CDから音楽ファイルをリッピングしよう!

PCオーディオの世界ではまずはCDをリッピングするところから始まります。その時に少しでもよい音を得ようとすれば、考えるべき問題点は基本的に以下の3点です。

  1. リッピングするための光学ドライブに何を使うか?
  2. リッピングするためのソフトに何を使うか?
  3. リッピングしたファイルをどこに格納するか?

これ以外に、音質とは直接関係ありませんが、絶対に考えておかなければ困るのがリッピングしたファイルの整理の仕方です。
今回はこの3+1の課題について少しばかり書いてみたいと思います。

リッピングするための光学ドライブに何を使うか?

これはズバリ書いておきましょう。PCオーディオを志すものは迷わずにPremium 2を使いましょう。

確かに、そこそこの光学ドライブを使っているのならば読み取り能力に関しては大差はないように思いますが、それでも、じっくり聞き込んでみると「Premium 2」の優秀さは明らかなように思えます。
ここは迷わず、PCオーディオの定番とも言うべき「Premium 2」を選びましょう。

リッピングするためのソフトに何を使うか?

CDから音楽情報を吸い出すためにはそれ専用のソフトが必要です。それをリッピングソフトと読んでいます。
実は、そんなに難しいことを考えなくても、例えば「iTunes」を使えば簡単にリッピングはできます。しかし、どうやら、このリッピングソフト、その能力にかなり開きがあるようで、「何を使うのか?」によって音質に大きな開きが出るようなのです。
「データとして比較すると多少変わりがあることもあるかもしれませんが基本的に音質に変化はありません。ですのでどのリッパーを使っても高音質です。」という楽観的なアンサーもあるようですが、これは明らかに楽観的に過ぎます。

まず、「iTunes」はとても便利なのですが、音質についてこだわるならばパスした方がいいように思います。それから、オンキヨーのインターフェイスに付いている定番の「CaryOn」などもリッピングソフトとしてはあまりよろしくないように私には思えます。
と言うことで一般的にはEAC(Exact Audio Copy)を使われている方が多いようです。
便利なことに、日本語化のパッチファイルも 出回っているようですが、最新版には対応していないようなので英語のままで使うか、もしくは、適当な日本語化のパッチファイルを解凍してその中の 「Japanese.txt」をEAC(Exact Audio Copy)の「Languages」フォルダの中にコピーして簡易的に対応するかどちらかです。
「日本語化のパッチファイル」を優先して本体の EAC(Exact Audio Copy)の旧いヴァージョンを使うというのは本末転倒でしょう。簡易的な日本語化対応でも、以下のような雰囲気ですからまあ大丈夫でしょう。

リッピングは簡単で「F5」を押すと保存先を聞いてきますので、適切な場所(決して適当な場所に保存してはいけません、適切な場所をよく考えて選択しましょう。詳しいことは後述!)を選択すれば、以下のような画面が表示されてリッピングの様子を確認することが出来ます。

極めて簡単で、音質も上々ですから基本的にはこれで問題はないと思います。

しかし、ユング君は現在はこのソフトを使っていません。何故ならば、「Premium 2」に同梱されている「PlexTools Professional」の方が使い勝手がよくて、音質的にもベターだと思えるからです。実は、このソフトを入手できるメリットも考えると、光学ドライ ブに「Premium 2」をチョイスするのは「絶対」だと言えるような気がします。
フリーで出回っているソフトではないのであまり一般的ではないかもしれませんが、リッピングに関する部分だけでも少しばかり紹介しておきます。
<追記>
調べてみると、プレクスターの海外サイトからPlextools Professional LEがフリーでダウンロードできることを発見しました。
<さらに追記>
上記サイトも閉鎖されたようですが、gesuさんよりの報告で、http://files.aoaforums.com/I3100-PTPLE313.exe.htmlトよりダウンロードできる事が分かりました。(ここも閉鎖されたようです)
一部情報によると、64ビット版のOSに「PlexTools Professional」はインストール不可なのに、LE版の方は押し込めるという報告もあります。なんでやねん!

