“幅広いレパートリーを持ち愛されたソプラノ、ポップのアンソロジー。1939年、スロヴァキア出身のポップはブラティスラヴァ・アカデミーに入学、当初はメゾでしたが訓練により、1963年に「夜の女王」でデビューを飾るまでに高音域を獲得しました。これがクレンペラーの耳にとまり1964年の録音に抜擢され、またカラヤンは『フィガロの結婚』のバルバリーナ役でウィーン国立オペラ公演に招きました。彼女のソロ・リサイタル録音は1967年のヘンデルとモーツァルト・アリア集。当初のスーブレット・コロラトゥーラの役柄は70年代を通じてリリック・ソプラノへと移り変わり、その後の10年ではより重たい声の役柄(『マイスタージンガー』のエヴァ、『タンホイザー』のエリーザベト、『ダフネ』のダフネ)までこなしました。この結果『魔笛』の夜の女王を録音して17年後にはパミーナを録音するというキャリアを生み出しました。また、シューベルト、R.シュトラウスの歌曲、さらに愛らしいルックスとパーソナリティでオペレッタでも人気を集めました。”
ルチア・ポップ EMI録音集(7CD)
私がクラシック音楽なんぞというものを聞き始めた頃、このルチア・ポップは大変な人気でした。
迫力で圧倒するタイプとは対極にある歌い手で、細身の声であっても透明感と理性に溢れた魅力を持っていました。ある評論家先生が、どこかのインタビュー記事で彼女がインタビューの最中にあくびを2?3回したと書いてあったのに対して、「あくびの一つや二つで彼女の魅力が損なわれるわけないだろう!」とくってかかっていました。
まあ、それほど彼女は魅力があり人気もあったのです。
それだけに、93年の突然の訃報には多くの人が声を失ったものです。何しろ、その前年には来日して素晴らしい歌声を聞かせてくれていたのですから。
早いもので、そんな突然の訃報から16年も経過して、あらためて自分の年も再確認させられたりします。
このボックスはそんなルチア・ポップを振り返るには絶好のセットです。当然、私もゲットです。
<収録作品>
CD1 ヘンデル、モーツァルト、ロッシーニ
ヘンデル:オペラ・アリア集
・Ombre, piante, urne funeste!(ロデリンダ)?「ロデリンダ」第1幕
・可愛げなしぐさ微笑み(アタランタ)?「セルセ」第1幕
・Ho perduto il caro sposo(ロデリンダ)?「ロデリンダ」第1幕
・Vinto e l’amor(オットーネ)?「オートーネ」第1幕
・つらい運命に涙はあふれ(クレオパトラ)?「エジプトのジュリオ・チェーザレ」第3幕
ヘンデル:オラトリオより
・O had I Jubal’s Lyre(アクサー)?「ヨシュア」第3部
イギリス室内管弦楽団、ゲオルグ・フィッシャー指揮
録音時期:1967年1月
録音方式:ステレオ
ヘンデル:『メサイア』より
・Wohlan, frohlocke, du Tochter Zion!?「メサイア」第1部
・Wie lieblich ist der Boten Schritt?「メサイア」第2部
・Ich wess dass mein Erloser lebet?「メサイア」第3部
・Ist Gott mit uns, wer sollte uns schaden??「メサイア」第3部
シュトゥットガルト放送交響楽団、ネヴィル・マリナー指揮
録音時期:1984年5月
録音方式:デジタル
モーツァルト:宗教作品集
・踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ K.165
・Laudate Dominum?証聖者の荘厳な晩課 K.339*
・Laudate Dominum?主日のための晩課 K.321*
*アンブロジアン・シンガーズ
イギリス室内管弦楽団、ゲオルグ・フィッシャー指揮
録音時期:1967年1月
録音方式:ステレオ
ロッシーニ:小ミサ・ソレムニスより
・IX. Crucifixus*
・XIII. O Salutaris hostia
カティア・ラベック(ピアノ)、*ダヴィド・ブリッグス(ハーモニウム)
スティーヴン・クロウベリー指揮
録音時期:1984年11月、12月
録音方式:デジタル
CD2 モーツァルト:オペラより
「羊飼いの王様」 K.208
・あのひとを僕は愛そう、心変わりはすまい(アミンタ 第2幕)
「イドメネオ」 K.366
・そよ吹く風(イリア 第3幕)
ミュンヘン放送管弦楽団、レナード・スラトキン指揮
録音時期:1983年6月
録音方式:デジタル
「後宮からの誘拐」 K.384
・優しさにお世辞をまぜて(ブロンデ 第2幕)
