往年のドイツの名指揮者フランツ・コンヴィチュニー[1901-1962]が遺したモノラル録音から注目度の高い演奏をチョイスしたボックスセット。
「Scribendum」というレーベルからのリリースです。
このレーベルは「コンヴィチュニーの芸術(13CD)すべてゲヴァントハウス管弦楽団とのステレオ録音」というのが結構売れたようで、それに続けて「全部モノラル録音」というシリーズを企画してくれたようです。
コンヴィチュニーの録音に関しては、「Corona Cl.collection」というレーベルが「フランツ・コンヴィチュニーの芸術(1)(2)」というのを発売しているのですが、「ブルックナー:交響曲第2番(1951年モノラル)」と「ショスタコーヴィチ:交響曲第10番&第11番『1905年』(1954&59年モノラル)」の3枚だけがダブっているだけです。
その意味では、なかなかいいチョイスです。
コンヴィチュニーは戦後間もない1949年からなくなる1962年までライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団を率いています。今回のセットでは、手兵のゲヴァントハウス管弦楽団との録音はショスタコーヴィチ:交響曲第10番だけで、それ以外はシュターツカペレ・ドレスデン・チェコ・フィル・ベルリン放送交響楽団・ライプツィヒ放送交響楽団という東欧圏の名門オケが網羅されています。
戦後間もない50年代の初頭というのは、いずこの名門のオケでも極めて困難な時代だったようで、楽器の調達からメンバーの確保まで、頭の痛くなるようなことが次から次へと降りかかってきた時代だったようです。
今回まとまって発売されたモノラル録音は、まさにそのような困難の中にあって奮闘していた時代の演奏です。それは同時に、伝統というのはこのようにして守られ、維持されるのだというヨーロッパの気概のようなものを感じさせてくれる録音でもあります。
【収録情報】
Disc1
ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 Op.55『英雄』
I. Allegro con brio [16:16]
II. Marcia funebre: Adagio assai [17:42]
III. Scherzo: Allegro vivace [06:21]
IV. Finale: Allegro molto [11:46]
シュターツカペレ・ドレスデン
録音時期:1955年
1962 VEB Deutsche Schallplatten – c 2013 Scribendum Ltd.
Disc2
ブルックナー:交響曲第2番ハ短調 WAB102(1877年 ハース版)
I. Ziemlich schnell [19:34]
II. Adagio. Feierlich, etwas bewegt [17:49]
III. Scherzo. Schnell [08:49]
IV. Finale. Mehr schnell [18:17]
ベルリン放送交響楽団
録音時期:1951年
1962 VEB Deutsche Schallplatten – c 2013 Scribendum Ltd.
Disc3
ブルックナー:交響曲第4番ホ長調 WAB104(1881年原典版 ハース版)
I. Bewegt, nicht zu schnell [18:50]
II. Andante quasi Allegretto [18:44]
III. Scherzo. Bewegt [10:59]
IV. Finale. Bewegt, nicht zu schnell [21:09]
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
録音時期:1952年
c 2013 Scribendum Ltd.
Disc4
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番ホ短調 Op.93
I. Moderato [22:47]
II. Allegro [03:54]
III. Allegretto [11:28]
IV. Andante – Allegro [12:34]
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
録音時期:1954年
1957 VEB Deutsche Schallplatten – c 2013 Scribendum Ltd.
Disc5
ショスタコーヴィチ:交響曲第11番ト短調 Op.103『1905年』
I. Adagio (The Palace Square) [16:20]
II. Allegro (The 9th of January) [18:40]
III. Adagio (Eternal Memory) [14:04]
IV. Allegro non troppo (The Tocsin) [15:08]
シュターツカペレ・ドレスデン
録音時期:1959年
1960 VEB Deutsche Schallplatten – c 2013 Scribendum Ltd.
Disc6
ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調 Op.60
I. Adagio, Allegro vivace [12:13]
II. Adagio [09:48]
III. Menuetto: Allegro vivace [05:57]
IV. Allegro, ma non troppo [06:58]
ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 Op.67『運命』
I. Allegro con brio [07:23]
II. Andante con moto [11:00]
III. Allegro [05:19]
IV. Allegro [08:27]
ライプツィヒ放送交響楽団
録音時期:1950年(第4番)、1951年(第5番)
c 2013 Scribendum Ltd.
Disc7
ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調 Op.125『合唱』
I. Allegro ma non troppo, un poco maestoso [18:15]
II. Scherzo: Molto vivace – Presto [12:04]
III. Adagio molto e cantabile [17:06]
IV. Finale: Presto – Ode to Joy [22:11]
ハンネ=ローレ・クーゼ(ソプラノ)
エヴァ・フライシャー(コントラルト)
ロルフ・アブレック(テノール)
ハンス・クラーマー(バス)
ライプツィヒ放送交響楽団&合唱団
録音時期:1950年
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団繋がりで言うと副指揮者としてアルトゥール・ニキシュに師事していたジョルジェスク指揮エネスコ・フィル(1961-62 ステレオ)のベートーヴェン交響曲全集(5CD)も面白いと思います。
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