CD規格って不十分なの?(1)~16bitってホントに不十分なの?

CD規格の実力

『結論から言えば、「16bit 4401kHz」→「24bit 88.1kHz」へのアップサンプリングを基本とすることにしました。』などと書いておきながら、『「16bit 44.ikHz」というCD規格は本当に音が悪いのか?』などと疑問を呈するのは矛盾も甚だしいのですが、実は、これはとても大切なことなのです。
何故に大切なのかと言えば・・・それは読んでいただくうちに分かっていただけるかと思います。

CD規格は言うまでもなく、「16bit 44.1kHz」です。昨今のハイレゾ音源は「24bit 196kHz」ですからスペック的にはかなりショボイです。
どれくらいショボイのかというと、

  • ビット数→2の(24-16)乗なので256倍
  • サンプリング周波数→196÷44.1≒4倍

ですから、両者の情報量の差は掛け合わせてザックリ1000倍と言うことになります。
そう言えば、「Interface 9月号」に「なんとCDの1000倍なめらか!ハイレゾの世界」なんて書いていましたが、このあたりのことが根拠なのでしょう。
しかし、その表現を見て、たとえばミミズ工房さんなんかも「凄い理屈だなぁ。」と述べられていますが、いわゆる「ハイレゾ」を巡る論議の底の浅さが透けて見えます。

CDが登場したときは随分とぼろくそに言われたものです。
ぼろくそに言ったのはオーディオ関係のコアなユーザーであって、それを必死で否定したのはオーディオ関係の技術者でした。そして、この対立に決着をつけたのはその他大勢のユーザーでした。
彼らはそんな些細な音質の優劣などには無頓着で、レコードと比べれば圧倒的に取り回しが容易なCDを違和感なく受け入れました。
LPレコードの再生というのは一種の儀式のような手間をを強いるものでした。その儀式性を好む人もいたのですが、大多数の人は煩わしかった・・・ようなのです。それ故に、あっという間に再生メディアはアナログからデジタルへと移行したわけです。

では、再生の音質にこだわりたいオーディオマニアにとってはどうだったのでしょうか。

今さら言うまでもないことですが、アナログ再生には物量が必要であり、使いこなしにも高いスキルが求められます。完璧にチューニングすれば素晴らしい音がしましたが、どこかがずれてくればあっという間に冴えん音になりました。そして、そのチューニングポイントの大半は機械的なものでしたから、時間が経過すると必ずずれてきました。

確かに良くできたアナログ君は異次元ワールドを見せてくれます。しかし、そのアナログ君は少し家を空けて面倒を見ないでおくと、あっという間にぐれてしまって50点にも満たない酷い音なってしまうのです。
それと比べれば、デジタル君はホントに聞き分けの良い子供でした。ある程度セッティング環境を整えてやれば、とりあえずはいつも80点くらいの音は鳴らしてくれます。しかし、この優等生はコンスタントにいい点は取って帰ってくるのですが、なかなか100点を取ってこないのが困ったところでしたが、まあ贅沢な悩みです(^^;。

こういう表現は図式的に過ぎるかもしれませんが、天才肌のアナログ君、優等生タイプのデジタル君というわけです。
ですから、CDの離陸時にはメインシステムにはデジタルとアナログの両方を揃えている人が多かったのです。そして、気楽に聞きたい時にはデジタルを使い、気合いを入れて聞くときにはアナログを使うという人も多かったはずです。
そして、このCD離陸時の出来事が、とりわけオーディオマニアの中に「デジタルはアナログよりも音が悪い」という刷り込みを形成してしまったようです。

しかし、技術者たちは馬鹿ではありません。「CDはアナログレコードよりも音が悪い」と言われてムッとしたでしょうが、現実を突きつけられれば彼らだって理屈にすがるだけでは駄目なことは理解したはずです。そして、理解すれば必要な対策がとられるわけであって、80年代の後半くらいからは、録音と再生の両面において大幅な手直しが行われました。その頃からは、CD離陸時のような酷い音で再生される事はほとんどなくなっていきました。

そう言えば、出荷額でCDとLPが肩を並べたのは1986年でしたが、LPのシェアが急激に落ち込んでいったのは1989年からでした。(1988年:約200億→1989年:約40億→1990年:約10億・・・底は2010年の約2億円[日本レコード協会調査])
この大幅な落ち込みの背景にはCDの音質改善があったことは明らかです。90年代に入ってシステムの主役をアナログからデジタルに移行させたオーディオマニアは多かったはずです。

しかし、刷り込みというのは困ったものです。今でもこの刷り込みは大手の老舗オーディオ雑誌の中では大きな顔をしてまかり通っています。
そして、最近は「レコードに再ブーム到来?レコード出荷が大幅に増加!」などと言う記事が出回るので詳細を見てみると出荷額で昨年と比べて倍近い6億円になったというのです。・・・はい、倍増で6億円です。こういうのを世間一般では「木を見て森を見ず」と言いますね。

率直に言って、「デジタルはアナログよりも音が悪い」とか、「20kHzまでしか収録されていないCD規格は音が悪い」というのは「都市伝説」だと思っています。
もちろん、異論もあるかとは思います。しかし、昨今のあまりにも薄っぺらいハイレゾ騒ぎを見ていると、この問題はしっかりと論議をしておかないといけないと思います。率直なご意見をいただければ嬉しいです。

と言うことで、まず最初に提出したい課題は・・・

音楽メディアとして「16bit 44.ikHz」というCD規格にはどれくらいの実力があるのでしょうか?