・大きな喜びに(ブロンデ 第2幕)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ヨーゼフ・クリップス指揮
録音時期:1966年2月
録音方式:ステレオ
・Welcher Kummer…Traurigkeit ward mir zum Lose(コンスタンツェ 第2幕)
ミュンヘン放送管弦楽団、レナード・スラトキン指揮
録音時期:1983年6月
録音方式:デジタル
「フィガロの結婚」 K.492
・愛の神よ照覧あれ(伯爵夫人 第2幕)
・恋とはどんなものかしら(ケルビーノ 第2幕)
・さぁ、早く来て、喜びのとき(スザンナ 第4幕)
ミュンヘン放送管弦楽団、レナード・スラトキン指揮
録音時期:1983年6月
録音方式:デジタル
「ドン・ジョヴァンニ」 K.527
・何というひどいことを(ドンナ・エルヴィラ 第2幕)
・恋人よ、私を不親切な女と思わないで(ドンナ・アンナ 第2幕)
ミュンヘン放送管弦楽団、レナード・スラトキン指揮
録音時期:1983年6月
録音方式:デジタル
「コシ・ファン・トゥッテ」 K.588
・岩のように動かずに(フィオルディリージ 第1幕)
ミュンヘン放送管弦楽団、レナード・スラトキン指揮
録音時期:1983年6月
録音方式:デジタル
・女が十五になったら(デスピーナ 第2幕)
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団、オットー・クレンペラー指揮
録音時期:1971年1月、2月
録音方式:ステレオ
「魔笛」 K.620
・慄えないで、私のかわいい若者よ(夜の女王 第1幕)
・復讐の心は地獄のようにわが胸に燃え(夜の女王 第1幕)
フィルハーモニア管弦楽団、オットー・クレンペラー指揮
録音時期:1964年
録音方式:ステレオ
・ああ、愛の喜びは露と消え(パミーナ 第2幕)
バイエルン放送交響楽団、ベルナルト・ハイティンク指揮
録音時期:1981年4月
録音方式:デジタル
「皇帝ティートの慈悲」 K.621
・夢に見し花嫁姿(ヴィテッリア 第2幕)
ミュンヘン放送管弦楽団、レナード・スラトキン指揮
録音時期:1983年6月
録音方式:デジタル
CD3 ワーグナー、R.シュトラウス:オペラ、歌曲
ワーグナー:『タンホイザー』
・おごそかなこの広間よ、ふたたび挨拶を送る(エリーザベト 第2幕)
・全能のマリアよ(エリーザベト 第3幕)
バイエルン放送交響楽団、ベルナルト・ハイティンク指揮
録音時期:1985年1月
録音方式:デジタル
R.シュトラウス:『ダフネ』
・O bleib, geliebter Tag!(ダフネ)
・Unheilvolle Daphne(ダフネ)
・Ich komme…ich komme grunende Bruder(ダフネ)
バイエルン放送交響楽団、ベルナルト・ハイティンク指揮
録音時期:1982年11月
録音方式:デジタル
・R.シュトラウス:4つの最後の歌(4曲)
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、クラウス・テンシュテット指揮
録音時期:1982年3月
録音方式:デジタル
CD4 R.シュトラウス、グリーグ、オルフ
R.シュトラウス:
・8つの歌Op.10(8曲)
・3つの恋の歌(3曲)
・ときめく心Op.29-2
・帰郷Op.15-5
・白いジャスミンOp.31-3
・子守歌Op.41-1
・わが子にOp.37-3
・ひそやかな歌Op.41-5
・ひそやかな歌Op.39-1
・悪天候Op.69-5
・15ペニヒでOp.36-2
・私の父は言いましたOp.36-3
ヴォルフガング・サヴァリッシュ(ピアノ)
録音時期:1984年9月
録音方式:デジタル
グリーグ:『ペール・ギュント』より(歌唱:独語)
・アラビアの歌*
・ソルヴェイグの歌
・ソルヴェイグのゆりかごの歌
*アンブロジアン・シンガーズ
アカデミー室内管弦楽団、ネヴィル・マリナー指揮
録音時期:1982年7月
録音方式:デジタル
オルフ:『カルミナ・ブラーナ』より
・少女が立っていた
・天秤棒に心をかけて
・とても、いとしいお方
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団、ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス指揮
録音時期:1965年6月
録音方式:ステレオ
CD5 スラヴ・オペラ、マーラー
チャイコフスキー:『エフゲニ・オネーギン』
・タチヤーナの手紙の場面「私は破滅してもいい」(タチヤーナ 第1幕)
