パチパチノイズも味わいのうち・・・(^^;

この2ヶ月近くアナログレコードのデジタル録音、いわゆる「板おこし」にいそしんできました。そして、どうやら「こんなものかな」という着地点を見いだせたようです。
しかしながら、そうなると、今までに「板おこし」をした録音がどうにも気に入りません。とりわけ、サイトの方にアップしたファイルはもう一度録音を仕直して更新したくなってきましたので、今は新しい板おこしは一時ストップして、再録音に労力をつぎ込んでいます。

最初に困ったのは、どうしても録音レベルの調性が出来なかったことです。
ADコンバーターとして使っているのは「FireWire」接続の「Fire Face 400」です。「FireWire」は「USB」に較べればはるかに優れた接続方式だと思うのですが、いつの時代も「悪貨は良貨を駆逐する」の原則に従って、今ではほとんど姿を見なくなりました。
そして、私自身もまたこの「Fire Face 400」をパソコンで作業をするときの音質確認のための「DAコンバーター」としてしか使ってこなかったので、さてそれを「ADコンバーター」として使うための方法など完全に忘れてしまっていたのです。

そこで、ネット上にある情報を探りながら、何とか「デジタル録音」は出来るようになったのですが、そこに書かれているやり方では何故か録音レベルの調整が出来なかったのです。
こうなると、後はあれこれと試行錯誤あるのみですので、最終的に調整が出来るようになったときはホッとしました。

しかし、それまでに録音したものは全て録音レベルが低くて、最終的に「増幅」によって帳尻を合わせていましたが、言うまでもなく、録音段階でピークアウトする直前のレベルを見極めて設定するのがベストであることは言うまでもありません。
つまりは、いったんデジタル化したファイルは基本的にはそれ以上弄らない方がいいのです。

確かに、昨今の「DAWソフト」は出来が良くて、私が使っている「Audacity」などはフリーソフトであるにもかかわらず、実にいろいろな編集が行えます。
アナログレコードからのデジタル録音では避けて通れない「パチパチノイズ」でさえも、消そうと思えばかなりの程度に消すことが出来ます。しかし、そう言う小細工を施すと、間違いなく音楽の活力みたいなものがスポイルされてしまいます。
もちろん、そう言うパチパチノイズを消すたの必須作業はレコードの念入りなクリーニングです。しかし、一昔前に流行った(いや、二昔か三昔前かな)システム・コンポに付属していたような粗悪な重針圧のカートリッジで再生されたレコードは細かい傷がたくさんついています。残念ながら、そう言う傷はクリーニングでは消えません。
そして、300円均一コーナーが大好きで、ネット通販でも原則的に一枚1000円以上のレコードはかわない主義なので、この手のノイズは買ってみるまで分かりません。

ですから、「パチパチノイズ」もまた音楽の味わいのうちと思ってもらって、あまりにも大きな「バチッ!」というノイズがデジタル化の時にピークアウトしているときだけピンポイントで修復するだけにとどめています。それから、後はトラック間のパチパチノイズは音楽に直接関係ないので、そこはある程度ノイズを押さえ込んでいます。

パチパチノイズも味わいのうち・・・だニャン(^^;


そのようなわけで、聞いてもらえればどれが板おこしかどうかはすぐにお分かりになると思うのですが、個人的に一応納得できるレベルの板おこしは今年の9月22日に追加したクルト・レーデル指揮:ミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団による「パッヘルベル:カノン」以降のものです。
また、それ以前にサイトにアップした板おこし音源も少しずつ「こっそり」と(^^;、置き換えています。
ある程度置き換えが終わればまた報告したいと思います。

最後に、板おこしのシステムを紹介しておきます。

まず、プレーヤーは「トーレンス TD320 MKIII」です。もう四半世紀以上使っています。
カートリッジは「SHURE V15V-MR」で、これも四半世紀近く使っています。
針は「日本精機」の「VN5MR (High Grade) SAS/B」です。「日本精機」のおかげで製造中止となったSHUREのカートリッジを今も使い続けられています。m(_ _)m

そこからLUXMANのフォノイコ「E-200」につないでプリアンプ(ROTEL RC-1580Mk2S)のテープアウトから「FaireFace400」でAD変換を行っています。
パソコンで録音と編集に使っているのはフリーで使える「Audacity」です。アナログ・レコードの録音と編集ならばわざわざ有料のDAWソフトを導入しなくても十分すぎるほどのクオリティを持っています。

