リリー・クラウス・ボックス(31CD)

リリー・クラウス・ボックス(31CD)

往時はモーツァルト弾きとしてハスキルと並んで名をはせたのですが、時の経過とともに影が薄くなってしまっているのがリリー・クラウスです。ただし、その責任の一端はレコード会社の方にもあります。
たとえば、彼女にとって最も大切なレパートリーであったモーツァルトのピアノソナタには1950年代のモノラル録音と1960年代のステレオ録音の二種類があります。当然のことながら、レコード会社はステレオ録音の方を彼女の代表的な演奏として広く流通させ、モノラル録音の方は入手困難な状態が長く続いていました。さらに言えば、たまにモノラル録音が復刻されても全くやる気のないマスタリングで、「ブリキの板を叩くような」と酷評されるような状態でリリースされました。

「56年録音で晴朗なモーツァルトを聴かせたクラウスが、それから10年の歳月を経て、深い心情を告白するようなスタイルでじっくりとモーツァルトと向き合ったのがこの演奏です。」などと言われても、こういう「深い真情の告白」などというのは衰えの糊塗以外の何ものでもありません。
クラウスは1903年の生まれですから、ステレオ録音を行ったときはまだ60を少し超えたばかりの時でした。衰えるのは早すぎる気はするのですが、それも50年代のモノラル録音と比べるとその違いは歴然としています。
たとえば、モーツァルトのヴァイオリンソナタにしても、戦前のゴールドベルグと組んだ古い録音を引っ張り出してくる人はほとんどいません。

つまりは、彼女のすばらしさを刻み込んだ録音は日陰者扱いで、いろいろと問題の多い録音が世に出回るようになったのです。その背景にレコード会社の新譜を売りたいという思惑があったことは否定できないはずです。

しかし、そう言う彼女のすばらしさを刻み込んだ古いモノラル録音がパブリックドメインとなり、最後はこういう形でまとめてリリースされるようになれば、何故に彼女がハスキルと肩を並べる存在であったのかを多くの人が気づくきっかけとはなるでしょう。願わくば、クラウスに十分な敬意ははっらたレベルのマスタリングが施され、満足できる音質が確保されていることを祈ります。

【収録情報】
Disc1
モーツァルト:
● ピアノ・ソナタ第1番ハ長調 K.279
● ピアノ・ソナタ第2番ヘ長調 K.280
● ピアノ・ソナタ第3番変ロ長調 K.281
● ピアノ・ソナタ第4番変ホ長調 K.282
● ピアノ・ソナタ第5番ト長調 K.283

録音時期:1954年

Disc2
モーツァルト:
● ピアノ・ソナタ第6番ニ長調 K.284
● ピアノ・ソナタ第7番ハ長調 K.309
● ピアノ・ソナタ第8番イ短調 K.310

録音時期:1954年

Disc3
モーツァルト:
● ピアノ・ソナタ第9番ニ長調 K.311
● ピアノ・ソナタ第10番ハ長調 K.330
● ピアノ・ソナタ第11番イ長調 K.331『トルコ行進曲付き』
● アレグロ ト長調 K.312

録音時期:1954年

Disc4
モーツァルト:
● ピアノ・ソナタ第12番ヘ長調 K.332
● ピアノ・ソナタ第13番変ロ長調 K.333
● 『美しいフランソワーズ』による12の変奏曲 K.353
● 幻想曲 ハ短調 K.396
● 幻想曲 ニ短調 K.397

録音時期:1954年

Disc5
モーツァルト:
● ピアノ・ソナタ第14番ハ短調 K.457
● パイジェッロの歌劇『哲学者気取り』の「主に幸あれ」による6つの変奏曲 K.398
● 幻想曲 ハ短調 K.475
● ロンド イ短調 K.511
● ケーゲルシュタット・トリオ K.498

フランソワ・エティエンヌ(クラリネット)
ピエール・パスキエ(ヴィオラ)
録音時期:1954年、1955年

Disc6
モーツァルト:
● ピアノ・ソナタ第15番ハ長調 K.545
● ピアノ・ソナタ第16番変ロ長調 K.570
● ピアノ・ソナタ第17番ニ長調 K.576
● アダージョ ロ短調 K.540
● ジーグ ト長調 K.574
● メヌエット ニ長調 K.576
● アダージョとロンド K.617

録音時期:1955年

Disc7-12
モーツァルト:
● ヴァイオリン・ソナタ第1, 12, 17~22, 24~30, 32~43番

ヴィリー・ボスコフスキー(ヴァイオリン)
録音時期:1954年、1955年

● ピアノと管楽のための五重奏曲変ホ長調 K.452

ピエール・ピエルロ(オーボエ)
ジャック・ランスロ(クラリネット)
ジルベール・クルシェ(ホルン)
ポール・オンニュ(ファゴット)
録音時期:1955年

Disc13-14
● モーツァルト:ピアノ三重奏曲集(K.254, 442, 496, 502, 542, 548, 564)

