物わかりの悪いオヤジ

どうやら夏も終わりのようです。
クマゼミの鳴き声にも今までの勢いがなくなってきて、かわりにツクツクボウシの鳴き声がまじってきたりします。
とは言え、暑いです。聞くところによると、8月の大阪の平均気温は沖縄の那覇を上回って、気候区分としては亜熱帯に匹敵するらしいです。

さてそうなると、いつも持ち出されるのは、「異常気象」という4文字です。
これは何とも便利な言葉で、大雨が降って家に浸水しても、大変な高温で熱中症が多発してもこの4文字で済んでしまいます。そして、そのような「異常」をもたらした人類の「文明の罪」を賢(さか)しら顔で指弾すれば一丁上がりです。おまけに、その賢しら顔から出てくるのは「温暖化」という3文字だけなのですから、「異常気象」「温暖化」の7文字だけで全てのことは済んでしまいます。

言葉というのは便利なもので、そうやって自分ではよく分かっていないような事柄でも、そのような言葉を使うことで全て分かったような気にさせてくれます。
よく、何気ない子どもの疑問が大人をたじろがせることがあるのは、本当はよく分かっていないことなのに、そうような言葉を使うことで分かったつもりになっている「愚」をど真ん中の直球でついてくるからです。
特に、年を重ねれば重ねるほど、そう言う横着な態度が身に染みついてしまいます。自戒が必要です。

そう言えば、原発の是非をめぐる論議も活発なのですが、概観してみれば、経済界は原発容認、それに対して多くの国民はどちらかと言えば懐疑的なようです。そして、原発を容認する経済界からは「国際競争力の維持」という理由が判で押したように返ってきます。さすがに、原発を止めれば電力需給が逼迫して大停電が起こるという「脅し」はこの夏の事実を持って説得力を失ったので、「国際競争力の維持」というキーワードが次の主役になったようです。
しかし、これもまた、子どものようなまっさら気持ちで聞いてみたいものです。

「おじちゃん、国際競争力って何なの?」

そう言えば、ヘタをすれば人類を破滅に導きかねないものにもう一つ「核兵器」という代物もあります。
ウソかホントかは知りませんが、日本が原発を捨てかねるホントの理由は、潜在的な「核兵器保有国」としての地位を失いたくないからだという人もいます。そして、誰がどう考えても物騒きわまりないこの代物を保持し続ける最大の理由は「核抑止力」という、これまた便利な4文字で説明されます。
そして、物わかりのよい大人たちはその4文字ですっかり納得してしまって、「必要悪」という3文字で己の賢(さか)しさにうっとりします。

これだって、

「おばちゃん、必要悪って何?」
「おじちゃん、核抑止力って何?」

と聞いてみないといけないのです。

私も残り数年で停年をむかえ、社会の第一線から身を引くことになります。それは、いささか寂しい話ではあるのですが、逆に考えれば今まではもてなかった自由を手に入れることでもあります。
そう言う自由なオヤジがいつまでも「賢(さか)しい大人」ではイカンでしょう。

こんな時代に必要なのは、「賢い大人」ではなくて「物わかりの悪いオヤジ」なんだろうと思います。
もちろん、物わかり悪くあれこれ思いをめぐらせて、その結果として原発も核兵器も必要で、昨今の気象状況は温暖化による異常気象だと悟ることになるかも知れません。しかし、考え抜いた結果としてそこに到達するのと、ただのお題目として唱えているのとでは、見かけは似ていてもその内実は天と地ほども違うはずです。

郵政改革・政権交代・決められる政治。

お題目だけで振り回されるのは、もうまっぴら御免じゃないでしょうか?