です。
まずは、ここからスタートしてみたいと思います。

16bitの実力

まずは、ビット数というのは再生音のどの部分に影響するのでしょうか?
ハイレゾ、ハイレゾと騒いでいても、こういう直球の質問をぶつけられると意外なほどに返答につまる人が多いようです。そして、返答につまる人は単純に数値が高くなれば単純に音が良くなると無邪気に信じているようです。
さらに、それがダイナミックレンジまたはS/N比に関わる数値だと言うことが答えられても、それが現実の再生環境においてどの程度の意味を持っているのかを答えられる人となるとさらに少なくなります。

この問題を考える時におさえておかなければならないことは、聞き慣れない言葉ですが「人間の耳のダイナミックレンジ」です。「人間の可聴帯域」が20Hzから20KHというのはよく知られていますが、「人間の耳のダイナミックレンジ」と言う概念は意外と知られていません。

当たり前の話ですが、人間が聞き取れる音には限界があります。これ以上は音として聞き取れない小さい音もあれば、これ以上は耐えられないという大音量もあります。
この『どこまで「小さな音」を「音」として聞き分けられるのか、逆にどこまで「大きな音」に耐えられるのか』という幅のことを「人間の耳のダイナミックレンジ」と表現します。そして、このダイナミックレンジは一般的に120dBと言われています。

つまり、人間が音を音として関知できる最小レベルが0dBで、鼓膜が破れる寸前の限界レベルのブッチャキ音量が120dBというわけです。ちなみに、0dBと120dBでは音の大きさの違いは「1:1000000」になります。(20dBで10倍になります。)
そして、ビット数の問題を考える時はこの「人間の耳のダイナミックレンジ」を前提として論じなければ意味のないことはおわかりいただけるかと思います。人間の耳では聞き取れないような小さな音が記録できても、または鼓膜が破れるような大音量が記録できても意味がないからです。

そこで、ここから問題です。
CD規格のデジタル情報(16bit)はこの人間の耳が持つダイナミックレンジをフォローできているのでしょうか?

デジタル情報の1ビットは概ね6dBのダイナミックレンジにあてはまります。(本質は変わらないので単純化します。)
ですから、CD規格の16ビットだと「16×6」でダイナミックレンジは96dBです。つまりは人間の耳のダイナミックレンジである120dBはフォローできていません。CD規格の16ビットで限界いっぱいのブッチャキ音量を記録すると、「120-96」で24dBがノイズに埋もれてしまうことになります。
一般的に「木の葉のふれあう音」が20dBとされていますので、そのレベルの幽かな音がノイズに埋もれてしまうわけです。つまりは、そう言う微かな音が音として記録できないのです。

これは一見すると困ったことになりそうな雰囲気です。
しかし、PA機器の故障でもなければ、実際の音楽シーンで人間の鼓膜を破るようなブッチャキ大音量が轟くことは考えられません。
クラシック音楽の世界ならば一番大きな音が鳴り響くオーケストラであってもせいぜいが80dB程度だと言われています。
つまりは、音楽というものは一般的に「人間の耳のダイナミックレンジ」の全てを使って鳴り響くことはないので、現実的には16ビットもあれば充分とも言えるのです。

しかし、音楽が24ビットで記録されていれば「24×6」でダイナミックレンジは144dBですから、限界のブッチャキ音量から人間が音として関知できる最小レベルの音まできっちりと記録できるので精神衛生的には非常によろしいことは明らかです。
なお、32ビットで記録されていればダイナミックレンジは「32×6」で192dBにもなります。どう考えても、これは無駄なオーバークオリティのように見えます。(なお、デジタル領域でイコライジングすると無駄なオーバークオリティとは言えないことに気づくのですが、それはまた別の話となります。)

つまりは、ビット数は24bitあれば精神衛生上非常に好ましいことは事実ですが、音楽を再生するメディアとしては16bitというCD規格の器は十分だといえそうなのです。

アナログレコードのダイナミックレンジ

それでは、ここからが問題の本質に入ってくるのですが、この16bitというCD規格のダイナミックレンジはアナログ録音と比べてどれほどの実力なのでしょうか?

まずは、アナログ録音されたLPレコードの悪口を数え上げます。(^^;
LPレコードは様々な要因が絡み合って盛大なノイズを発生させています。
ざっと思いつくだけでも以下の通りです。

  1. 録音に使ったテープの雑音(ヒス・ノイズ)
  2. ディスクの回転むらから生じるワウフラッタノイズ
  3. モーターや軸受けなどで発生する低域振動が増幅されることによるノイズ
  4. レコード針がレコードをこする事によって発生するスクラッチノイズ
  5. ピックアップした信号が微少なためにアンプで大きく増幅する必要があり、そのために、アンプなどの回路で発生するノイズを可聴範囲にまで増幅してしまうことによるノイズ

さらに忘れてはいけないのが、レコードには低域のレベルを落として高域を増幅するというRIAAイコライジング曲線に従って録音され再生されるという宿命が存在することです。

音量が同じであれば周波数が低いほど振幅が大きくなります。これは物理学の法則ですから変えようがありません。

フラットな状態で録音してると、たとえば低域で大音量がドスンと入ればレコードの溝が隣にはみ出すほどの振幅になってしまいます。当然のことながら、そんなカッティングが必要になるような録音はNGですから、アナログ時代の録音エンジニアはRIAAイコライジング曲線なるものにに従って低域のレベルを落とし、高域を増幅した状態で録音しなければいけなかったのです。
そして、再生時にはフォノアンプでRIAAイコライジング曲線に従って低域を増幅し高域を減衰させることで、おそらくはフラットに録音していればこんな感じだろう(^^;と言う信号に戻してからアンプで増幅しているのです。

つまりは、録音時にフィルタを噛ませ、さらに再生時にその逆フィルタを噛ませることでフラットと思われる状態に戻しているのです。ピュアなオーディオを標榜するアナログ派の人たちが、このようなフィルタを二重に噛ませていても気にならない風情なのは実にもって不思議な話です。

しかし、問題はそう言う「嫌み」のレベルではすみません。
(2)(3)でふれたワウフラなどのノイズは全て低域で発生する信号です。当然のことですが、そう言うノイズは録音時には含まれていませんしレコードにも刻み込まれていません。しかし、再生時にはそれらのノイズは録音された信号と一緒にRIAAイコライジング曲線によって増幅されます。

ですから、本当にアナログレコードで満足のいく再生をしようと思えば(2)(3)に関しては絶対につぶしておく必要があります。もちろん、それらを完全につぶす事は不可能です。しかし、不可能ではあっても物量を投入すればかなりの程度までは改善が出来ます。

  • ターンテーブルの重量化
  • 重量化したターンテーブルをしっかりと受け止める軸受けの機構
  • 重量化したターンテーブルを静粛に回転させる機構

つまりは重たいターンテーブルを出来る限り静かに回すことです。

[昔の定番、トーレンス]

THORENS_TD520

アナログ最盛期ならば、これらの要望を満たすプレーヤーは500K円程度で入手できたでしょうが、今となっては0が一つ増えそうです。

しかし、RIAAイコライジング曲線にはメリットもあります。それは、とりわけ高域で発生しやすいスクラッチノイズを低減してくれることです。それでも実測した人によるとS/N比はCDと比べると二桁程度違うとのことです。
と言うわけで、ザックリと言えば、LPレコードが実現できるダイナミックレンジは60dB程度だろうと言われています。上で述べたような物量を投入したモンスタープレーヤーを使っても70dBを超えることはないでしょう。

