“iTunesで第1位
革命児ナクソスの秘密”
iTunesで第1位革命児ナクソスの秘密 (音楽脳を刺激しよう):NBonline(日経ビジネス オンライン)
正直言って、今さらなあ!という記事ですが、世間一般の反応というのはこういうものなでしょう。
CDの新譜が2800円、再発でも2000円前後というのが「常識」だった時代に、ナクソスの800円前後という値段は確かに衝撃的でした。
しかし、あれから10年近い年月がたった今の時代では、ナクソスの値付けは決して「廉価盤」とは言えません。逆に、一枚1000円前後という値段は「高いなぁ」と思ってしまう自分に今さらながら驚いてしまいます。
ただ、この記事の中でナクソスの『コンセプトを一言で言うなら、「演奏家中心主義から作品中心主義への転換」である。』と紹介しているのはいいところをついています。
昔、ユング君は「本当は猿が振った録音でも、ジャケットに「カラヤン指揮」と書いておけば喜んで買うファンはいくらでもいる」・・・と書いてかくあちこちから顰蹙をかったことがありますが、つまりは、作品への興味や関心よりは、演奏家への関心だけが突出していた時代だったのです。
そんな時に、まずは作品を聞きましょうと呼びかけたナクソスのコンセプトは新鮮でした。
“ハイマンの夢を実現するには、クラシック音楽につきものの高コスト体質を打破することが何より必要であった。かといって、安かろう、悪かろうでは話にならない。そこでハイマンは、価格と質の双方で妥協しないために、無名でも質の高い演奏をする演奏家を大胆に起用した。
しかし、あくまで主人公は作品である。ハイマンは「演奏家の録音したい曲をレコード会社が録音するのではなく、レコード会社が録音したい曲を、演奏家が演奏するのだ」という断固たる考えを持っていた。演奏家のイメージ作りなどは一切せず、黙々と安くて質の高いものを作り続けたのである。いわば「無印良品」の発想であった。”
こんな中で発掘されたのがブルックナー指揮者のティントナーでした。
彼に関してはこんな一文を書いたことがあります。改めて読み直してみて、クラシック音楽をめぐる状況の変わりように感慨深いものがあります。