チャイコフスキー:『スペードの女王』
・リザのアリア 第3幕
プロコフィエフ:『戦争と平和』
・ナターシャのアリア 第3幕
スメタナ:『売られた花嫁』
・マリジェンカのアリア 第1幕
・マリジェンカのアリア 第3幕
スメタナ:『ダリボル』
・ミラダのアリア 第2幕
ドヴォルザーク:『ルサルカ』
・月によせる歌(ルサルカ 第1幕)
・ルサルカのアリア 第3幕
ドヴォルザーク:『アルミーダ』
・アルミーダのアリア 第1幕
ヤナーチェク:『イェヌーファ』
・イェヌーファのアリア 第2幕
ミュンヘン放送管弦楽団、ステファン・ソルテス指揮
録音時期:1987年9月
録音方式:デジタル
マーラー:『子供の魔法の角笛』より
・この世の生活
・ラインの伝説
・だれがこの歌を作ったのだろう
・美しいトランペットが鳴り響く所
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、クラウス・テンシュテット指揮
録音時期:1986年3月
録音方式:デジタル
・マーラー:交響曲第4番より第4楽章
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、クラウス・テンシュテット指揮
録音時期:1982年5月
録音方式:デジタル
CD6 オペレッタ
スッペ:『ボッカッチョ』
・恋はやさしい野辺の花よ(フィアメッタ 第1幕)
アカデミー室内管弦楽団、ネヴィル・マリナー指揮
録音時期:1986年12月
録音方式:デジタル
J.シュトラウス2世:『こうもり』
・ふるさとの調べよ(ロザリンデ 第2幕)
ミュンヘン放送管弦楽団、プラシド・ドミンゴ指揮
録音時期:1986年4月
録音方式:デジタル
J.シュトラウス2世:『カサノヴァ』(ベナツキー編)
・O Madonna, auf uns sieh…O Marie, wie engflieh ich dem Kloster (ラウラ 第1幕)
J.シュトラウス2世:Die Tanzerin Fanny Eisler(シュターラ編)
・Draussen in Sievering(ファニー 第2幕)
ツェラー:『抗夫長』
・Sei nicht bos(抗夫長 第2幕)
マッケベン(ミレッカーより):『デュバリ』
・Ich schenk’ mein Herz(ジャンヌ 第5場)
レハール:『メリー・ウィドウ』
・ヴィリアの歌(ハンナ・グラヴァリ 第2幕)
アカデミー室内管弦楽団、ネヴィル・マリナー指揮
録音時期:1986年12月
録音方式:デジタル
レハール:『ルクセンブルク伯爵』
・今日私は人妻になります(アンジェル 第1幕)
・Ich danke, meine Herrn und meine Damen(アンジェル 第2幕)
バイエルン国立歌劇場合唱団
グラウンケ交響楽団、ヴィリー・マッテス指揮
録音時期:1968年8月
録音方式:ステレオ
レハール:『ジュディッタ』
・私の唇にあなたは熱いキスをした(ジュディッタ 第4場)
レハール:『ほほえみの国』
・もう一度故郷を見ることができたら(リーザ 第2幕)
レハール:『フリーデリケ』
・なぜキスで私を目覚めさせたの(フリーデリケ 第2幕)
リンケ:『ルーナ夫人』
・月にある宮殿なんて(マリー 第1幕)
シュトルツ:『お気に入り』
・君はわが心の皇帝(マノン 第1幕)
シュトルツ:Fruhjahrsparade
・Wien wird bei Nacht erst schon(ハンジ・グルーバー 第1幕)
ドスタル:『ハンガリーの婚礼』
・Spiel mir das Lied von Gluck un Treu(ヤンカ 第2幕)
アカデミー室内管弦楽団、ネヴィル・マリナー指揮
録音時期:1986年12月
録音方式:デジタル
ファル:『女帝』
・Du mein Schonbrunn(マリア・テレジア 第2幕)
キュネケ:Liselott
・Glucklich am Morgen(リーゼロット 第1場)
グラウンケ交響楽団、チャールズ・ワイルドマン指揮
録音時期:1970年11月
録音方式:ステレオ
CD7 シューベルト
・わが心にD.860
・流れD.693
・少年D.692
・ばらD.745
・蝶々D.633
・ますD.550
・さすらい人の月に寄せる歌D.870
・孤独な人D.800
・あふれる愛D.854
・若い尼僧D.828
・水の上で歌うD.774
・糸を紡ぐグレートヒェンD.118
・漁夫の歌D.881
・泉のほとりの若者
・シルヴィアはだれか告げようD.891
・至福D.433
アーウィン・ゲイジ(ピアノ)
録音時期:1983年11月
録音方式:デジタル