まずは、PCにCDをセットしますと自動的にデータを読み込んでくれます。
CDを読み込むとこんな感じになります。

ここから保存先を指定して、リッピングしたいファイルを選んで「開始」を押すと以下のような画面があらわれてリッピングが始まります。

極めて簡単ですし、音質も最高の部類にはいると思います。

これ以外にも、シェアウェアのソフトで優秀なものがたくさんあると思います。例えば、「E-MU ( イーミュー ) /0404 USB」に同梱されている「Cubase LE」等はとても優秀なソフトですから、「Cubase 4」あ たりを使えばかなりいいのかもしれません。ただし定価が10万円を超えるので「論外」ではありますが・・・(^^;。(基本的にはプロを対象としたミュー ジック・プロダクション・システムですから、これをリッピングソフトと見るのがそもそも間違いですね。ただし、世間ではこれをPCオーディオの「再生ソフ ト」として使っておられる方もいるようですから、あながち「無茶苦茶」とも言い切れません)
とにかく、「どのリッパーを使っても高音質です」などと楽観的なことは考えないで、適切なソフトを見繕うことが大切です。

個人的にはフリーのものならば

  1. EAC(Exact Audio Copy)
  2. Plextools Professional LE(閉鎖されました。)

あたりがお勧めかと思います。

リッピングしたファイルをどこに格納するか?

リッピングしたファイルをどこに格納するか?・・・なんて、何を言っているの、ハードディスクに保存するに決まっているでしょう、と言う声が聞こえてきそうです。
ところが、この問題、それほど簡単ではないのです。
実は、かなり前から囁かれていたのですが、どうやらPCに内蔵しているハードディスクに保存するのはあまりよろしくないようなのです。理由はよく 分かりませんが、私自身もあれこれ試してみたのですが、明らかに内蔵のハードディスクよりは外付けのハードディスクにファイルをおいた方が音質的にはメ リットがあるようなのです。
こんな事に初めて気がついた人はホントにエライ!と思います。

ただし、外付けのハードディスクに置くとなると、今度はどうやってPCと接続するのか?と言う問題が発生してきます。
選択肢としては、USB、FireWire、eSATAがあります。これ以外にファイルサーバーにおいてLAN接続でつなぐという方法もあるようですが、これはやっていないので何とも言えません。(その後、LAN接続には原理的に問題があるという報告があります。詳しくはこちら。個人的にはいまいち理解できませんが。)
最初に上げた3つの選択肢ですが、これは明らかにeSATA接続に軍配があがります。これも、確たる根拠は示せませんが、おそらくは転送速度の違いが効いているのではないかと思います。
USB、FireWireはともに40Mb/秒程度なのに対してeSATAの方は200Mb/秒です。それに接続端子やケーブルもしっかりした感じなのでオーディオ的には安心感があります。(重くて、太くて、ガッシリしているものほど安心・・・(^^;)

ですから、リッピングしたファイルを格納する場所としてeSATA接続に対応した外付けのハードディスクを用意するのがよろしいかと思われます。 容量としては最低限1Tbは欲しいところですし、出来れば安全性を考えてRAID1かRAID5に対応しているとベストでしょうか。
このRAIDと言うのはサーバー管理をやっているものにとってはデータのバックアップをとっておくためにいつもお世話になっているのですが、一般のユーザーにはあまり馴染みがないでしょうから少しばかり説明しておきます。