[モンスタープレーヤー]

Air Force One

ダイナミックレンジと言うことだけに絞れば、20k円程度のCDプレーヤーが通常のCDを再生して実現するダイナミックレンジを、5000k円投入したモンスター級のアナログプレーヤーといえどもしのぐことは出来ないと言うことです。
ですから、ダイナミックレンジに関しては、「デジタルはアナログよりも音が悪い」とは絶対に言えません。

音楽祭に必要なダイナミックレンジ

しかし、重要なポイントはそう言う部分でデジタルの優位性言い立てる事ではありません。

よく調整されたアナログ再生のシステムで音楽を聞けば、申し分のないほどの静寂からオケのトゥッティまでを何の不満もなく表現してくれます。つまり、重要なことは、音楽を聞く上で必要なダイナミックレンジはそれほど欲張らなくてもいいということです。

アナログ時代のエンジニアは、上で述べたような「限界」は知り尽くしていました。知り尽くしていましたから、その「限界」の中でいかに音楽のエモーショナルなダイナミズムをすくい上げるかに長けていました。CD時代に入って一番のミステイクは、16bit(96dB)というスペックに飛びついて、再生側の都合などを考えもしない頭でっかちの理屈優先の録音とマスタリングをしたことにあります。

そう言えば、マーラーのシンフォニーなどを聴いていると、最弱音がほとんど聞こえないのでボリュームを上げると、今度はトゥッティでブッチャキ大音量になってしまうので慌ててボリュームを下げ、さらにはまた何も聞こえないのでまたまたボリュームを上げるという馬鹿みたいな作業を強いられたことがありました。おそらく、そのCDを録音したエンジニアは「これこそが正しい」と思っていたのでしょうが、正直言って「阿呆の極み」です。

つまりは、96dBのダイナミックレンジがあるからと言って、それを全部使い切ってはいけないのです。さらに言えば、24bitで144dBのダイナミックレンジが使えるからと言ってそれを使い切れば、家庭での再生メディアとしては使い物にならないのです。

アナログ時代の経験から言えば、おそらくはダイナミックレンジは60dB~70dB程度で納めてくれた方が聞きやすいのです。そして、ダイナミックレンジだけの話ではないのですが、そう言う録音における「お馬鹿」が見直されはじめたのが80年代の終わり頃だったのです。
ですから、CD規格の16bitという器は音楽を再生するメディアとしては十分すぎるほどの器だと言い切っていいのです。

と言うことで、次回はいよいよ本丸とも言うべき「44.1khz」というサンプリング周波数が音楽再生のためのメディアとして十分なのかと言うことについて考えたいと思います。・・・次回に続く!!

[追記]
なお、イコライジングに伴うビット数の拡張は全く別の話になります。
ここは混同しないでください。


32 comments for “CD規格って不十分なの?(1)~16bitってホントに不十分なの?

  1. Dr335
    2014年9月7日 at 5:48 PM

    “オーディオマニアの中に「デジタルはアナログよりも音が悪い」という刷り込みを形成してしまったようです。”
    この部分が極めて重要と思います.以前にも書かせていただきましたが,この思い込みのために,アナログ至上主義で,デジタルはPCに某(ず)社のPC用スピーカーをつなげば充分,と言い切る先輩がいて困ってます.そのアナログの再生音がすばらしければ素直に脱帽するところですが,それはそれは残念な音なのです.私の自宅の,あまりお金のかかっていないアナログの音のほうがよほどましです.私は,優れたCDの音質は,アナログにも,当然のことながらダメなハイレゾ音源やSACDにも優ると思います.ハイレゾ音源にも冴えない音質のものはいくらでもあります.アナログ初期盤の音が,ボロボロになった古いマスターから復刻したCDよりもいい,ということを,アナログはデジタルより音がいい,というふうに誤解している方も多いと思います.ただし,マスタリングの際のイコライジングの違いからか,アナログ盤の音色(音質ではありません)のほうが好ましい,という経験は何度かあります.しかしこれもマスターの違いであって,アナログがCDより優れている,ということではありません.

  2. 2014年9月7日 at 5:49 PM

    ご無沙汰しておりました。

    まったくおっしゃる通りで、実用上のダイナミックレンジは60dB取れれば御の字、という感覚が私の高校生時代の(つまりアナログ時代末期の)感覚だったと思います。そして、yungさんは「96dBのダイナミックレンジがあるからと言って、それを全部使い切ってはいけない」と指摘されておりますが、最近1980年代に録音された多くのデジタルレコーディングのCDが妙に耳障りに感じている理由が分かりました。大きい方に合わせると小さい音が聴こえない、小さい方に合わせると大きい音で耳が痛くなる、不快な録音が多いので苦労していました。アナログレコーディングをリマスタリングしたCDや、1990年以後の録音にはそれがないのが不思議だったのですが、それで理由が分かりました。

    もう一つ指摘させていただくと、聴力検査の0dBの基準点はJIS規格で決まっているのですが、最少可聴レベルは50代半ば(私の年齢)ですと10dB~30dBくらい落ちている人が多いです。人間ドックでは30dBまでは異常扱いしないので健常者ということになるのですが、それでもそんなものです。そして、専用のリスニングルームでもない限り、暗騒音レベルも30dB以下なら御の字。一方、安全に長時間聴ける音は70dB位。瞬間的にでも80dBが上限です。ですから、通常は60dB、余裕を見ても70dBあれば足りるのではと考えています。

    ここから先にどんでん返しがあるのかもしれませんが、参考になりました。ありがとうございました。

  3. 2014年9月8日 at 8:49 PM

    >最少可聴レベルは50代半ば(私の年齢)ですと10dB~30dBくらい落ちている人が多いです。人間ドックでは30dBまでは異常扱いしないので健常者ということになるのですが、それでもそんなものです。

    そうですね、実は私などは検診のたびにかなり危ないゾーンに入ってきています。

    アナログ時代の録音エンジニアはコンソールの前に座って、最弱音はスライダーを上げ、フォルティッシモでは下げるという操作をさりげなくやっていたという話をきたことがあります。
    ところが、ハイレゾの時代に入って、「そんな情けないことをやらなくて良くなって涙が出るほど嬉しい」とほざいているのを聞いたことがあります。職人としてみれば、こういうのも明らかに一種の「劣化」だろうと思います。

