“SHM-CDと通常CDとで音質の聴き比べができるサンプラーCDのクラシック編です。アナログ録音は全てハイビット・リマスタリング(OIBP)音源を使用。音質の聴き比べが一番の売りですが、クラシックの名曲・名演のコンピとしてもお楽しみいただける内容になっています。(ユニバーサルミュージック)”
これがSHM?CDだ! クラシックで聴き比べる体験サンプラー
最近、少しばかり話題になっている「SHM?CD」のサンプラーですが、HMVのランキングを見ているとクラシックの部門ではずっと上位に食い込んでいます。ただし、「SHM?CD」そのものが「売れている」という話はあまり聞きませんので、とにかくどんなものなのか様子を見ているということなのでしょう。
Googleで「SHM?CD」と検索してみると、これまた実に賑やかなことです。ただ、特徴的なのは、肯定派は「何となく音質が向上したような気がする・・・」というような、いささか及び腰であるのに対して、否定派は実にキッパリと否定していることです。
CDの原価なんておそらく50円程度と聞いたことがあります。もちろん、録音や宣伝にお金がかかりますし、企業としての適正な利益も保障しないといけませんから、当然50円で売れるはずはないのですが、それでもCDが初めて世に出たときの3800円という価格設定はあまりにも暴利でした。その後、さすがにこの暴利を維持することはできず、さらにはナクソスに代表されるような廉価盤レーベル(今では死語?)の登場でCDの価格はある程度納得できる範囲にまで下がっていきました。
しかし、そう言う価格低下の流れの中で、時々「新素材による音質向上」をうたい文句にしたCDが登場しました。例えば、アルミではなくて金を反射膜に使えば音がよくなるというゴールドCDや、APO素材を使ったCDなんてノが登場したことがありました。お若い方はご存じないかもしれませんが、例えばゴールドCDなんかは1枚4800円で売られていたのです。笑ってしまいますが、今ではそんな「新素材による高音質の画期的なCD」なんかは跡形もありません。
正直言って、今回のSHM?CDが本当に音質上のメリットがあるのかどうかには全く興味がありません。本当に音質上のメリットがあるとレコード会社が判断したならば全てのCDをその新素材に切り替えて、その新素材を使うことによって上昇するコストを適切に上乗せすればすむ話です。それが物作りを生業とする企業としての「良心」というものでしょう。
ただし、その上昇分が1000円になることは絶対にないはずです。そう、絶対にあり得ないはずです。高く売れなくなったCDを、何とか高く売ろうとする「詐欺的商法」とまではいいませんが、過去になんども痛い目にあってきた身としては懐疑的にならざるを得ません。