“ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスターだったカール・ズスケ[1934- ]が、ベルリン国立歌劇場管弦楽団の第1コンサートマスター時代の1965年に結成したのが、この“ズスケ四重奏団”。のちにベルリン弦楽四重奏団と名を変えるこのカルテットの全盛期はやはりズスケ四重奏団の時代でしょう。 その質実で独得の美感を湛えた魅力的な響きと、作品の造型をきっちりと描き出す堅牢な構築性は、独墺系作品の演奏に最適なバランスの良さを持ったものといえ、何度聴いても飽きのこない質実な音楽づくりが、いまだにファンが多いことを納得させてくれます。”
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集 ズスケ四重奏団(10CD)
いろんな人の評価を読んでみると、訳の分からないマスタリングで音質がグチャグチャにされていたものが、この全集では元の素晴らしい音質によみがえっているとのことです。
初めて出たときは10枚組のLPだったと思いますが、その時は教会の美しい響きがしっかりととらえられていた素晴らしいものでした。しかし、その後CD化されると、なんだこれは?というくすんだ音に一変していました。どうやら、この全集によって「なんだこれは???」という事態は改善されているようです。
ところが、国内盤として最近リリースされた「ハイパー・リマスタリング」盤(1枚1800円)になると、どうした訳か、今度は「酷い」を通り越して「犯罪的」とも言えるような音質に舞い戻っています。もしも、東欧圏のローカルなカルテットならこういう音色の方が売れるだろうと思ってのマスタリングならば、ホントに怪しからん話です。
ですから、ズスケの全集が欲しい人はあのような高いお金を払って「ハイパー盤」を絶対に買ってはいけません。
この全集は初出のLPと同じ10枚組と言うことで意気込みも感じたのですが、音質も本来の素晴らしさを取り戻しているようです。(皆さん、その様に証言しているのでまず間違いないようです。)
そうなると、演奏の方はアルバン・ヴェルグにも匹敵するクオリティの高さですから、この全集はどうやら鬼に金棒のようです。ある意味、変に角が立っていない自然体だけに、初めて聞く人にはこちらの方が聞きやすいと思います。
この10枚組が5000円を切る価格でリリースですから、何度も繰り返しますが、いい時代になったものです。