文字通り『最後の巨匠』であったギュンター・ヴァント最晩年の名声を決定付けた、1996年から2001年にかけて録音されたベルリン・フィルとの名盤、ブルックナーの交響曲集(第4番・第5番・第7番・第8番・第9番)を海外盤では初めてボックス・セット化。
いささか口さがない言い方ですが、ベルリンフィルとのブルックナーも「叩き売りか・・・^^;」と思ってしまいます。
「巨匠の辿りついた深い境地を、ベルリン・フィルが強靭なアンサンブルで具現した決定的名演ばかりです。」というキャッチコピーにはいささか疑問は残りますが、この価格ならば試しに買ってみる価値はあると思います。
それに、営業的に言えば、直近にリリースされた28枚組の方はオケがケルン響ですから、実に上手く振り分けたものだと感心させられます。
ヴァントのブルックナーと言えば、こちらの工芸品を思わせるような精緻な作りの演奏の方が高く評価されています。しかし、個人的には「闘う男」としてのヴァントの姿が刻み込まれたケルン響の録音の方が好きです。金管群を徹底的に鳴らしきった、そしてどこかおおらかな魅力にあふれた演奏の方が、私にとっては心安らかに聞けます。もちろん、欠点を探し出せばいくらでも数え上げることのできる録音です。しかし、私はそのような聴き方はしたくないタイプなので、そんな細かいことはいっこうに気になりません。
ただし、ケルン響の方は全部そろっているのですが、ベルリンフィルとの録音は手元に8番と9番しかありません。このダブり率とこの値段なら買っておいてもいいのかなぁ・・・と思案してしまいます。