売り場にあるハブを片っ端から調べてみました
ninoさんより、
「それから、ルーターやNASにすでにこのようなトランスやチョークコイルが内蔵されている可能性も高いです。これはそれぞれのメーカーに確認する必要がありますが、そうであれば、これを使う意味はほとんどなくなります。購入を考えている方は一度確認したほうがいいと思います。」
と言うコメントをいただいて、閃くものがありました・・・大層な・・・3(-_^;)。
EMI規格というものがあります。
これは通信機器の電磁妨害に関する規格で、PCオーディオに取り組む以上はハブやルーター、NASなどを使うときにはこういう事も気にした方がいいのではないか・・・と言うことに閃いたのです。
ninoさんも「PCオーディオではノイズ対策はやってやりすぎることはないくらいだと思います」と述べられているように、ハブやルーターのように何気なく選択している機器にもある程度は配慮した方がいいように思うのです。「オーディオグレード」というオカルト的な価格設定になっているものを試す前に、そういう「基本」を押さえておくことは無駄ではないと思います。
そこで、まずはハブから調べてみました。
正月休みに、難波のヤマダ電機に言って、売り場にあるハブを片っ端から調べてみました。
分かったことは二点です。
- EMI規格についての記述がある製品と、そう言う記述が全くされていない製品の二通りがある。
- EMI規格について記述されている製品にも、「VCCI クラスA」と「VCCI クラスB」、「FCC クラスA」と「FCC クラスA」の4通りがある。
そして、予想されたことですが、この規格の違いを売り場の店員に聞いても全く分かりませんでした。
だからといって責めるわけにはいかないでしょうね。ハブなんてのは「繋がればいい」のであって、そんな細かいことを気にする人間はほとんどいないのですから。
ただ、雰囲気的には「クラスB」よりは「クラスA」の方がいいように思えますが、「VCCI」と「FCC」の区別もよく分かりませんでした。そこで、素人判断で買い込むよりは、かえってからネットでじっくり調べてから、ノイズ対策がされたハブを導入することにしました。
調べて分かった「EMI規格」
結論から言うと、『雰囲気的には「クラスB」よりは「クラスA」の方がいいように思える』等という根拠のない判断をしなくてよかったと言うことです。
調べてみると、EMI規格というのは世界共通の規格があるのではなくて、日本やアメリカ、EUなどで定められているようです。日本の規格が「VCCI」で、アメリカの規格が「FCC」らしいのです。ただし、日本は団体規格、アメリカは国家規格、EUは地域規格と言うことで、その強制力には差はあるようです。
日本の「VCCI」は団体規格ですから、その団体に加盟しているメーカーの間で定めている「自主規制」という位置づけになっているらしいのです。ですから、この団体に加盟していないメーカーの製品はEMI規格をクリアしていてもこの「VCCI」を表示をすることはできません。逆に言えば、加盟しているメーカーの製品であっても、規格をクリアしていない製品を販売することには何の問題もないと言うことになります。
調べてみると、こういう通信機器を製造しているメーカーはほぼ100%この団体(情報処理装置等電波障害自主規制協議会)に加盟していますので、EMI規格の表示がされていない製品はこの規格をクリアしていないと見るのが正解のようです。
ですから、ハブなどを購入するときは、まずは「VCCI」か「FCC」の表示があるものを選ぶのが基本と言うことになります。もちろん、それで、音質的にはどの程度のメリットがあるのかは現段階では確かめることはできていませんが、マイナスになることは絶対にないと思います。
次に問題なのは、「VCCI」も「FCC」も、ともににおいても「クラスA」と「クラスB」の二通りの表示が存在していると言うことです。雰囲気的には「A>B」なのですが、調べてみると、これが正反対でした。
- クラスA(工業用)
- クラスB(家庭用)
と言うことらしいのです。
ちなみに、家庭環境とは
「当該機器から10m以内の距離でラジオ・テレビジョン等の放送受信機を使用することが予想される環境」
をいうらしいです。
つまり、「クラスB」をクリアしている機器というのは、それを家庭内で使うことによってラジオやテレビの受信に障害を与えないことが大前提となっているのです。
そして、「クラスB」で想定されている機器というのは
- 使用場所が固定されていない装置:例えば、組み込み電池を電源として動作するポータブル装置。
- 電気通信回線から電源を供給される電気通信端末装置。
- パーソナルコンピュータおよびそれらに接続される周辺装置。
- ファクシミリ
等だそうです。
それに対して、「クラスA」の製品は工業分野で使われる機器を想定していますので、規制はより緩やかになっています。
ですから、「Voyage MPD」と「NAS」を接続するハブはこの「クラスB」の規格を取得している機器を選ぶのが基本だと言えます。精神衛生的には「VCCI」と「FCC」の両方で「クラスB」の規格を取得している機器を選択するのがいいということになります。