普通のPCは内蔵のハードディスクを増やしたとしても、それぞれが個別に動いていますから、何かのはずみで壊れてしまうと、その時点でハードディ スク内のデータはお釈迦になります。これはサーバー管理をやっているものにとってはとても困ったことです。そこで、「RAID」という仕組みが用いられる ようになりました。
まず最も基本的なのは2台のハードディスクを用意して、お互いをミラーリングさせる方法です。これだと、片方が壊れても、もう1台のハードディ スクの方に全てのデータが残っているので、一度のトラブルで全てがお釈迦になることはありません。写真屋さんが大切な記念写真を撮るときに2台のカメラで 撮影をしますが、あれと全く同じ安全策で、これを「RAID1」と呼びます。
ただし、同じような環境で全く同じハードディスクを使い続けるので、実は同時に壊れることも皆無とは言えません。さらに、容量も2台のハード ディスクで1台分しか活用できないという弱点があります。そこで、この問題を解決するために編み出されたのが、「RAID5」という仕組みです。
「RAID5」は「RAID1」のような単純なミラーリングではなくて、4台のハードディスクでお互いをバックアップしあいます。ですから、 ハードディスクは4台が必要ですが、容量的には3台分が使えます。もちろん、どれか1台がお釈迦になっても新しいハードディスクに交換すればデータは完全 に復元できます。サーバー管理ではこの方法が一般的です。

後、これとよく似ているものの全く違うものとして「RAID0」(ストライピングモード)というのがあります。
これは「RAID5」と同じように4台のハードディスクを使うのですが、お互いにバックアップしあうのではなくて4台をまとめて束にして1台の ハーディスクであるかのように扱いつつ一つのファイルをそれぞれに分散しながら書き込みます。ですから、読み込みも書き込みも高速化が図れるという利点が あります。ただし。4台をまとめて1台として扱うので、その内の1台でもお釈迦になると全てのデータが失われます。ですから、安全性という点では1台の ハードディスクを使うときよりもリスクが4倍になります。安全性というよりは高層化という方がポイントとなります。

ですから、安全性という点では「RAID5」>「RAID1」>「1台のハードディスク」>「RAID0」となります。しかし、PCオーディオ的 には、安全性のリスクはあっても高速化が図れる「RAID0」の魅力も捨てきれません。ベストは「RAID0」と「RAID1」を組み合わせたシステム (「RAID1」でミラーリングしたものを「RAID0」でストライピングしたもの)なのでしょうが、それではいくらお金があってもあたりません。

この辺のことを全て考慮に入れると、個人ユースで使う製品としてはバッファローのものが魅力的だと思います。
HD-QSSU2/R5シリーズ

ファイルの整理の仕方

人間の記憶力というのはあてになりません。ですから、適当なやり方でリッピングしたファイルを保存していると、やがて目的のファイルがどこにあるのか全く持って分からなくなります。
個人的な経験では、ファイル数が500を超えると筋の通った整理の仕方をしていないとお手上げになります。もちろん、これが「絶対}という整理の 仕方はありませんので、それぞれが自分にあったやり方を工夫すればいいと思うのですが、とにかく「適当」なやり方を続けていると、後から手直しをするのに 膨大な手間と時間を空費しますから、出来れば最初から計画的に行う必要があるでしょう。

参考までに私のやり方を紹介しておきますので、参考になる部分があれば参考にしてやってください。

(1)ファイル名の規則化
まずファイル名も適当につけているとわけが分からなくなりますから、一貫した方針で命名します。私の場合は、
作曲家名_作品名_楽章_主たる演奏家_録音年
というやり方を採用しています。
例えば、1957年にセルが録音したベートーベンの3番「エロイカ」の第1楽章だと、

Beethoven_sym3_1_Szell_57

と、なります。日本語を使うとソフトによっては文字化けする恐れがあるのと、入力自体もアルファベットの方が楽なので、私の場合はこうしています。
(2)フォルダの規則化
次に、それぞれの録音は必ず一つのフォルダに格納します。適当なフォルダにいくつもの録音を格納するというのはお勧めできません。
上記の録音だと「Beethoven_sym3_Szell_57」というフォルダを作って以下のように格納します。

Beethoven_sym3_Szell_57(フォルダ)- Beethoven_sym3_1_Szell_57
Beethoven_sym3_2_Szell_57
Beethoven_sym3_3_Szell_57
Beethoven_sym3_4_Szell_57

