サンシャインの制震アクセサリ

スラッシュドで取り上げられていた「WAVEとAIFF」に関わる話題を取り上げたところ、まあ、なんだかわけの分からないような騒ぎになってしまいました。
ただし、コメント欄を使って「節度」を持って論議していただく分には一向にかまいませんが、私は私で自分にとって興味のある話を取り上げていこうかと思っています。

ただ、もしもお願いできるならば、いろんな方が使っておられる「正しい理論」という言葉をすべて「私が正しいと確信している理論」と置換していただけると有り難いかなと思ったりはしています。
こんな書き方をすると、いかにも嫌みで皮肉っぽいのですが、真意はそこにあるのではありません。
産声をあげたばかりのこの世界において、全ての理論は「仮説」の域を出ないと思っているからです。ですから、今の時期は、できる限り多様な考え方を参考にしながら試行錯誤を繰り返す時期かと思っています。
そんな時期に、これこそが正しい理論であって、全てはこれに従って取り組むべしと決めつけることは決してプラスにはならないと思われます。
もちろん、自説を強力に主張されるのはそれぞれの自由に属する問題ですから、これ以上は何も言いませんが、できればご自分でサイトを開設されて(フリーで開設できるブログのサービスなどはいくらでもあります)、そこで主張される方が気が楽かと思われます。そうすれば、私ごときものにあれこれ言われることもなく自由に、心ゆくまで論を展開することができます。(^^;

閑話休題。
さて、少し前に「300K円は必要と思っていた「D-07X」が260K円で入手できたので、その差額を利用して、最近話題になっている「サンシャイン」の制震アクセサリを買い込みました。それを使って、どこまで「D-07X」を追い込めるか試行錯誤していますので、そのあたりをポチポチ報告できればと思っております。」と書いた件について今回は報告したいと思います。

毀誉褒貶の激しいメーカー

サンシャインというのは、ネット上の評価を見てみるとかなり毀誉褒貶の激しいメーカーです。その原因の大部分は、オーナーである進藤氏の灰汁の強さにあることは間違いないと思います。しかし、キット屋の大橋氏などもそうなのですが、半分死にかけているこの業界にあって、何か新しいものを作り出そうとすれば、このような灰汁の強さが必要なのかもしれません。
ただし、「和をもって貴し」とするこの国の風土では風あたりが強くなるのは避けられません。

では、その「灰汁の強さ」とは具体的には何か?と言えば、最初に書いたこととは全く矛盾するようなのですが、「自分こそは正しい」という強固な確信です。進藤氏について言えば、自社のマグネシウムを使ったアクセサリこそが素晴らしい製品であって、それ以外のものは基本的に「屑」だというスタンスを貫いています。

例えば、最新のブログでもこんな発言をしています。

「全体が度胆を抜かれた??のは、ワタシがいきなりスピーカーからセッティングしはじめたということです、他社さんはみなCDプレーヤー=上流から順々にセッティングしてゆくのに、ワタシだけスピーカーからセッティングしていったので 「おいおいいきなりスピーカーからかよ」 と疑問の声、さらにそこで劇変を達成したので度胆を抜かれたとのこと。・・・他はCDプレーヤーから行ってるのだからサンシャインの感覚はおかしいだろう・・・・・ と言えると思います、 しかしこれは自信を持って申し上げます、これははっきり言ってワタシの感覚が正常、他が異常とは言わないが、常識論でしか動けない・・・・ 申し訳ない、これは100%自信があります。」

これで同業者から嫌われなければ、その方が不思議でしょうね。
ただし、キット屋の大橋氏にしても、サンシャインの進藤氏にしても、そんな言葉を吐き散らすからには、提供している製品がヘタレではただの「アホウ」になってしまいます。
逆に言えば、そこまで自分を追い込んで自社の製品の価値を問うという姿勢が、結果として多くのユーザーに受け入れられる素地となっているのでしょうね。

まあ、そんな話はどうでもいいので、早く製品のレポートをしろという言葉が聞こえてきそうなので、ボチボチ本題に入ります。

私が買い込んだ製品は以下の通りです。

<オーディオボード>

<超薄型制振シート>

<マグネシウム インシュレーター>

<Mg SPENCER>

要は、同社の主力製品をひと揃い買い込んだわけです。お値段は、全て込みで35K円程度です。
これらのアクセサリの売りは「マグネシウム」です。どうやら、最近のトレンドは「マグネシウム」のようですね。

今までの制震と言えば、まずは「重量」でした。とにかく重いものでガッチリと固めるというのが定番でした。
ところが、マグネシウムはそれとは真逆です。
とにかく軽いのです。サンシャインの「マグネシウム インシュレーター」を持ってみれば、まるで、プラスチックでできているんじゃないかと思うほどの軽さです。おまけに、コスト削減のために見栄えは一切考慮していないので、一見すれば「おもちゃ」です。