ヴィリー・ボスコフスキー(ヴァイオリン)
ニコラウス・ヒューブナー(チェロ)
録音時期:1954年

Disc15
モーツァルト:
● ピアノ協奏曲第20番ニ短調 K.466
● ピアノ協奏曲第9番変ホ長調 K.271『ジュノーム』

ウィーン・コンツェルトハウス室内管弦楽団
ヴィリー・ボスコフスキー(指揮)
録音時期:1955年

Disc16
ハイドン:
● ピアノ・ソナタ第32、31番
録音時期:1956年

● ピアノ・ソナタ第53、59番
録音時期:1953年

Disc17-19
ベートーヴェン:
● ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ長調 op.12-1
● ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調 op.12-2
● ヴァイオリン・ソナタ第3番変ホ長調 op.12-3
● ヴァイオリン・ソナタ第4番イ短調 op.23
● ヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調 op.24『春』
● ヴァイオリン・ソナタ第6番イ長調 op.30-1
● ヴァイオリン・ソナタ第7番ハ短調 op.30-2
● ヴァイオリン・ソナタ第8番ト長調 op.30-3
● ヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調 op.47『クロイツェル』
● ヴァイオリン・ソナタ第10番ト長調 op.96

ヴィリー・ボスコフスキー(ヴァイオリン)
録音時期:1955年

Disc20
ベートーヴェン:
● ピアノ・ソナタ第17番ニ短調 Op.31-2『テンペスト』
● ピアノ・ソナタ第21番ハ長調 Op.53『ワルトシュタイン』
● ピアノ・ソナタ第30番ホ長調 Op.109

録音時期:1954年、1953年

Disc21
● ベートーヴェン:エロイカ変奏曲 Op.35
録音時期:1953年

ブラームス:
● シューマンの主題による変奏曲 嬰ヘ短調 Op.9
● ラプソディ ロ短調 Op.79-2
● 間奏曲 ロ短調 Op.117-1
● カプリッチョ 変ホ長調 Op.76-2
● 間奏曲 ホ長調 Op.116-4
● 間奏曲 変ロ短調 Op.117-2
● ラプソディ ホ短調 Op.119-4
録音時期:1957~1958年

Disc22
● ハイドン:ピアノ・ソナタ第62番
録音時期:1955年

● シューベルト:ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ第1番、第2番

ヴィリー・ボスコフスキー(ヴァイオリン)
録音時期:1957年

Disc23
シューベルト:
● ハンガリー風ディヴェルティメント ト短調 D.818
● 序奏、自作の主題による4つの変奏曲と終曲 変ロ長調
● 6つのポロネーズ D.824

ホメロ・マガリャエス(ピアノ)
録音時期:1956年

● ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ第3番

ヴィリー・ボスコフスキー(ヴァイオリン)
録音時期:1957年

Disc24
● モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第24、33、34、35、39番

シモン・ゴールドベルク(ヴァイオリン)
録音時期:1937年

Disc25
モーツァルト:
● ヴァイオリン・ソナタ第36、41番
● ピアノ・ソナタ第14番
● 幻想曲 ハ短調 K.475

シモン・ゴールドベルク(ヴァイオリン)
録音時期:1937~1939年

Disc26
モーツァルト:
● ピアノ協奏曲第9番 K.271

フィルハーモニア管弦楽団
ワルター・ジュスキント(指揮)
録音時期:1948年

● ピアノ協奏曲第13番 K.333

ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ワルター・ゲール(指揮)
録音時期:1948年

● ピアノ協奏曲第18番変ロ長調 K.456

ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ワルター・ゲール(指揮)
録音時期:1938年

Disc27
モーツァルト:
● ロンド ニ長調 K.485
● グルックの『メッカの巡礼』による変奏曲 K.455
● アダージョ ロ短調 K.540

録音時期:1937年、1938年

● ハイドン:ピアノ三重奏曲第40、43、45番

シモン・ゴールドベルク(ヴァイオリン)
アントニー・ピーニ(チェロ)
録音時期:1939年

Disc28-29
● ハイドン:アンダンテと変奏曲 ヘ短調 Op.83
録音時期:1937年

● ベートーヴェン:エロイカ変奏曲 Op.35
録音時期:1939年

● ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第2、5、6、9、10番

シモン・ゴールドベルク(ヴァイオリン)
録音時期:1936~1937年

Disc30
● モーツァルト:トルコ行進曲
● ショパン:ワルツ第14番ホ短調
録音時期:1933年

● シューベルト:ピアノ・ソナタ第14番 D.784
● シューベルト:レントラー D.145-1~9,11
● シューベルト:高雅なワルツ D.969
● シューベルト:即興曲 D.935-3
録音時期:1937~1938年

● シューベルト:即興曲 D.899-2
録音時期:1948年

Disc31
● シューベルト:ピアノ・ソナタ第16番 D.845
録音時期:1948年

● ショパン:即興曲第2番 Op.36
● ショパン:前奏曲第4番 Op.28-4
録音時期:1937年

● バルトーク:ルーマニア民俗舞曲
● バルトーク:民謡の旋律による3つのロンド
録音時期:1938年



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