“いま甦る初めて聴くドイツ・シャルプラッテンの原音!
平成18年9月6日 CD全20タイトル発売
清勝也(プロデューサー) インタビュー
1974年以来、徳間ジャパンコミュニケーションズのプロデューサーとしてドイツ・シャルプラッテンの国内盤を担当してきた清勝也氏のインタビューを掲載します。”
Kingrecords Webcommunication>ハイパー・リマスタリング・シャルプラッテン・ベスト
ちょっと古い話題なのですが、今回のリマスタリングに関して清勝也(プロデューサー)が語っている内容が面白いので紹介しておきます。
まずは第一回の【ドイツ・シャルプラッテンと私】より。
僕たちの社会では、まず売れなきゃならないでしょ。ところがドイツ・シャルプラッテンというのは東ドイツに一つしかない国営会社ですから、ライバル会社がない。売れなかったら、という発想がなかったんですね。
ドイツ・シャルプラッテンの人たちは、ディレクターもトラックの運転手さんも、よく生の音楽会に行ってたんです。全員がいつも生の音楽聴いてる。だからみんな、レコードが生の音楽の良い媒介であるという意識を持っていた。音楽が空気を通して皮膚に伝わってくる、それを全員が知ってたレコード会社。だから、ものすごく音楽がふくよかなんです。
これは凄く納得できる話です。
どうも芸術と資本主義は相性があまりよくないみたいです。売れる、売れないとは全く違う次元でゆっくりと時間をかけて熟成していける環境がないとなかなか「本物」は育ちません。
おそらく、その典型はテンシュテットでしょう。東ドイツでは全くの無名の指揮者だったのが、西側に亡命して活動を開始したときには偉大なるマエストロでした。
次に興味深い話だと思ったのは、オトマール・スウィトナーの録音をめぐって(その1)】
スウィトナーというのは本当に凄い指揮者だと思った。特にモーツァルト。交響曲第40番[KICC-9401]とか、《ジュピター》[KICC-9402]とかも凄いけれど、第32番とか第34番[同]とかも本当に名演だと思う。彼がこう言ったことがあるんですよ。モーツァルトは庭師が鋏できるようなリズムでやろう、と。ちゃかちゃかちゃか‥‥、それをなんべんもオーケストラに言う。モーツァルトにある南への憧れ、イタリア的な太陽と喜び、それを一番に出しているのがスウィトナーだと思う。
今でも、モーツァルトをプログラムに取り上げるときにはスウィートナーの録音を必死で聞き返してコピーしようとする指揮者が多いというのはこの業界では公然の秘密。
今回のリマスタリングは音質的にはかなりの優れものらしいので、スウィートナーのモーツァルトを買うべきか否か・・・悩むところです。
これ以外にもなかなか面白い話が掲載されています。
一度ご覧あれ。