾」を解決し、乗り越えない限り、国内のオーディオメーカーには明日はないというのが私の考えです。そうなれば、後に残るのは、安手のイヤホンを耳に突っ込んでMP3をガンガン鳴らして音楽を聞くという「不毛の大地」だけです。
長くなってきたので、続きは次回へ・・・。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です