と言うことで、アナログの再生システムは一昔前の普通のシステムです。しかし、プレーヤーに関してはこれと同じクオリティのものを今の時代に用意しようとするとコスト的には過去の3倍は必要らしいので、壊れるまではこのままのシステムでいこうかと考えています。
ただ、RIAAカーブの問題があるので、フォノイコに関してはそのあたりが調節できるようなものに買い換えようかな・・・という考えは時々(^^;、頭をよぎります。

そして、この中で一番壊れてもらっては困るのが「FaireFace400」です。
USB接続でないADコンバーターはほとんど見あたらないので、これだけは大切に使っていこうかと思っています。

そして、最後の最後にもう一言。
この数週間ほど、自民党の総裁選びと言うことでマスコミはお祭り騒ぎで、心底ウンザリしていました。
そして、新しく総裁になった人の党内人事を見てさらにウンザリの二乗です。
洒落にもなりませんが、「そのメンツでは、あまりにもあまりでしょう!!」と突っ込みを入れたくなってしまいました。

6 comments for “パチパチノイズも味わいのうち・・・(^^;

  1. yk
    2021年10月4日 at 9:11 PM

    音楽ソースの主力がCDに移行し始めた当初、”20kHz頭打ち”論を始めとする種々のデジタル懐疑論の影響もあり、私もLPからCDへの移行について少し躊躇して様子見の時期がありましたが、最終的にCDへの移行を決めたのはノイズ問題でした。
    LP全盛の時代、”レコード”媒体特有のプチパチノイズや針と盤面の機械的接触に基づく掻擦音等は”音盤”では避けがたい”雑音”として飽くまで可能な限り軽減するべき対象と認識されていたと思います(これを避けるには磁気テープ媒体がありましたが、カセット・テープには音質上限界があり、より高音質のオープン・テープは諸般の事情で十分には普及しませんでした)。ソウ言った状況で、当時東芝が出したフルトヴェングラーのCD(バイロイト第九)を試しに購入して、オーディオショップで聴かせてもらったCDの音はプチパチノイズはもとより針音もなく、これをプロのスタジオでもない一般家庭のオーディオ装置で聴くことが出来るのはやはり画期的なものだ・・・と認識して私も音源媒体の主力をCDに変更することにしたものでした。
    それでも、私の場合既存のLPとその再生機器も手元に残したままCD-LP共存時期がしばらく続きましたが、1990年代に入ってCD-Rが市販されPCで音源ソースを扱えるようになり、私もLPを個人的にCD-Rに焼いてソレを日常的に聴くようになました。私のハードはAD変換はCreamwareと言う今では他社に吸収された会社のPCIボードでAD変換は個人ユースには十分優秀なものだった(LPはLPらしくデジタル化してくれる^_^;:)のでここ20年来現在も愛用しています・・・で、未だにこのボードのオペレーションはWINDOWS XP上・・・と言う骨董品物です!。私も当初録音レベルには手を焼きましましたが、最終的に海外の某メーカーが出していた小型のアナログ・レベル調整機をアンプの録音出力直後に挟んでやっと落ち着きました。それ以来手元の主要なLPをデジタル化し、更にハードディスクの大容量化に伴い、それらのデジタルソースもHDに移しPCからアンプに通して聴くようになって現在に至っています(LPと再生装置も維持していますが・・・)。
    LPのデジタル化に際して私もこのノイズの問題についてはアレコレ考えたり試行錯誤もやってみましたが、プチパチ・ノイズはケース・バイ・ケースですがミリ秒単位のノイズであればほぼ聴感上の(悪)影響なく除けるように思いますし、バックグラウンド・ノイズもFFT解析を利用したものは昔の単純フィルターによるノイズ除去に比べれば可成り優秀な様なので(無論十全と言う訳ではありませんが・・・)、私は今では基本的にはデジタル技術の恩恵にあずかることに余り躊躇を感じることは無くなり、これらのノイズ軽減もやってしまうようになりました(LPのノイズが懐かしくなればLPを聴くことに・・・と割り切った訳です・・・^_^;)。この辺りの判断は個人の感覚にも依存していて一概に”コレが宜し”と断定できないところが、歯痒くもあアリ面白くもアリ・・・でなかなか卒業と言う訳にもいきません。
    アナログ音源のデジタル化に関する最近の私的興味は、(特に、古い)アナログ・ソースに含まれるピッチ変動の修正で、録音・再生時に基本的に何らかの機械的”回転”に依存するアナログ・ソースに含まれる微少なピッチ変動を検出して修正する・・・と言うものです。私の手元のPCソフトでは未だにこの処理はできませんが、市販のリマスターCDで時々見かけるものの中に、このピッチ修正が可成り好結果をもたらしている(らしい^_^;)ものもある様なので、いつか自分でも挑戦してみたいとも思っています。