  4. tksh
    2014年9月10日 at 5:47 PM

    初めてコメント致します。
    ハイレゾの件は個人的にも実験中で結論は出せずにいますが、今回のDレンジについてのテーマは興味深いです。実際の再生環境においてはオーディオシステムが無音時でも普通リスニングルームには暗騒音が存在しています。私の環境では暗騒音は38dBでした。したがって、理論上のDレンジから暗騒音に埋もれて聴こえない分を差し引いて考えるほうが実際的ではないかと考えます。私の再生の平均音量はリスニングポジションで80dBだったので80-38=42となり、ピークを考慮しても現実には約50dBのレンジしか聴き取れないことになります。これならばアナログディスクでも余裕が十分あることになり、また、記事中の「ダイナミックレンジは60dB~70dB程度で納めてくれた方が聞きやすい」ことに合致するのではないでしょうか。
    一般の方はmp3などの圧縮音源が主流でしょうから、CDはハイレゾではないかとさえ思ってしまいます。
    蛇足ですが、私が映像を観るときの平均音量は試聴位置で70dBにしかなりませんでした。

  5. HS
    2014年9月11日 at 1:32 AM

    PCオーディオでLPレコードの話題が出るとは思いませんでした。
    元々、CDとLPを比較することが間違いと思います。
    個人的な見方ですが、LPの元は機械式再生のSPレコードです。
    LPはSPを電気増幅するに都合の良い形(規格)にした物。
    このため、カートリッジ調整等もかなりいい加減な方法で、熟知して
    いないと難しい物でした。
    イコライザーカーブはレコードの音を良くする手段であり、良いか悪いかの
    問題とは少し違います。(規格なので個人には手が出せません。)
    感覚的に言えば、良い音を出すには面倒なLP、良い音を出すのが難しい
    CDと言った所です。
    デジタルでは音質的にCD規格で十分と思いますが、
    条件としてCDの品質が良いことが大前提です。

    • 2014年9月11日 at 10:17 PM

      >イコライザーカーブはレコードの音を良くする手段であり、良いか悪いかの問題とは少し違います。

      イコライザカーブでデコードしなければいけないLPレコードは低域で宿命的に発生するノイズを増幅するので、音質の問題を論議するときには無視できません。まさに、良いか悪いかに直結する問題です。
      そして、それはユーザー側で手出しが出来ない仕様であるが故に、宿命的な欠陥です。CD規格のサンプリング周波数が44.1kHzであるが故に20kHz以上の音が再生できないことが宿命的な欠陥であるのと同様の問題です。

      さらに、論議を単純化するために詳しくはふれませんでしたが、初期のアナログ録音ではレーベルによってイコライジング曲線が異なっていました。さらに、同じレーベルでも時期によってその曲線は完全に同一ではありませんでした。RIAA曲線に統一されるまでには随分と時間がかかっています。
      しかし、現在のアナログ再生は、そう言う曲線の違いは「些細な違い」と言うことで、ほとんどのフォノアンプはその統一されたRIAA曲線でデコードしています。

      アナログの世界ではそれほどまでに大らかな人々が、たとえばデジタル再生で発生する量子化ノイズ軽減のためのディザリングに目くじらを立てるのです。不思議な話です。

      >元々、CDとLPを比較することが間違いと思います。

      デジタルはアナログに劣るという刷り込みぬぐい去ることはそれほど無駄な論議ではないと思うのですが、いかがなものでしょうか?

      • きゅう
        2014年9月12日 at 12:00 PM

        アナログかデジタルか・・・この議論はこれまでも色々な視点で繰り返されて来ています
        今回の話題は、PCオーディオと言う比較的容易に高音質が得られる道具や環境(ハード)と、アップサンプリングやDSDなどを含めた高精度の音源(ソフト)が得られる様になった環境において、CDというよりwav音源に対して、yungさんの視点や発想からの検証を加える事だと思います
        私も大のアナログ派ではありますが、wavやDSD音源のPCオーディオも聞きますし、それはそれですばらしいと思います

        >元々、CDとLPを比較することが間違いと思います。
        言い出すときりがありませんが、CDにもLPにも音源があり、どのような音源をどのように処理してどのメディアで再生するか、順列組み合わせでたくさんの状況がありますので、一概には言えないと思います
        アナログ音源独自のヒスノイズやDレンジの問題は、どちらのメディアにおいても、音源がアナログであれば存在する問題です
        LPの場合には、それに加えてレコードが持つスクラッチノイズやワウフラッターなどのハード面の欠点や、音溝を針が物理的にトレースするわずかな運動を電磁誘電を用いて信号とする再生原理の過程で生ずる不安定・不確定要素が加わるのも事実だと思います(我が家のプレーヤーなんかリムドライブですからゴロ音まで乗ってます・・笑)
        一方、最近再び入手可能になった2011年リマスターのカザルスのSACDは、SP音源とは思えない高音質です
        これまでのSP音源は、いくら「高音質」と謳っていても、SPそのものから来るノイズや再生器機のDレンジなどに起因するノイズなどで聞く気を逸らすものが殆どでしたが、これは音源をデジタル技術でとことん追い込んで作り、それを現在頒布可能な高音質メディアであるSACDの形にすることで、実現できた商品なのだと思います
        もしこの音源を、真の意味で現代の機械技術や高分子技術などを駆使して再生器機(レコード針、レコードプレイヤー等)やメディア(LP)を開発し、それで再生したらどのようになるか・・は判りません
        なぜなら、レコードやLP再生装置そのものの技術革新は、現在では殆ど行われていないからです
        そう言った意味では、逆説的になりますが、技術革新のただ中にあるデジタルオーディオ(CDそのものは規格も決まっており必ずしも当てはまらない部分もありますが)と、技術革新が完了した(現実的には消えつつある)LPの比較は間違いなのだとは思います

        >良い音を出すには面倒なLP、良い音を出すのが難しいCD
        同感です、そして、もうひとつ忘れてはいけないのが・・
        「良い音を出すには莫大なお金がかかるLP、良い音を出すのが比較的安価なデジタルオーディオ」じゃないでしょうか

        • HS
          2014年9月12日 at 9:37 PM

          >良い音を出すのが比較的安価なデジタルオーディオ

          これは、正しい認識とは言えません。
          本当に良い音にするにはお金がかかります。
          安価なデジタル製品の欠点は電源部が弱いことで、
          音質的にそれ程良いとは言えません。
          デジタル製品も基本アナログなんです。