さらにこの上位に「作曲家」と「カテゴリ」のフォルダを作ります。上記の例だと、作曲家は「Beethoven」、カテゴリは「Symphony」となります。

Beethoven- Symphony- Beethoven_sym3_Szell_57-

カテゴリーは一般的な区分で問題はないと思いますが、作曲家によっては小分けした方がいいかもしれません。
例えばベートーベンの場合だと、私は以下のように分けています。

「Symphony」「Orchestral_music」「Concerto」「Chamber_music」「Pino_Sonata」「Choral_music」「Song」「Opera」

これがマーラーあたりだと「Symphony」「Song」だけでいいかもしれません。

こうしておけば、例えば、今日はモーツァルトの室内楽でなんか聞きたいな!と思えば、作曲家から「Mozart」を選んで、その下の 「Chamber_music」を開けばズラズラと録音が出てきます。この規則性が理解できていれば、簡単に目的の録音にたどり着けます。要は、キチンと した一貫性のもとに整理すると言うことです。

さて、次回は、こうしてリッピングしたファイルをいかにしてPC上で再生するかのノウハウについて述べてみたいと思います。

音楽ファイルを再生しよう!に続く

5 comments for “CDから音楽ファイルをリッピングしよう!

  1. ヨナ
    2011年12月29日 at 8:30 AM

    Plextools Professional LEですが、
    パソコン変えたらfreedbが使えなくなってしまいました。
    あちこち検索して調べてみましたが成功しません。
    お手数ですが設定を教えてもらえないでしょうか?

  2. ユング君
    2011年12月29日 at 9:02 AM

    私が使っている「Plextools Professional」のfreedb関連サーバー設定は以下の通りです。

    サーバー設定:freedbtest.dyndns.org
    Cgi-パス:/~cddb/cddb.cgi

    当然のことながらポートは「80」です。プロキシーの設定はしていません。
    リッピングソフトは最近「Plextools Professional」から「dBpoweramp」に乗りかえたのですが、確かめたところ、問題なくfreedbは使えています。

  3. ヨナ
    2012年1月16日 at 10:37 AM

    あけましておめでとうございます。
    昨年のお礼が遅くなりました。
    私もdBpowerampに乗り換えて、リッピング生活していました。
    ・・・が、最近エラー続出で停滞していますorz

    色々調べていますが、今のところ原因不明です。
    こんな話を聞いたことありますか?

  4. ユング君
    2012年1月16日 at 8:27 PM

    私もdBpowerampに乗り換えて、リッピング生活していました。
    ・・・が、最近エラー続出で停滞していますorz

    色々調べていますが、今のところ原因不明です。
    こんな話を聞いたことありますか?

    Bpowerampは基本的には有料のソフトですから、フリーのままで使い続けるといろいろ使いづらくなってきます。
    実は、私もフリーで使っていると、あれこれ不都合が出てきて、結局は「お金」を払って有料版に乗りかえました。

    そのあたりの判断は人それぞれだと思いますが、有料の正規版を使うと、当然のことながらそのような不都合は一切消えますし、フリー版以上に様々な機能が使えて、払ったお金に見合うだけの価値はあると思います。

    ただ、サイトが英語なので、慣れないと少しばかり敷居が高いかもしれませんね。
    なお、お代は38ドルですが、円高のおかげで日本円では約3000円です。

  5. にわかかじり
    2012年9月27日 at 1:37 PM

    突然、失礼します。
    音楽好きで、IT関係に従事しています。

    B社のRAID5は(B社に限らず どこのメーカーでも)大変危険です。
    ディスク1本で運用していた場合、起動しなくなってもデータの復旧方法はあります。
    しかしRAID5は、書き込まれるデータをディスクにばらばらに分散するので、
    1本ディスクが故障し、復旧中に残りの1本が故障すると(たまにあります。)
    データがすべて消失します。
    またRAIDカードが壊れれば、あとには箱しか残りません。

    面倒になりますが、2重体制をお勧めします。
    自分は、3重体制を計画しているのですが、予算が足りません。

    既出の書き込みでしたら失礼しました。

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