  2. コタロー
    2021年10月11日 at 5:32 AM

    私がLPレコードを所有していた時に、厄介者がまさにこのパチパチノイズでした。神経を逆なでする感じで、まさに苦手でした。
    ですから、CDが出現した時、何よりも朗報だったのが、ノイズレスということでした。
    しかし、不思議なもので、しばらく時間が経って、現在の視点でこのパチパチノイズを耳にすると、不思議と懐かしい感情がよみがえってくるのです。人間の感覚なんて、ほんとうに勝手なものですね(笑)。

  3. yk
    2021年10月14日 at 8:28 PM

    リスニングルームの方で質問しようかとも思いましたが、内容は寧ろ(ノイズとも関連する)録音に関するものなのでこちらに書かせていただきます。
    レーデルのバッハ:音楽の捧げもの…私も久しぶりに懐かしく聞かせていただきました。ところで、この録音は1962年録音とありますが、オリジナルはモノラル録音なのでしょうか。念のためDAWソフトでアップされているmp3ファイルの波形を見て見ましたが極周波領域を除いて音楽信号自身の波形は左右両チャンネルで同形に見えます。

    • yung
      2021年10月15日 at 1:26 PM

      レーデルに関する情報は少なくて一応1962年録音としていますが、本当は「?」をつけないといけないのでしょうし、さら正確に記すならば「1962年に日本で初めて発行」とすべきです。
      昔のレコードは録音に関するクレジットは基本的に何も書かれていないのが一般的でした。
      また、60年代前半は音源がステレオであってもモノラルとステロの両方でレコードは発売されていましたから、本来はどうなのかは私も分かりません。
      私が使った音源はご指摘のようにモノラル盤ですが、おそらくステレオ録音も存在している可能性はあるでしょうね。

      ただし、私は最近は「モノラルの魅力」もあって、あまりモノラルかステレオかは気にならなくなっています。

  4. yk
    2021年10月14日 at 11:08 PM

    修正
    極周波領域→極低周波数領域
    でした。。

  5. yk
    2021年10月15日 at 4:30 PM

    ご回答有難うございます。私も少し調べてみたのですが、レーデルの「音楽の捧げもの」は過去ステレオでも発売れたようなので録音はステレオで為されたのでしょうね。確かに、仰るように当時はステレオ再生装置の普及度合もあって、ステレオ録音もモノラルLPと併売された時代でした(あるいは録音はモノラルで後年の市販ステレオ盤が所謂疑似ステレオ・・・と言う可能性もあるかもしれませんが・・・?)。いずれにしても、この録音は私にとってはモノラル録音で聴いても鑑賞には全く問題ないものでした。
    ただ面白いのは、昔(今も?)”モノラルLPの再生についてはモノラル・カートリッジを使うべし”と言う議論があって、確かに、モノラル・カートリッジとステレオ・カートリッジでは(ステレオ装置で)聞く音に(カートリッジの個性差由来の差以上に)違い(特に定位)があります。まあ、原則論から言えばモノラルLPはモノラル・カートリッジで再生するのが”正しい”のでしょうが、私個人はモノラルLPも45-45方式のトレースから生じる微妙な左右チャンネル差のあるステレオ・カートリッジの再生音の方が好きなので今ではステレオ・カートリッジしか使わなくなりました。
    ノイズ関連の話としては、モノラルLPをステレオ・カートリッジで左右チャンネルに分離録音するとパチパチ・ノイズには音信号以上に大きな差が出ることがあって、極端な場合ノイズが片チャンネルだけに生じる場合があり、こういう時私はそのノイズ部分だけもう一方のチャンネルの音と入れ替えてノイズを消すズル(^_^;)をすることがあり、これもステレオ・カートリッジ使用の効用かと・・・都合よく考えています。

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