          • joecool
            2014年9月13日 at 5:25 AM

            HSさま

            音の良いターンテーブルと比べると、PCオーディオのシングルボードコンピュータややDDCは2〜1桁程安価です。
            また、消費電力が少ないため、安価に高品位な電源が確保出来ます。(とは言っても、本体より電源が高価だったりしますが)
            なので、デジタルオーディオの内、PCオーディオはLP再生に比べると「比較的安価」に良い音を得ることができると言っても良いと私は思います。

            実際に最高レベルのPCオーディオの音を体験され、「お話にならない」ということであれば、何も言えませんが。

      • HS
        2014年9月12日 at 9:05 PM

        ”イコライザーカーブは良いか悪いかの問題とは少し違う”と
        したのは、この方法で音質を良くしているからです。
        これがなければ、SPと大差ない音になってしまうでしょう。
        また、LPの名の通りに長時間記録、再生を実現しており、
        LPの再生システムの基幹仕様と見られるからです。
        言わば、CDの16bit、44.1KHzと同様な物です。

        >初期のアナログ録音ではレーベルによってイコライジング曲線
        が異なって

        オーディオを始めた時に、イコライザーはRIAAカーブが
        標準でしたので、違う物が有ったと言われても困ります。
        その辺の問題はレコード会社の縄張り争いの影響でしょう。

        >アナログの世界ではそれほどまでに大らかな人々

        アナログ(LP)をメインで経験した方は、些細な事を追求しても
        余り意味が無いことを、アナログの特性から感じていたので
        寛容だったと思います。
        デジタルが厳しい目で見られるのは、ひとえにメーカーの責任
        と思います。
        デジタルは劣化しない、アナログより高音質などと宣伝して
        おきながら、蓋を開けたら酷い音だった。
        CD初期の物はハード、ソフト共に未完成、発展途上で、
        音楽としてのLPの音質に及ばなかったからと思います。
        現在でもアナログに劣ると指摘されるのは、刷り込みでは無く、
        現実にCDの品質の問題で音楽としての再現性が悪く、
        音からそれが分かるからと思います。(これは、レコード会社の責任)

        >量子化ノイズ軽減のためのディザリングに目くじらを立てる

        この辺は、多くの人にとってはCDの音が悪い原因がはっきりしない、
        分からないため、見た目、音に悪そうな部分にいちゃもんをつけている
        だけでしょう。
        気にすることはありません。

        >サンプリング周波数が44.1kHzであるが故に20kHz以上の
        音が再生できないことが宿命的な欠陥

        個人的にはそうは思いません。
        音楽再生はCD規格で十分です。
        問題は、CD規格で実現出来るであろう音質、音楽の再現性を
        今もって達成できていない事です。
        欠陥と言えるのはCD自体、銀色の円盤の方です。

        • joecool
          2014年9月13日 at 5:56 AM

          HSさま

          >欠陥と言えるのはCD自体、銀色の円盤の方です。
          まさに仰るとおりなのですが、ここではCD再生については触れない方が良いのではないでしょうか?

          ここでの議論は、CD規格のデジタル音源についてであり、CD再生は想定されていないと思います。

          確かに、CD規格の音源は一般的にCDをリッピングして得ていますが、HDDやSSDに保存されたファイルはもはやCDとは別物です。

          そして、そのファイルを再生するPCオーディオは最近急速に高音質化しています。

          しかし、一部のオーディオ雑誌ではそのことに目を向けず、「デジタルはアナログより音が悪い」と相も変わらず喧伝しており、それは「刷り込み以外の何物でもない」と思います。

          • HS
            2014年9月13日 at 4:53 PM

            >CD再生については触れない方が良いのではないでしょうか?

            投稿内容を見れば、CD再生とLP再生を比較する物なので、
            必然的に触れる事になります。
            音源が無ければただの箱ですから。

            >CDをリッピングして得ていますが、HDDやSSDに
             保存されたファイルはもはやCDとは別物です。

            この部分はおっしゃりたい事が分かりません。(意味不明)
            例えば、音が悪くなっているから別物という事でしょうか。

            >それは「刷り込み以外の何物でもない」

            オーディオ雑誌は関知しませんが、
            ”デジタルは音が良い”というのは刷り込みです。

  6. きゅう
    2014年9月12日 at 12:04 PM

    最後の1文を忘れました m(_ _)m

    そして、今でも「デジタルはアナログに劣るという」という考えが一部にあるのであれば、それについて議論する事は決して無駄では無い様に考えます

  7. チャーリー
    2014年9月13日 at 6:14 PM

    以下、間違っていたらごめんなさい。
    16bit(約96dB),24bit(約144dB)というのが
    ダイナミックレンジ(英: dynamic range)とは、識別可能な信号の最小値と最大値の比率をいう。(ウィキペディアより)
    であるなら、
    現実の音世界を音の大きさを1:1として記録し、再生するならば

    人の聴覚は120dB

    に対してはオーバースペックだとはおもいますが、

    人の音楽を楽しめる音量内に

    最小値を持ち上げ、最大値を下げて24bitの幅に相対的に記録していくという方法ならば

    あながち意味のないこととは思えません。

    上記の性能を表現できるスピーカー、ヘッドホン、イヤホン
    ならば、より音の細かい表情を聞くことができるというのが、
    最近はやりのハイレゾといわれるものかもしれません。

    • チャーリー
      2014年9月13日 at 11:12 PM

      もし、このような理屈で、識別可能な信号の最小値と最大値の比率をダイナミックレンジ
      とし、絶対的な音の大小ではなく、相対的な音の大小がダイナミックレンジとするならば
      オーディオにおける聴感的なダイナミックレンジとは音のグラデーション、細やかさ、なめらかさを
      いうのではないのでしょうか?(まったく、数値的でないことは理解しておりますが論理的帰結として)
      そう考えれば、よく調整されたレコード再生が聴感的にCDの再生を上回る可能性もあるとも考えられます。

  8. 2014年9月13日 at 6:57 PM

    16ビットで間に合うのか,24ビット必要なのかという議論については,

    例えばCDプレーヤーの出力は最大(-0db)で2ボルトです。

    なので,16ビットの場合,最小出力単位は
    2÷(2^16)=0.000030517578125ボルト
    です。これが24ビットだと
    2÷(2^24)=0.000000119209289550781ボルト
    です。

    ということは,例えば1ボルトの次の値としてに出力できるのは
    16bit=1.000030517578125ボルト
    24bit=1.000000119209289550781ボルト
    です。24ビットの方が2ケタ(256分の1)細かくなります。

