オイゲン・ヨッフム20枚組ボックス

CDの叩き売りに歯止めがかからないようです。そして、その流れは著作権が消滅したものだけでなく、一定の評価を受けてきた「売れ筋」の録音にまで波及してきたようです。
おそらくは、パブリックドメインとなっている録音に関しては、このサイトなどもそのうちの一つなのですが、わりあい容易にネット上で入手が可能になってきたために、ビジネス的に成り立ちにくくなってきたためではないかと思われます。

さて、そのような流れの中で、老舗レーベルであるEMIから、持っていない人には結構魅力的なボックス盤がリリースされるようです。

オイゲン・ヨッフム20枚組ボックス
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ドイツ音楽の4大Bといえば、バッハ、ベートーベン、ブラームス、ブルックナーですが、そのうちの3人、ベートーベン、ブラームス、ブルックナーの交響曲全集にモーツァルトやバッハの録音もおまけについた20枚セットが4400円で入手できるのですから、凄いものです。
この中で特に注目したいのがブルックナーの交響曲全集です。理由は極めて個人的なものなですが、録音のリリース時期が私がクラシック音楽を聴き始めた頃と重なっていて、私にとってのブルックナーと言えばこのドレスデンとのオケとの演奏だったからです。ひと言で言えば、極めて「壮麗」なブルックナーで、この長大な交響曲を初めて聴く上では実に愛想のよい演奏でした。
その後、地元の大フィルと朝比奈による演奏を数多く聴くことができたので、ブルックナーと言ってもいろいろなアプローチがあるものだと気づかされてヨッフム一辺倒になることはなかったのですが、それでも聴き直すたびになんだかホットするような録音ではあります。

また、ベートーベンの全集も実に腰の据わった正統派の演奏なので、スタンダードの一つとして手元に置いても邪魔にはならない全集です。ただし、これを聴いて、何かスリリングでエキサイティングな経験をしたいという人には、全く持って不向きです。
個人的には、この3つの全集は全て手元にあるのでさすがに「見送り」ですが、持っていない人には、特に一度じっくりとブルックナーを聞いてみたい人には4400円を投資する価値は充分にあるのではないかと思います。

2 comments for “オイゲン・ヨッフム20枚組ボックス

  1. 題名のない子守唄
    2012年8月31日 at 11:10 PM

    こんばんは。
    カーゾンの「鱒」ありがとうございました。今聴いております♪

    またEMIの投げ売りが始まりましたね。1965年以降録音のBOXセットは音質も良いですし多少無駄な曲があっても買う価値はあると思います。以前購入したワイセンベルクのEMI録音集(10CD限定盤)は国内盤より明らかに音質が改善していて(特にバッハ)買って良かったと思いました。

    ヨッフムのBOXと同時発売のシューリヒトの8枚組BOXもブルックナーの3曲で元が取れるような価格設定です(2,125円)。パリ音楽院管とのベートーヴェンの交響曲全集も2012新リマスターということで、どの程度音質が改善しているのか気になるところではあります。また、オグドンの17枚組もCD7に大好きなリストの「ドン・ジョヴァンニの回想」が入っているので買おうかと思っています。

  2. yung
    2012年9月1日 at 10:38 AM

    >パリ音楽院管とのベートーヴェンの交響曲全集も2012新リマスターということで、どの程度音質が改善しているのか気になるところではあります。

    確かに、あれは「犯罪的」と言っていいほどに音質が悪いですからね。ただし、シューリヒトは今でこそビッグネームですが、その「偉さ」が広く周知されたのは本当の最晩年、60年代に入ってからだったみたいです。あの録音も、「シューリヒトならこんなもんでいいだろう・・・」という雰囲気が色濃く感じられます。
    おそらく、録音のクオリティは最初からかなり低かったように思われます。そうなると、いくら新しいリマスターでも「望み薄」な気もしますが、果てさてどんなものなのでしょうか?気にはなりますが、個人的には全部がダブっているので(^^;、購入するには躊躇いがありますね。

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