そばの花など言うものは信州あたりにでも出かけなければ見られないものと思っていました。
ところが、奈良の桜井市でそばを栽培しているところがあるというのです。
はじめたのは10年ほど前のことで、今ではかなり広いそば畑がひろがるようになって、テレビでも取り上げられるようになったそうです。
と言うことで、出かけてきました。
そばが栽培されているのは桜井市笠という地区で、標高400メートルから500メートルくらいのところにひろがる小さな集落です。
後で分かったことですが、この笠地区というのは桜井の市街地から行くとかなり狭い山道を上がっていかなければいけません。
おそらく卑弥呼の墓であろうと比定されている「箸墓古墳」のあたりから山道を上がっていくのですが、対向車があれば基本的にはすれ違うことが出来ない狭さです。ですから、カーブを曲がるたびに前方を注意して、対向車があればすれ違えるところで待機する必要があります。
とても気の使う道です。
しかしながら、笠についてから地元の人に聞いてみると、天理市の方からは2車線の広い道がつながっているそうです。
帰りはその道を通ったのですが、何の問題もなく天理の市街地に出ることが出来ました。
なるほど、だからヒヤヒヤしながら桜井から上がってきたときにほとんどすれ違う車がなかったのです。(すれ違ったのは2台だけでした^^;)
しかし、そんな山道を上がってきて、興に前方が開けて広々と田んぼがひろがる風景を見ると、「隠里」という言葉が浮かびます。和歌山県かつらぎ町の「天野地区」ほどではないにしても、なかなかにおもむきのある里の風景です。
その「素敵」な感覚を味わうに相応しいルートは桜井市からのコースですが、それでも狭すぎますね。
そんな山里のあちこちにそばの花が咲いています。
「白」という色は遠目に見るとあまり自己主張しない色なので、最初はどこにそば畑があるのか迷ってしまいました。
しかし、近づいてみると一面が真っ白で、なかなかに見事なものです。
また、香りの強い花のようで、慢性鼻炎であまり鼻の良くない私でも噎せ返りそうな香りに気づくことができました。
また、下の方ではまだ稲穂もたれていないのに、この山里では既に稲刈りが住んでいるところもあるほどで、その黄金色と白色とのコントラスが素晴らしいです。
また、その噎せ返るような香りに誘われるのか、小さな虫たちが夢中で鼻の中に潜り込んでいました。
奈良は前日に1時間に100ミリを超えるような大雨に見舞われていたので、倒れているそばの花も多かったのですが、そんな雨に負けることもなくしゃんと絶っている連中を見ていると、強い花だと感心させられます。
そばの花の白、黄金色の稲穂、そして青い空と白い雲、派手ではないけれどもしみじみと日本の原風景を思い出させてくれる光景でした。
「笠そば処」と「笠山荒神」
笠地区には、このそば畑から収穫されたそばを食べることが出来る「笠そば処」があります。
今日は水曜日だったので定休日でした(^^;、残念。
また、このそば処の横に日本三荒神の一つと言われる「笠山荒神」があります。
「閼伽井不動」と呼ばれる尾不動産も祀られていて、東大寺との強い結びつきを感じさせてくれる神社です。
時間が許せば、参拝されてはいかがでしょうか。
奈良県桜井市笠地区
周辺の様子は以下の画像を参考にしてください。そば畑がどこにあるのか分からずに迷っている人もたくさんいました。(^^;
そばの花は10月上旬まで見頃だそうです。