貧困のない世界を創る: ムハマド・ユヌス

“人の思いやりと自由市場の力学を融合させ、社会問題を解決する新しい企業、「ソーシャル・ビジネス」とは?その壮大な構想と巧みな実践を情熱豊かに綴る。2006年度ノーベル平和賞受賞後初の著作。”

貧困のない世界を創る
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私がこの数年読んだ本の中で最も深い感銘と影響を受けた一冊です。
「貧困のない世界を作る」などと言うタイトルから一般的に想像されるようなチャリティやボランティアや慈善などとは一切無縁の内容です。
実に論理的で精緻、そして活動自体は地に足がついて着実に持続可能なシステムを作り上げ、そのシステムによって確実に貧困を克服していく過程が描き出されています。
グラミン銀行によって具体化されたマイクロクレジットという経済活動に留まらず、さらにそこから「ソーシャルビジネス」という概念へと高めていく過程が極めて精緻に展開されています。
志の高い人は、ともすればその志の高さに甘えてしまって現実の場面における不手際や至らなさを省みないという「弱さ」を持つことが往々にしてあります。しかし、ユヌスが作り出そうとしているシステムにはその様な「甘え」は微塵も存在しません。
現実に対する厳しいまでの心構えと志の驚くほどの高さがものの見事に融合した彼のプランは、本当にこの世界から貧困がなくせるかもしれないと思わせるほどの確かさを持っています。
何という豊かな人間性と高い知性!!
私も後何年かで定年、退職をむかえます。悠々自適に趣味に生きるくらしなどは全く考えていません。きっと、今までとは違う形で何か社会的に貢献できる事があるはずだと思っています。
しかし、その「何か」がなかなか見えずに、次第次第にデッドラインは近づいてきています。
このデッドラインというのは、60歳の定年の日のことではありません。おそらく、そんな時になってから「どうする?」なんて考えいたのでは完全に手遅れです。
おそらくは50代の前半でその「何か」を見つけて具体的に動き出しておかないと、何も出来ないと思い定めてきました。
この本はそんな「何か」を考える上で大きな示唆を与えてくれそうです。
音楽とは全く関係ないのですが、絶対にお勧めの一冊です。

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