ところが、このマグネシウムという金属は、抜群の「減衰能」なるものを持っているらしいのです。
「減衰能」とは聞き慣れない言葉ですが、「材料が、耐久限度以下の応力サイクル(振動)を受けたときに、そのエネルギーを熱として吸収または消散させる能力」の事を言うらしいです。(マグネシウム合金の特性
つまりは、外部から振動を受ければ、その振動エネルギーを熱という形で吸収してしまう力を持っているらしいのです。つまりは、重量ではなく素材の特性で振動をコントロールするというコンセプトに基づいた製品なのです。

なお、一部には「マグネシウムに振動を吸収する性質があるなんて初めて聞いた。嘘つくんじゃない!」などと言う書き込みもあちこちで見たのですが、これは明らかに勉強不足です。
マグネシウムの「減衰能」の高さは金属メーカーにとっては周知の事実であって、金属疲労の原因となる振動を減衰させるためにいろいろな機械部品で使われています。(例えば、「マグネシウムボーリングバースリーブについて」など)

まずは「D-07X」の下に「超薄型制振シート」と「オーディオボード」をセッティングしてみました。
使ってみた感想ですが・・・、確かに効果はありますね。
ひと言で言えば、「ざわめき」みたいなものがとれてスッキリします。

ネット上を散見してみると、その効き目についてはざっとこんな感じの感想が述べられています。

  • 「低域が引き締まり、高域の余韻が綺麗に伸びるようになりました。」
  • 「高音がきつくなったり,低音の量感が減ったりするような現象が起きました。でも,それは自分のシステムの弱点があらわになっただけ。音のスピード感,立体感や空気感の表現,音像と響きの画き分けなどは確実に向上しています。
  • 「S/N比が上がるためか、音楽の背面が静かに感じます。」
  • 「非常に小さな音の部分、ピアニシモの部分でもかなり音が変わるので驚きです」

私のシステムでは、「S/N比が上がるためか、音楽の背面が静かに感じます。」という感想が一番ピッタリかもしれません。
そこで、ここへさらに「Mg SPENCER」と「マグネシウム インシュレーター」を追加します。進藤氏が最も推奨しているセッティングです。

うーん、・・・追加しても、しなくてもあまり変化なしのようですね。
さらに言えば、「オーディオボード」を取り去って「超薄型制振シート」だけにしても雰囲気は似たようなものです。

どうやら、アクセサリ類を複数組み合わせても、どれか一つだけを使っても「効き目」はあまり変化はないようです。
と言うことなら、「D-07X」に集中的に使うのではなくて、取りあえずは「D-07X」の下には「超薄型制振シート」だけを敷いておいて、余ったアクセサリ類をそれ以外の機器にも使ってみることにしました。

まずは、「オーディオボード」をアキュフェーズのパワーアンプに、「Mg SPENCER」をヤハハのパワーアンプの下に敷いてみました。驚いたことに、「D-07X」に使ったときよりも効き目は大きいです。
そこで、この後、いろいろな機器に取っ替え引っ替えしながら(随分と体力がいりました^^;)、その効果のほどを確かめてみた結果、私のシステムではデジタル系の機器よりはアナログ系の機器に使用した方が好ましいという結論になりました。

そこで、最終的には、以下のような形で使用しています。

  • 「オーディオボード」・・・アキュフェーズのパワーアンプ
  • 「超薄型制振シート」・・・ヤハハのパワーアンプ
  • 「マグネシウム インシュレーター」・・・Voyage MPD Stater Kit
  • 「Mg SPENCER」・・・アキュフェーズのプリアンプ

「D-07X」を追い込むために買い込んだアクセサリなのですが、結局はそれ以外の機器に使うことになってしまいました。
ただし、これは手元にあるアクセサリを使っての自分なりの「ベター」なので、できれば「Mg SPENCER」や「超薄型制振シート」あたりをもう少し買い込んでプリとパワーに対策をしたほうが良いかもしれません。
もちろん、「D-07X」や「UDIF7」、「Voyage MPD Stater Kit」の下にも「超薄型制振シート」を使ってみたい気もあります。

変化は果たして改善か?

さて、問題はここからです。
確かに、サンシャインのアクセサリ類を使うと音は変化します。それも、かなり大きく音が変化します。
重要なのは、この「変化」が果たして「改善」なのか否かです。

もちろん、この事はサンシャインだけに限った話ではなく、あらゆるアクセサリ類について最終的には自分の耳と感性で判断を下さなければならない課題です。この判断をしっかりと下さなければ、目の前の変化に一喜一憂して、いわゆるアクセサリ地獄と言われる泥沼にはまりこんでしまいます。

と言うことで、次回はこの問題についてじっくり考えてみたいと思います。