二十世紀の10大ピアニスト(中川右京著)

最近読んだ、クラシック音楽関係の書籍なの中で面白かったものをいくつか紹介しておきたいと思います。
まず最初は、

二十世紀の10大ピアニスト

ここで取り上げているピアニストは

ラフマニノフ/コルトー/シュナーベル/バックハウス/ルービンシュタイン/アラウ/ホロヴィッツ/ショスタコーヴィチ/リヒテル/グールド

の10人です。

存命中のピアニストは最終的に評価が定まっていないと言うことで除外されてはいるのですが、それでも、20世紀を代表するピアニストとしてこの10人でいいのかという声はあるでしょう。ただ、こういうチョイスは誰を選んでも批判されるたぐいのものですから、ここは筆者の選択に従って読み進めていきましょう。
お話の基本は、ピアニストの目から見た20世紀の歴史という雰囲気ですが、それがルービンシュタインVSホロヴィッツの対抗関係を軸に語られていきます。
とりわけ魅力的なのはルービンシュタインです。

正直言って、ルービンシュタインという人は華やかな人生を送った人ではあっても、ピアニストとしては二流だな・・・フッ( ̄ー ̄)・・・と言う思いがありました。しかし、これを読んで、何と魅力にあふれたピアニストだったのか再認識させられました。
音楽を聴くのに、音楽以外のあれこれで評価が変わるというのは基本的にはおかしいのでしょうが、しかし、ルービンシュタインの人生にはそういう些細な「音楽的ピューリタニズム」を吹き飛ばすほどの魅力があります。

なので、この数日、私はルービンシュタインのCDばかりを聞いています。
さらに怖いことに、その勢いで、こんなものまで注文してしまいました。

Arthur Rubinstein-the Complete Album Collection

ですから、この本を読むときには「注意」が必要です。( ゚o゚)/(*_*)

逆に、お話としてつまらなかったのはバックハウスです。
バックハウスは本当に無愛想な人で、自分のことを全く語ろうとしなかったピアニストです。
あの有名な会話

「マエストロはおひまなときは何をなさっているのですか?」
「ひまなときにはピアノを弾いています」

も、深読みするよりは、そう言う無愛想さの表れと見た方がいいようです。

つまりは、バックハウスという人は、ただ生きてピアノを弾き、そしてピアノを弾きながら死んでいった人のようです。
そう考えると、あの最期にも納得がいきます。

ただ、演奏記録さえきちんとした形で残っていないというのでは、どうしやっても物語にはならなかったようです。筆者自身も「チョイスを誤ったか」と思ったようですが、それでも「20世紀の10代ピアニスト」と銘打てば外すわけにはいかなかったのでしょう。
しかし、逆に考えれば、何とも物語になりにくい無愛想さの後ろからバックハウスというピアニストの本質が浮かび上がってくるような気がします。

これ以外にも、ラフマニノフやコルトーなども実に魅力的です。
ピアノ音楽が好きな人には絶対にお薦めの一冊ではないかと思います。