渡邊暁雄のシベリウス

“渡邉は1962年に世界初のステレオ・レコーディングによるシベリウス交響曲全集を完成させているが、今回再発の音源はその約20年後に行われた2度目の全集録音(デジタル)。1981年にレコード・アカデミー賞を取っている。前回にも増して音楽の内面を深く掘り下げていく姿勢が強く表われ、思索的な味わいが彫り深く描き出された感動的な全集。まさに渡邉の遺作&ライフワークと呼ぶにふさわしい内容。”

アリアCD(9)
これはユング君にとっては本当に思い出深いアルバムです。当時、大学生だったユング君は、まさに清水の舞台から飛び降りるつもりでこの全集を購入しました。もちろん、CD等というものは未だ存在しない時代ですから、丁寧な作りのボックスに入ったLPでした。そのボックスには日本におけるシベリウス研究の第一人者であった菅野浩和氏による懇切丁寧な解説書が付属していて、若きユング君はその解説を何度も何度も読み返したものです。
今回の再発では、その解説の一部が生前の渡辺をよく知る人物によるエッセイに「差し替え」られているとの案内なのですが、まさか、菅野浩和氏による作品解説がその「差し替え」の対象になっていないでしょうね・・・?まあ、コロンビアもそこまで愚かではないと信じましょう。
今回の再発はCD化による90年と96年に続く3度目ですが、これもまたシベリウスの没後50年を記念しての動きなのでしょう。
この全集はどれも高いレベルの演奏で素晴らしいのですが、とりわけ第1番がユング君のお気に入りでした。
漆黒の闇につつまれた針葉樹林の彼方から夜明けを告げる太陽が昇ってくるような最終楽章はいつ聞いても感動的です。

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