    この0.000030517578125ボルトのステップでしか出力できないというのが
    16ビットが人間に耳にはスカスカに聴こえる理由です。

    これが0.000000119209289550781ボルトのステップになると,聴覚に照らしても
    かなりリアルな音が再現できています。

    1ビット=6dbという固定概念があると,144dbも必要ないという言い方になりがちですが
    MAXの出力は決まっているので,そこからマイナス方向に,どれだけ細かいステップで
    出力できるかというのが現実の再生音での問題です。
    そして,それは16ビットでは全く足りないというのが私の実感です。

  9. 2014年9月13日 at 8:49 PM

    >この0.000030517578125ボルトのステップでしか出力できないというのが16ビットが人間に耳にはスカスカに聴こえる理由です。

    このあたりのことはハイレゾに意味を見いだしている人にとっては看過できない内容でしょうね。ただし、ここで私が問題にしているのはアナログ録音がカバーできるダイナミックレンジは16bitもあれば十分カバーできるので、そのことを持ってアナログの優位性を主張することは出来ない、というのが主張の根幹です。

    まあ、ハイレゾに絡む話は、このアナログ再生の問題がけりを付けば取り上げますので、そのときはゆっくりと論議しましょう。
    ただ、一言だけ言っておけば、音楽再生はシステムとして実現されていると言うことを忘れてはいけないと言うことです。デジタルの出力から後は100パーセントアナログの世界です。
    アナログの世界は基本は曖昧模糊です。しかし、その曖昧模糊な世界を前提としなければ音楽再生は成り立ちません。そして、そう言う世界に放り込まれた「16bit=1.000030517578125ボルト」と「24bit=1.000000119209289550781ボルト」がどれほどの意味を持つのかは検討するに値すると思います。

    しかし、それはこの場にふさわしい論議ではありません。
    ハイレゾに関わる問題は私も一度はじっくりと考えてみたいと思いますので、そのときにはいろいろと意見をいただければ幸いです。

    • 2014年9月13日 at 11:31 PM

      お返事ありがとうございます。

      >> ここで私が問題にしているのはアナログ録音がカバーできるダイナミックレンジは
      >> 16bitもあれば十分カバーできるので、そのことを持ってアナログの優位性を主張
      >> することは出来ない、というのが主張の根幹です。

      ということについては,確かに16ビットPCMは96dbのダイナミックレンジがあります。

      ただしそれは6dbステップのダイナミックレンジです。

      仮にアナログ録音のダイナミックレンジが96dbよりも小さいとしても,そのステップは
      理論上制限がなく,いくらでも小さいステップが記録できます。実際には,機器の解像度
      や記録メディアの記録密度などにより制限されますが,一定レベルの機器やメディアで
      あれば6dbといった大雑把なものにはなりません。

      その意味では,16ビットに96dbあるからといっても,6db刻みのスカスカの音なので,
      それより遥かに緻密な記録ができるアナログ録音には全く及ばないのではないかと思っ
      ています。

      事実,アナログ録音を元にしたSACDやハイレゾの音は,16ビットPCMとは全く比較に
      ならないほど優れています。

      • チャーリー
        2014年9月14日 at 8:16 AM

        加藤様
        こちらまるっきりの文系なので、数値的には弱いので非常に勉強になります。
        ひとつ質問させてください。

        >ただしそれは6dbステップのダイナミックレンジです

        というのはデジタル録音の場合の特性ということでしょうか?

        アナログ録音を16bitPCMへ変換するときも同じなのでしょうか?

        よろしくお願いします。

        • チャーリー
          2014年9月14日 at 8:38 AM

          質問して申し訳ないのですが、
          用は16bitなので96dbを割って6db
          つまり、16bit刻みの音の階調でしか記録できないよ(表現できない)。
          という意味ですね。

          • 2014年9月14日 at 2:12 PM

            上手く説明できるかどうか心許ありませんが,

            dbは対数(比率)を表すもので,6dbで2倍,20dbで10倍になります。
            96dbでは65536倍になります。これは言わば数学的な定義です。

            これに対し,PCM録音において1ビットが6dbというのは,PCM録音における
            約束事です。

            比率なので,絶対的な値と対応しているわけではなく,それそれの状況で
            変わります。

            例えば,上述のMAX2ボルトの例でいうと,
            16ビットPCMの6dbは
            2÷(2^16)=0.000030517578125ボルト
            です。
            2ボルトを65,536分割しているということです。

            24ビットPCMの6dbは
            2÷(2^24)=0.000000119209289550781ボルト
            です。
            2ボルトを16,777,216分割しているということです。

            私が16ビットPCMの6dbがスカスカだと述べたのは,
            0.000030517578125ボルトのステップだからです。

            24ビットPCMの6dbはスカスカではありません。

            以上,同じことの繰り返しだったかもしれませんが,お分かりいただけるでしょうか?

  10. 2014年9月13日 at 10:13 PM

    若いころには大枚をはたいてステレオを購入して、さらにオーディオ雑誌を見ていまいしたが、今ではiPhone附属のイヤフォンで音楽を聴いています。ハイレゾについてはコストが折り合えば32ビットでも196kHzでもいいと思います。いわば趣味の世界です。ハンディ録音器にはそういうモードもあります。それに、もうCDを買わなくなりました。必要な時にはiTunesでダウンロードです。ですからCDの規格にもあまり関心がなくなりました。ウェブ上のハイレゾの音源ならダウンロードして、そのままPCやiPadで再生できます。良い時代になりました。ただ、ハイレゾはデータが大きくなるので、多少時間がかかるかも知れませんが、映像データに較べればとるに足らないことなので、大丈夫でしょう。
    ハイレゾが良いと言って多くの出費をしている方々に、私が言いたいのは、そんなにいい音で音楽を聴きたいのなら、コンサートや演奏会に行って欲しいということです。今若い音楽家が優れた演奏を意欲的にやっています。もっとこちらに投資して欲しいのです。かくいうわかし自身も演奏会で生の音楽を沢山聴くようになったのはこの7〜8年です。年に20回くらい行くようになりました。音の良いホールも多くなってきましたから、素晴らしい音楽を楽しめます。自分の部屋で何十万もの費用をかけてシステムを作るのも良いですが、その楽で100回以上演奏会に行けます。そうして、音楽をする人たちをもり立てられます。

  11. AC
    2014年9月14日 at 4:14 PM

    > 音量が同じであれば周波数が低いほど振幅が大きくなります。これは物理学の法則ですから変えようがありません。

    そんな法則は聞いたことがありませんね。音量に関係があるのは振幅の大小であって、周波数(振動数)の大小は音の高低に影響する、というのは有名な波動力学の法則ですが。振幅の常用対数を取ったものがdBとなるので。

    • benetianfish
      2014年9月17日 at 12:25 AM

      AC 様、

      仰るとおりですが、

      > 音量が同じであれば周波数が低いほど振幅が大きくなります。これは物理学の法則ですから変えようがありません。

      これは、音の波動エネルギーは振幅と周波数両方に依存するので、「X同じ音量X → 同じエネルギーであれば低周波であるほど振幅が大きくなる」、という意味ではないでしょうか?そして、この大きな振幅がレコードに記録する上で問題になると。

      根本的に間違いでしたらごめんなさい...