さらに言えば、ハブというのは基本的には電源を入れっぱなしと言うのが基本ですから、できればメタル筐体のものを選んだ方が放熱性で優れます。ハブが壊れるのはほとんどが熱劣化が原因ですから、長く安定して使う上ではプラスチック筐体のものは避けた方がいいでしょう。さらに言えば、筐体がメタルの方が電磁波ノイズをシールドしてくれますので、その意味でも絶対にメタル筐体のものを選ぶべきだと言えます。
また、電源に関して言えば、「電源アダプタ」のものよりは「電源内蔵」のものを選んだ方がいいでしょう。電源アダプタというのは電磁波ノイズをかなりまき散らす悪者だという報告がありました。
また、「日本製電解コンデンサ」を使用していることを謳っている製品が増えてきていますが、これまた長持ちするという観点から見るとかなり大きなメリットのようです。(3月11日の震災以降、国内工場での生産がストップしているようです。今は目を瞑るしかないようです。)
また、「スループット」に関しても音質面にどの程度影響があるのかは分かりませんが、どうせ買い換えるならば「10/100M」よりは「Gigabit」対応の機器の方が将来性があっていいでしょう。
<追記>
この点については、少し考えが甘かったようです。
ノイズ対策を考えると今後はシールドされたケーブルを使う事が必要になるかと思います。こういうシールドされたケーブルの事を「STP」と呼ぶそうです。(シールドされていないケーブルはUTPと言うそうな)そして、接続にSTPを使うときは「接地」をきちんとしておかないとかえって悪影響を及ぼすという問題があるようです。つまり、STPを使用する際はハブなどもSTP対応機器を用いる必要があるらしいのです。
ところが、ハブがSTPに対応しているかどうかは古い資料しかなくて、最近の機器には全く記述がされていません。と言うことは、最近の機器はそんなことは「常識」として対応していると考えていいのかもしれません。(根拠なし^^;)
しかし、少なくとも「Gigabit」対応を謳っているハブならば間違いなく接地していると思われますから、やはり新しく買うとしたら「Gigabit」対応の機器を選ぶべきでしょう。
ただし、確たる根拠は見いだせませんでした。
<追記終わり>
これ以外に、「フレーム透過機能」や「MACアドレス学習エントリー数」「省電力機能」「バッファの大きさ」等、いろいろな選択用件があるのですが、PCオーディオにおける音質面への影響はあまりないように思えます。
また、ポートの口数もPCオーディオ用として使うのならば、あまり多くなくても問題はないでしょう。一般的には5口か8口もあれば充分かと思います。
ハブを選ぶときのチョックポイント
以上のことをふまえると、PCオーディオの中に組み込むハブとしては、
- 「VCCI」と「FCC」の両方で「クラスB」の規格を取得している機器(必須)
- メタル筐体(必須)
- 電源が内蔵されている(必須)
- 「日本製電解コンデンサ」を使用(任意)
- 高速ネットワーク「Gigabit Ethernet」に対応(任意、もしかしたら必須)
しているものを選べばいいと言うことになりそうです。
そうなると、候補としてはそれほど多くはなくて、バッファローの「LSW4-GT」のシリーズあたりと言うことになります。
コレガの製品も「VCCIクラスB」を取得していますが、「FCC」の方は取得していないようです。もちろん、「VCCIクラスB」だけで充分とは思いますが、同じような価格なら両方取得している方を選びたいのが人情です。
と言うことで、結論として、8口タイプの「LSW4-GT-8NS」を選ぶことにしました。
調べてみると、Amazonが最安価格だったので早速に注文しました。
BUFFALO Giga対応 スイッチングHub ホワイト LSW4-GT-8NS/WH
ハブを変更したくらいで大幅に音質が変化するとは期待していませんが、この辺りのことをきちんと対応していけば、その積み重ねが結果としてかえってくるのではないかと思います。
オカルト的な「オーディオグレード」を名乗る製品を使う前に、やるべき事をきちんとおさえていきたいと思います。
次回は、カテゴリ7のLANケーブルについて検証したと思います。
Buffaloブランドのものは、汎用製品の中ではなかなか高音質であると感じており、私もハブやUSBケーブルは同社のものを改造して使っています。
ただし、速度に関しては100Mのほうが音質的には有利なようです。本当は10Mのものが理想だとか。
PCオーディオでは、最新の高速規格よりも旧式の低速規格のほうが音質的には好ましいという一般法則が成り立つようで、これもノイズが大きく影響しているようです。
一説によると、CD規格の再生であれば、コントローラやドライバの関係でUSB2.0よりもUSB1.1のほうが高音質であるという意見もあります。昔プレクスターのSCSIドライブも持っていたのですが、PCオーディオなど考えもつかなかった頃に捨ててしまったことを今でも悔やんでいます。
初めまして
読ませてもらっていて気になった点をひとつ
電源についてですが
>アダプタというのは電磁波ノイズをかなりまき散らす悪者
これは樹脂ケース状のSW(スイッチング)電源のことでしょう
外部電源アダプタタイプの本体に旧来の、トランスと半導体回路で組んだACアダプタを金属ケースに入れたもので駆動すれば、SW電源内蔵よりも良い結果がでると思いますよ
ただしオーディオのA級アンプと同じで、”良い音を求めれば消費電力は増大する”こととなりますがね