測定に「MySpeaker」を使ってみる
前回は「測定」が大切だと痛感したことを述べたのですが、肝心のデータを示せませんでした。「DEQ2496」の液晶画面をデジカメで撮影してのせようかとも思ったのですが、どうもきれいに写りません。みんなどうしているのでしょうか?
そこで、うーんと、ない知恵を絞って、「MySpeaker」を使って測定してみることにしました。
「DEQ2496」はピンクノイズを使った測定しかできませんが、「MySpeaker」の方はいろいろなことができます。
「DEQ2496」は基本的にイコライザですから、測定機能は自動補正のための最低限のものしかないのは当然です。その点で言えば、「MySpeaker」は基本的に測定用のソフトですから、「測定」という機能に限って言えばはるかに優れています。
周波数特性解析に限ってみても、「ホワイトノイズ、ピンクノイズ、インパルス、サインスイープ、クロマチックノイズ」を使った測定ができます。
ピンクノイズはホワイトノイズに比べて低域のS/N比が改善されるそうです。クロマチックノイズは、MySpeaker独自の測定信号だそうで、全帯域でS/N比が高い測定ができるようです。
インパルス測定はS/N比があまりよくないとのことです。
サインスイープを使った測定は急峻なピーク、ディップの検出ができ、外来ノイズの影響も少ない測定が出来るのがメリットのようです。
ソフトの作者としてはクロマチックノイズがお勧めのようなのですが、基本的にサインスイープとピンクノイズを使って測定すというのが一般的でしょう。
そして、このソフトを改めて使ってみて感じたのは、「DEQ2496」の液晶画面と比べると「MySpeaker」の方が測定結果がとても見やすいと言うことです。ですから、「測定→設定を微調整→測定→設定を再度微調整→」というループで設定を追い込んで行くには、測定は「MySpeaker」に任せて、「DEQ2496」の方はGEQメニューによる微調整だけにしたほうが使い勝手がいいことに気づきました。
やはり、測定は測定専用のソフトに任せた方がいいようです。
ちなみに、「MySpeaker」はいかのような接続で使用しました。
測定用に使用する無指向性コンデンサーマイクが接続できるインターフェイスがあれば問題なく使用できます。今回は、豪勢に(^^;、サブシステムで不遇を託っていた「Fireface400」を使いました。
いざ測定
それでは、まずは一切イコライジングしていない素の状態で測定します。
<ピンクノイズを使った測定>
「MySpeaker」はユーザー登録をしないと画面の真ん中に「UNREGISTERED」と大きな文字が入りますが(^^;、スピーカーの周波数特性を測るだけなら何の問題もありません。
結構デコボコしていますね。(^^;
これでも頑張ったのですが、それでも、100Hzの付近に大きな山とへこみがあります。おそらくは、リスニングルーム固有の定在波だと思います。部屋のチューニングだけでこのデコボコをとろうとすると、大変なことになると思います。もちろん、イコライジングだけで取れるとも思いませんが、できる限り何とかしたいと思います。
<サインスイープを使った測定結果>
ピンクノイズによる測定とほとんど似たようなものです。ですから、以下では煩わしいので「ピンクノイズを使った測定」の方だけを紹介します。
サブウーファーを追加して調整する
上の測定結果を見ても分かるように、80Hz付近に大きな山があり、そこから下に向かってなだらかに減衰しているというのが、私の部屋のエレクタ・アマトールの低域です。
これをもう少し下の方にフラットに伸ばしたいと言うことで、ヤハマのサブーウーファー「YST-SW500」を左右2チャンネルに一台ずつ追加しています。
このサブウーファーの追加で悩ましかったのが、ハイカットとボリュームの設定でした。昔はこれを聴感だけを頼りに設定していたのですからいい加減なものです。
さて、その測定による設定なのですが、あれこれとトライを繰り返して、最終的には70Hzでカットし、ボリュームは8時の位置に設定しました。前回は80Hzでカットしボリュームは9時の位置がジャストフィットと報告したのですが、「MySpeaker」を使った測定では、さらに控えめな使い方がベターだと判断しました。
<メインスピーカー+サブウーファーの測定結果>
かなり控えめの使い方なのですが、それでも30Hzあたりまでフラットに伸びてその後はなだらかに減衰しています。
これくらいの使い方がサブウーファーにとっては望ましい使われ方なのだと思います。
さて、ここからが本番、イコライジングします!!
この状態まで追い込んで(追い込んでと言うほども追い込んでないですが^^;)から、「DEQ2496」を使って「AUTO EQ(自動補正)」をします。やり方は、既に報告済みです。
この「自動補正」された状態から、「MySpeaker」を使った測定とGEQメニューを使った微調整に入ります。
やり方は簡単です。
まずは「自動補正」された状態で、「MySpeaker」を使って測定をします。当然のことながら、完全にはフラットにはなりません。
そこで、出っ張っている部分はGEQメニューを使って減衰させ、へこんでいる部分はブーストさせます。
設定が終われば再び測定です。
やはり、なかなかフラットにはなりません。
このあたりの微調整に関しては、ゴンザエモンさんが「周波数補正の是非と三ツ山特性へのアプローチ」と題して貴重な経験を報告してくれています。
イコライザ機能でピーク、ディップを潰してできるか限り普遍性の高い音にする必要性はあるのですが、「極端な補正はせず、多少の山谷はある程度許容する。」という姿勢も必要なようです。確かに、極端な補正は音の勢いを削ぐようです。できれば、±6dBの範囲で補正ができればベストかと思います。どうしても我慢しきれない山谷に関しては±8dBを許容してもいいかな?という雰囲気です。
ただし、このあたりも最終的には聴感上の判断が必要になるかと思います。私の場合はどうしても80Hzの山が取り切れないので、ここだけは9dBまで減衰させました。
と言うことで、微調整と測定を繰り返してたどり着いた結果です。
<イコライジングした状態での測定結果>
かなりフラットになったかな・・・という感じです。
このあたりまでくれば、ここをスタートラインとして積極的な音作りに取り組めそうな感じです。ただし、この状態の音はエレクタ・アマトールとは信じがたいような音にはなっています。(^^;