  12. チャーリー
    2014年9月14日 at 7:04 PM

    加藤様
    ご返事ありがとうございます。

    >これに対し,PCM録音において1ビットが6dbというのは,PCM録音における
    >約束事です。
    >比率なので,絶対的な値と対応しているわけではなく,それそれの状況で
    >変わります

    そういう決まりなのですね。
    勉強になりました。

  13. 2014年9月26日 at 10:11 PM

    yung様、初めまして

    高音質サウンドプレイヤーの研究開発を五年前から続けて、ようやく答えに行き着きました。WindowsPCから完全なジッター対策を取り組んでみたところ、ハイレゾ音源とCD音源の差が埋まった音が鳴り出しました。とても良いUSB-DACでは差はありますが、ポータブルUSB-DACなど割安なモデルでは差を感じません。

    私の答え(仮説)

    PCのメモリ上で1秒間あたりのデータ量を増やすと、ジッターを減らせます。アップサンプリングすると音が良くなったように感じるのは、ジッターが軽減されているからです。ハイレゾ音源も同じ理由で、データ量が多い為、ジッターの影響を受けにくい。しかし、PCで発生するジッターを完全に抑えるように、サウンドプレイヤーを設計しますと、アップサンプリングすると音質が悪くなりました。CD音源のままで、ハイレゾの音質を達成できます。

    本当に動作条件、これが重要に感じます。記事は時々読んでいます。
    ありがとうございます。

  14. Hitsuji
    2014年10月4日 at 8:07 PM

    音響とは別の信号解析をしたり波形作成をしたりしている、ある理系人間です。
    古い話題で恐縮ですが、初めて書き込みます。

    皆様、ビット数=ダイナミックレンジ(音の大きさの表現の範囲)と考えられることが多いように思うのですが、本質はそこではないと思います。
    ビット数とは、縦軸の細やかすなわち階調の豊富さです。

    CDには大小さまざまな音の波形が一緒に含まれていますが、特に漠然と空気感と呼ばれるような音は、微細な反響であったり、かすかな息遣いのようなものであったりするのではないでしょうか。
    そのような小さいな音が、もし6dBであったなら?
    CDが再現できる波形は0と1の大きさの違いでしかありません。まるでサイコロを組み合わせたような波形ですね。(実際にはフィルタリングにより滑らかにしていますが、階調はあくまで2段階しかありません)

    音楽に交じってその場の雰囲気を伝えてくれる微細な音の成分は、得てして小さいものだと思います。それが左右のステレオに分かれて、到達の遅れや干渉などを含みリスナーの位置に届けられる際に、果たしてbit数のわずかな波形で再現できるでしょうか?
    同じ議論は、20 kHzまで記録できる、という言葉にもあてはまります。
    その20 kHzの波形は時間方向にオンオフの2分割しかありません。オーバーサンプリングで形は滑らかにできますが、たとえば20kHzのちょっと時間がずれた2つの音の合成というのは再現できないでしょう。
    20 kHz以上は人間には聞こえないから十分という議論ではなく、じゃあ、5kHzとか10kHzの音の形はどれくらい正確に描けるの?というのが正解と思います。

    ハイレゾやDSDが、空気感がよいとか、包まれる感じがする、というのはこのような微細な音の情報をより正確に表現できているからと思います。

    繰り返しますが、CDにはすべての音が96dB(65536階調)を使って記録されているわけではなく、小さな音、高い音ほど波形を形作るbit数は少なくなり、情報は欠落するでしょう。
    そういった意味で、某誌の「なんとCDの1000倍なめらか!」という表現はある意味正確なものだなと思いました。

    • 2014年10月4日 at 10:35 PM

      この問題は今考え続けていることに直結しそうな気がしています。

      言うまでもなく、私は長い間ハイレゾ否定論でした。
      その最大の理由は、「ハイレゾでは聞くべき音楽がない」に尽きました。
      それを一言で言えば「素晴らしい音質で下らない演奏を聴かされるほど空しいことはありません。」となるわけです。

      さらに言えば、私の直感はハイレゾはオーディオ業界の死活をかけたマーケティング戦略だと言っています。ですから、必ず「失敗」するだろうとも言っています。

      しかし、最近になって、そこからもう一歩問題の本質に踏み込んで、本当にオーディオの世界にハイレゾは必要なのかを考えてみたいと思うようになってきました。
      言葉をかえれば、ハイレゾ規格の入力信号をその後段に続くアナログ領域はどこまでフォローできるのか?という問題意識です。

      アナログの領域は信号が伝達していく過程の全てがロッシーです。これは否定しようがない真実です。そして、そのロッシーの最たるものが最後の音の出口たるスピーカーです。
      この不完全にしてノイズまみれのアナログ段を通っていく過程で、デジタル領域の微細な信号の差異がどれほど意味を持つのかははなはだ疑問です。

      Hitsujiさんの書かれている内容もデジタル領域での話としてならば「なるほどな」と教えられることが多いのですが、果たしてそれがその後に続くアナログ領域でどれほど意味を持つのかが正直言って私には分かりません。

      そして、ハイレゾの優位性を言われる方はそのような本質的な問題は避けて、「ハイレゾやDSDが、空気感がよいとか、包まれる感じがする、というのはこのような微細な音の情報をより正確に表現できているからと思います。」と言うきわめて情緒的な話を論拠にされることが多いです。前段の精緻な数字の世界と後段の情緒世界がそんな風に疑問もなく結びつけばいいのですが、どうにも私はへそ曲がりなもので、そう言う空気感が再生できると言われる再生システムが、本当に「16bit 44.1khz」というCD規格をくみ尽くせるほどのクオリティを持っているのか?と言う疑問が消えないのです。

