よくいただく申し出であり、そのお心には感謝しています。
実はこの件については弁護士をやっている友人とも一度真剣に検討したことがあります。
その時は、この件について積極的な何人かのユーザーの方とも意見交換を行い、さらには弁護士をやっている友人の知恵も借りたりしました。
そして、その検討の結果を一言で述べれば「やはり難しい」ということです。
その難しさの要因はいくつかあるのですが、どうしてもクリアできなかったのが、提供されるファイルがパブリックドメイン(以下、PD)としての要件を満たしているかどうかをどのようにして検証するかです。
まずは、2003年の著作権法の一部改正で隣接権の起算点が「録音」から「発売」に切り替わりました。この改正を受けて、いくつかのレーベルではPマークという形で初発の年を明示するようにはなってきましたが、未だにこの点は未整備です。そうなると、Pマークで明示されていない録音についてはPDかどうかを判断するのはかなり困難です。
さらに、明らかにPDとしての要件を満たしている録音として提供されても、提供されたファイルが別の録音とすり替えられていないかどうかを見極めるのはかなりの専門性が求められます。残念なことですが、現在のネット社会の「現実」を前提として考えると、「悪意」もしくは「悪戯」で、その様な形で違法ファイルが提供されることは想定しておかなければなりません。
そして、法律というのは「結果責任」ですから、「知らなかった」とか、「だまされた」ではすみません。
ということで、せっかくの善意からの申し出であるにもかかわらず、何ともいえず寒々とした話になってしまい申し訳ない限りです。しかし、それが「ネット社会」の「現実」だということで理解していただければと思います。