そのうちに出るだろうとは思っていたのですが、ついにクレンペラーのボックス盤が登場したようです。
リリースされるのは以下の3点で、建前上は「クレンペラー没後40年を記念したアニヴァーサリー・エディション」となっているのですが、明らかに、昨今の「叩き売りボックス盤」の流れに沿ったものであることは明らかです。
ブルックナー:交響曲第4、5、6、7、8、9番 クレンペラー&フィルハーモニア管、ニュー・フィルハーモニア管
ロマン派交響曲集、序曲集 クレンペラー&フィルハーモニア管、ニュー・フィルハーモニア管
ベートーヴェン:交響曲全集、序曲集 クレンペラー&フィルハーモニア管、ニュー・フィルハーモニア管
こうして眺めてみると、マーラーがないなぁ・・・と思ったのですが、そちらの方は既に叩き売り済みでした。
マーラー:交響曲第2番、第4番、第7番、第9番、大地の歌、歌曲集 クレンペラー&フィルハーモニア管、他(6CD)
個人的には「ダブり率」ほぼ100%なので注文することはないと思うのですが、これから少しはクレンペラーを聞いてやろう!と言う人には絶好のボックス盤です。
個人的に一番のお勧めは、ベートーベンの7番(ステレオ録音の方)とメンデルスゾーンの3番「スコットランド」です。ベト7は男クレンペラーの凄味を体験するには、絶好の録音です。メンデルスゾーンに関しては「20世紀の演奏史に燦然と輝く金字塔」と信じて疑いません。
もちろん、それ以外のどの録音を聞いても、押しても引いてもびくともしない「構築の鬼」クレンペラーの刻印がしっかりと刻み込まれています。
メンデルスゾーンの「スコットランド」はバイエルン放送響との1969年ライヴ盤がクレンペラー改訂版でしたが、フィルハーモニア管との演奏もそうなのでしょうか?
1960年のEMIスタジオ録音は楽譜通りみたいですね。
http://www.kapelle.jp/classic/klemperer/mendelssohn.html
ユング様のアーカイブにある1960年のEMIスタジオ録音を聴いてみました。
1969年ライヴ盤に比べると1960年盤は音自体が平板で、意外や快速テンポですね。
1969年ライヴ盤は第1楽章だけで1分30秒も遅く、録音も立体的です。
「スコットランド」はヴィクトリア女王に献呈した際に自ら改訂した1842年のロンドン版
というのもあるようですね。
今月発売のリッカルド・シャイー16CD BOXセット(3,270円)のゲヴァントハウス管弦楽団
との演奏が、そのロンドン版みたいです。
クレンペラーのロマン派交響曲&序曲集(10CD)ですが、2011年の最新リマスターはCD5だけでした。シューマンの交響曲と序曲だけで元が取れるな!と思って買ったので嬉しい誤算でした。でも、他のディスクも音質良好です。どうもBlu-spec CD2と同様の最新カッティング技術が採用されている感じで音のリアルさ、瑞々しさが半端ないです。
HMVの曲目一覧では、CD5のシューマン:ゲーテの「ファウスト」からの情景~序曲
(9分38秒/1969年録音)が抜け落ちていました。