      料理人をたとえに使いましょう。
      日頃の使い慣れた食材で満足な料理も作れないシェフが、たまたま極上の食材をあてがわれていつもより多少はましな料理ができたからと言って、これからは高級食材ばかりで料理を作るべきだとはならないでしょう。
      腕のいい料理人ならば普通の食材で、その能なしシェフが最高級の食材を使った料理よりもおいしい料理が作れるかもしれないからです。

      つまりは、然るべき再生システムでCD規格の音源を再生すれば、下手な再生システムでハイレゾやDSDを再生するよりも空気感がよい世界が再生できるかもしれないのです。

      確かに、ハイレゾ規格はCD規格と比べると高級食材です。それは疑いはありません。
      しかし、普通の食材を自由に使いこなして立派な料理が作れるようにならないと、最高級の食材をあてがわれても宝の持ち腐れになるばかりです。

      さらに言えば、私の中のどこかに、もしかしたらハイレゾという最高級食材を本当の意味で使い越せるだけのシェフなんてどこにもいないのではないか?と言う本質的な疑惑も現段階では消えていません。
      ですから、「16bit 44.1khz」の器の中でやるだけのことをやりきって、その時にまだハイレゾという世界が生き残っていれば取り組んでみようかと思っています。

      • Hitsuji
        2014年10月5日 at 8:36 PM

        Yung様
        すでに考察も(5)まで進んでいる中でのお返事ありがとうございます。
        ハイレゾの問題は、まさにメディアがないことに尽きますよね。おっしゃる通りだと思います。
        当方のコメントは、あくまでハイレゾの意味合い・誤解の点をすっきりさせるために行いました。
        あくまで技術論であって、その優劣や効果がどれだけ人間の主観に影響を与えるかは別の深い問題でしょう。ここは私には専門外で良くわかりませんので、あえて情緒的な例にしました。

        >つまりは、然るべき再生システムでCD規格の音源を再生すれば、下手な再生システム>でハイレゾやDSDを再生するよりも空気感がよい世界が再生できるかもしれないのです。
        言い換えれば、デジタル上流に対して、下流アナログの重要性をYung様が認識されているということでしょう。このブログを通して常々感じています。
        ただその素晴らしいシステムの上に上流がよくなればさらに・・・、というのも見てみたいですね!

        >この不完全にしてノイズまみれのアナログ段を通っていく過程で、デジタル領域の微細な>信号の差異がどれほど意味を持つのかははなはだ疑問です。
        このあたり、面白いですね。私の認識ですと、たいていのデジタル回路というのはとてもノイジー、アナログは(金をかければ)クリーンというものです。

        世の中、デジタルとアナログはすっぱり技術的に分断されているように理解されることが多いのですが、デジタル情報を人間の感受性で受け入れるときには必ずアナログが介在します。このアナログ部分の優劣の差って本当に大きいんですよね。ちょっと余談になりますが、私が仕事で使うDAやAD機器はアナログのプリアンプ部のグレード”だけ”でそれこそ数倍違うといのはざらです。同じシリーズなのになんでこんなにノイズが違うのさ、という質問に対して「安くするために後段のアナログ回路をけっちってそのためにアイソレーションが、ごにょごにょ」ということもありました。
        優秀なデジタル信号は、さらに優秀なアナログ回路があって初めて生かされるというのはオーディオに限らず真理であると思います。

        ところで、Yung様の各種試行錯誤というのは、私の仕事にも相通じることが多く、共感しながらとても楽しく読ませていただいています。
        そうそう電源って大事だよね~とか、うちもディテクタにアルミ巻いてみるか、とか。

        さて、このあたりにしてまた一読者に戻りたいと思いますが、(5)のお話に絡んで最後に技術的な点からの問答をおひとつ。
        「右Aのヴァイオリンから20kHzの音、左Bのヴァイオリンから19kHzの音がそれぞれ出て、両方の合成(干渉)で1kHzの唸り(ビート)が聴衆には届きます。マイクはそれぞれのヴァイオリンに設置されていて20kHzと19kHzの音が記録されます。さて、40kHzサンプリングでこの唸りは再現できるでしょうか?」
        楽器の能力とか、サンプリングの端数とかは素人の面ご容赦ください。

  15. Hippo
    2014年12月13日 at 8:59 AM

    フォーマットからジッター等まで大変興味深い話が続いていますね。

    44.1kHz/16bit の音源も工夫すれば、いろいろ音が変わって聴けるのだと感心します。

    で、そのいろいろ変わって聴こえる44.1kHz/16bit の音源の再生音(アナログ音声)を、再度44.1kHz/16bit で録音すると、どの程度の違いが出るのでしょうね。

    ダイナミックレンジの確保の難しい普通の家庭環境で容易に聴き分けができるのだとすると、下位の数bit(3~4bitぐらい?)ぐらいは違っているのでしょうか?

    少々不思議な感じがします。

  16. ハイレゾ懐疑派
    2019年3月12日 at 7:59 AM

    ビートルズの24bitは明らかにCDより良い。全然違う。古い音源では話は別ということだ。

  17. 富沢誠一
    2019年4月16日 at 12:32 PM

    CD規格が古いことは、P・S社が認めています。そして、不可逆圧縮音声だということ。アップコンバートは出来るが元には戻せない。微小音、20Khz以上カット。
    そしてSACD規格までも。しかし、デジタル処理は理論的にはその逆を実行できる。失ったデータを類推(パターンを計算)して復元できる。こうゆう意味で素晴らしい規格です。ただ、復元にはアナログと同じようにお金が掛かる。
    そして、復元規格も各社毎、様々なため試すしかない。
    毎秒176400回分の音声の分割(映像ではスローモーションの細かさ)。
    毎秒144デシベル幅での音量の割り振り(スローモーションで音声が出る)。
    原音の正確な録音と再生にどれが有効なのか?現在は、原音という言葉があまり出てきません。嘘を付きたくないという心理が減らしているのでしょうか

    映像の世界で間接的に周波数の意味やビット数の意味が目視できるようになり、こういう論争が減っていくだろうと思います。
    映像の2Kから4Kへのアップコンバート処理が周波数やビット深度の関係を表していると思います。
    最近のDACはアナログ音源に近づくのか内部でアップコンバートしてますね。変ったものでは1ビット変換をするものまであります。デジタルデータの奥深さでしょうか。

Comments are closed.